2025年6月5日に行った、一般質問の原稿を掲載します。
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ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を始めます。
まず初めに「区長の政治資金について」です。
先月26日、坂本区長が2023年4月の区長選の選挙運動費用 収支報告書 及び 後援会の政治資金 収支報告書に誤りや不記載があり、各報告書で計50カ所以上を修正したことが報じられました。なお、区長の訂正は新聞社の指摘の後に行われたということです。
2023年の区長選の選挙運動費用 収支報告書では、政治団体や個人から区長自身に対し、計264件、572万5千円の寄付を受け取ったと記載されていましたが、実際には寄附の多くは後援会が受け取っていました。結果として計131件、約390万円分の寄付を削除し、その分の収入として「自己資金」や不記載となっていた自民党都連からの30万円の寄付を追記する修正となったということです。あわせて、後援会の23年分の政治資金 収支報告書も訂正され、21年分では都医師政治連盟 板橋区支部からの寄付30万円の不記載があり、いずれも修正されたとしています。
自民党の裏金づくりは国民の政治不信を招き、昨年の衆議議員選挙では大きな変化がありました。区長は、3月の我が会派の代表質問の「都議会自民党の裏金づくりについて当事者に説明を求めるべき」との質問に対し、特に何か行動を起こす考えはないと答弁しました。しかしながら今回は区長自らの事案であり、説明責任を果たすべきです。
なぜ後援会ではなく区長自ら寄附を受け取ったと記載していたのか、自民党都連からの30万円の寄附を不記載とした理由をお示しください。さらに区民に対し、謝罪と説明を求めます。
次に、物価高騰からくらしを守るために、質問します。
「お米の値段が去年の倍」「節約がつらすぎる」「子どもに十分食べさせられない」という声が広がっています。長期の経済停滞によってくらしが疲弊している時に、物価高騰が区民生活に襲いかかっています。実質賃金は3年連続でマイナス、今年もすでに三カ月連続マイナスです。
東京都は6月の補正予算で、水道料金のうち基本料金を4か月無償とすることを発表しました。大変重要なことと認識していますが、生活保護需給世帯や児童扶養手当利用者などすでに水道料金が減免されている方々には、あらたな生活支援とはなりません。基本料金の引き下げ、また光熱費への対応も必須です。
私たちは国が消費税を緊急的に5%に引き下げることが必要と考えていますが、区においてもさまざまな直接支援が求められます。しかし今定例会に示されている補正予算には、ありません。
そこで、現金給付の実施、さらに猛暑から命を守るために区 エアコン設置代 助成事業の対象を生活保護受給世帯などにも拡大することを求めます。
今年2月、小池都知事は「物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとしていく」と答弁しました。党都議団は都の中小企業 職場環境改善のための奨励金事業の奨励金の額や予算の大幅増を求めてきました。2022年9月補正からは賃上げが対象となり、25年度からは1人当たり年6万円から12万円に増額されました。しかしまだまだ物価高騰に追いつく賃上げとなる制度ではありません。岩手県や徳島県には、賃上げだけを要件とする「中小企業の賃上げ応援助成金事業」があります。
区として独自に区内中小企業賃上げにつながる事業の実施を求めます
次に、区立保育園の質の向上を求めて伺います。
区立かないくぼ保育園、ときわ台保育園において、今年4月から給食の提供ができず仕出し弁当の提供となっています。保護者に対しては、3月17日にはじめての通知を行い、31日にようやく仕出し弁当事業者決定の通知が行われたとのことですが、
いつから仕出し弁当ではなく、温かい給食が提供できるのかお示しください。
食べることは、生きることの源であり、心と体の発達に密接に関係しています。乳幼児期から、発達段階に応じて豊かな食の体験を積み重ねていくことにより、生涯にわたって必要な「食を営む力」が培われていきます。保育所は1日の生活時間の大半を過ごすところであり、保育所における食事は非常に意味が大きいものです。豊かな食の体験を積み 重ね、楽しく食べる体験を通して、食への関心を育み、食を営む力の基礎を培う「食育」を実践していくことが保育園における給食です。
ところがいま、2つの区立園では、おかわりができず行事食もありません。残食が多くでているとも聞いています。大好きなおかずやごはんを、おかわりしたくでもできない子どもの気持ちは、どれほどせつないでしょうか。
区は、昨年12月に調理4名、用務3名の計7名の欠員がでたことで、調理及び用務の委託先を急ぎ探すことになり、用務は決まったが調理は決まらなかったと説明しています。4月閉会中文教児童委員会では、現業職員は退職不補充の区の方針があるため職員募集ではなく委託事業者を探したと答弁しています。
給食が提供できないことは、質の低下と考えますが、いかがですか。
今回の事態は、区が掲げる委託化や現業職員の退職不補充の方針が招いた区立園の質の低下です。こども達のためにも、方針を見直すべきです。区の見解を求めます。
今年、実質待機児が3年ぶりに生じ、その数は7名、うち3名は要支援児枠です。
区はこの間、令和4年度より4月1日時点で待機児ゼロを達成しているが、5月以降の入所希望者については、歳児や地域により入園しづらい状況があるということは把握をしている、と答弁してきました。区議会ではさまざまな会派から、地域需要も踏まえ待機児がうまれないようにと要望が出されていました。
今年度、実質待機児童が7名も生じた理由は、この間、新規園を計画通りにつくってこなかったことや、実質待機児ゼロの期間に地域の需要をつかむ努力を怠ってきたからではないでしょうか。理由をお示しください。
保育園に当たり前にはいれるよう整備し運営することが基礎自治体の責務です。そして保育は子と家庭のための福祉施策であり、その観点から要支援児の待機児童は絶対にでないようすべきです。
現状、要支援児が待機児となった場合には、職員が1園1園、入所のお願いをしてなんとか園に都合をつけてもらっているだけです。これでは抜本的な解決になりません。福祉として、要支援児こそ絶対に待機させないという制度を真剣に講じるべきです。
いま保育行政は、2歳児までの小規模園の運営課題、こども誰でも通園の課題、減らない待機児童などたくさんの越えるべき課題があります。これらは施策上の課題というだけでなく、こどもひとりひとりの発達に関わってくるからこそ、重要な問題です。課題解決にむけた考え方の根っこには、とことんこどもに寄り添った保育が必要、という認識が欠かせません。こどもに寄り添い、保護者の就労と家庭を支えるために、自治体はつねに保育の質の向上を目指すべきです。質の向上には、標準化を示すことのできる区立園がその役割を果たしていきます。
区立保育園は民営化すべきではありません。あらためて見解をお答えください。
次に、学びを保障する学校教育を求めて質問します。
今年3月17日、区立小学校の保護者より「4年2組の学習が遅れている」と学校に連絡があり、その日のうちに学校長から学級担任に学習進度についての聞き取りが行われ、学年全体で理科、2組で国語と保健の学習に遅れがあることが確認されました。翌日には未返却のテスト、未実施のワークテストもあることが発覚、19日に教育委員会に報告がありました。修了式を間近に控えた21日、本件について保護者への通知が行われ、さらに保護者からの要望があり31日には緊急で臨時学年保護者会が開かれました。
自習が続いた状況を学年の先生や管理職が気づけず、学年末まで放置されていたことに、私は非常に驚いています。授業がうまく進んでいかなかった先生自身にも、大変な混乱とプレッシャーがあったかと思います。なぜ同じ学年の先生や、管理職は支えるべき新人に十分な支援をすることができなかったのか、自習が続いている子どもたちの様子に気づくことができなかったのか、理解に苦しみます。こどもたちはずっと、自習が続いていることや、担任の先生、学年の先生方、校長先生などの大人たちの様子をみていました。学年末に慌てて授業を詰め込まれたことを、義務教育を受ける権利のある子どもたちはどう感じたでしょうか。大人たち、学校への失望につながったのではないでしょうか。
区教育委員会として、原因をどう考え、再発防止をどのように行なっていくのか、お答えください。
ゴールデンウィークも明け、新年度の緊張が解け、疲れが表面化してくる時期です。楽しくない学校に頑張って通っていた子どもたちの限界が訪れる時期でもあります。
文科省が2024年3月に公表した不登校要因に関する調査結果では、不登校のきっかけは、不安・抑うつ・不眠・起床不能・体調不良であったと選択した子どもの数が各項目とも約70%に達していました。しかし同じ項目を選択した担任教員は各項目とも20%未満で、子どもと教師の認識に大きなギャップがあることがわかっています。
不登校を理解し、認め、こどもも親も安心できるあたたかな施策が必要です。ところが文科省は、「ゆとり見直し」と言って、学習の極端な詰め込みをすすめてきました。日々の子どものストレスは増すばかりです。特に2020年度から始まった学習指導要領では、小学校4年以上で毎日6時間授業となり、小学校2年生でも6時間授業の日があります。一方で、授業間の休み時間が削られ、給食の時間も短くゆっくり食べられません。トイレの時間も足りません。さらに、遠足などの楽しい行事が減らされました。学校は子どもにとって遊びと生活の場でもあります。“忙しすぎる学校”は改めなければなりません。
いま目の前の子どもたちにきちんと向き合うために、区としてあらゆる手立てを講じるべきです。こどもたちの心を支えて、ケアしてほしい。継続してその子の心と生活に向き合っていける雇用を増やしてほしい。そのためにも、
区として、カウンセラーなどの心理職を正規で雇用し、各学校1名置き、かつ区として教員を採用することを求めます。
今年度も、「不登校・不登校傾向の児童生徒保護者交流会」がひらかれることになりました。募集が殺到し、定員が40人から60人と変更になりましたが、翌日には定員に達したようです。これまで、ひとりで悩んでいた保護者が、これだけたくさんいたということです。もっとたくさんの保護者が悩んでいます。区議団はこれまでも、保護者への情報提供や交流の必要性を求めてきましたが、保護者の方から最も強い要望が寄せられるのは経済的支援です。
不登校児童生徒にも、学校給食費無償化の対象となるよう昼食代等の補助を行うこと。フレンドセンターに通学する際のバス代の補助を行うこと。フリースクールに通う児童・生徒の保護者負担を軽減するといった、経済的な支援も求めます。
次に、高齢者施策の充実について伺います。
介護サービス需要の増加が続く中、介護現場における業務の効率化や職員の負担軽減を図る必要性が高まっています。国は介護DXを推進しているため、ケアプランデータ連携システムの導入促進が急務となっています。区は今年度、希望する事業所を個別に訪問し、業務効率化・負担軽減につながる伴走支援を行うとしていますが、人手不足解消につながる人材育成・定着となる仕組みが必要です。
足立区では、区内介護サービス及び福祉サービス事業所の職員に対する家賃支援事業がはじまります。板橋区でも介護現場で働くひとに対する家賃助成を求めます。
厚生労働省が今年3月に発表した「訪問介護における人材の確保・定着に向けた運営のあり方に関する調査研究事業」では、2023年度における訪問介護サービスを赤字と答えた事業所は約4割、サービスを問題なく5年程度継続できるとの回答は約9%と1割を切っています。報告書では、事業所の二極化が進んでいると示唆しており、自治体による対策も急務です。
介護倒産を防ぐために、特に訪問介護事業所への財政支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
高齢者の福祉施策は、個人の尊厳と幸福追求権の尊重を前提とし、高齢者の自立支援を行うことです。
区は、在宅高齢者の食の自立支援のためにお弁当をご自宅に配達する「見守り配食サービス」を実施していますが、登録制の配食事業者を周知しているだけです。物価高騰、年金目減りのなかでコンビニ弁当を一日かけて食べる方もいらっしゃいます。在宅高齢者が元気に自立した生活を送り続けるために、日々の食事への支援は欠かせません。他区では配食サービスの利用者負担を抑える取り組みもあり、板橋区もこれにならうべきです。
高齢者配食サービスの助成を開始すべきです。見解をお示しください。
次に、国保加入者全員へ資格確認書の送付を求めて伺います。
病院や調剤薬局で「マイナ保険証が読み取れない」「資格確認のお知らせを保険証だと思って提示され、説明が大変」などのトラブルが絶えません。渋谷区と世田谷区ではマイナ保険証をもたないひとに送付される「資格確認書」を、マイナ保険証の有無にかかわらず国保加入者全員に一斉送付することが報道されました。世田谷区では9月中旬に一斉送付とのことですが、その理由は資格確認書の交付申請が集中することが予想され、それに伴って被保険者への交付期間により受診機会を逃す恐れがあるため、としています。板橋区でも同様に、9月には資格確認書の交付申請が集中することが十分に予想されます。
保険者として、住民の医療を受ける権利を確実に保障するためにも「資格確認書」の一斉送付をすべきと考えます。見解を求めます。
次に、外国人を排除しない自治体を目指して質問します。
板橋区でも多くの外国人労働者が働いています。飲食店だけでなく、コンビニや介護などでも外国人労働者を目にしない日はありません。外国人労働者の中には、言葉のハンデなどにつけこまれ、最低賃金を割り込む低賃金で働かされ、パスポートや預金通帳をとりあげて自由を奪われるなど、さまざまな人権侵害に苦しんでいる人たちがいます。
国が外国人への差別、人権侵害に、迅速に対処できるよう、申し立てを受けて調整し、救済の手だてがとれる、政府から独立した国内人権機関を創設すべきと考えます。そして基礎自治体も、共生社会のあり方を模索し続け、特にこどもたちの権利保障とその親の就労環境を把握することが重要です。
基礎自治体でも外国人労働者の実態把握や行政手続きの支援が必要です。岡山県総社市では、外国人住民が安心して生活できる環境を目指すことを目的とし、外国人相談事業として多文化共生推進員を配置しています。区でも、外国人住民の労働・日常生活全般に関するワンストップの相談窓口の設置や相談員の配置など検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
外国人労働者には、もちろん家族がいます。日本で働きはじめてから、あたらしい家族ができることもあります。
文科省の推計によると、外国籍の義務教育年齢にあたる子どものうち、学校に通っていない子どもは8,600人にのぼります。また、子どもの生活のためにも、外国人の賃金未払いや劣悪な労働条件の改善が必要です。さらに、インターナショナルスクールに通う子どもの就学支援、日本語学習、発達障害などへの公的支援などの〝制度の隙間〟の課題解決も求められています。
文科省は4月4日、外国人児童・生徒への教育の充実策を検討する有識者会議の初会合を開きました。学校の指導体制をはじめ、外国人児童・生徒の進学・就職機会の確保策など総合的に議論することになります。委員からは、教員養成・研修での外国人児童・生徒指導に関する内容の充実を求める声や、多様な子どもを受け入れるための学校づくりの必要性を訴える意見が相次ぎました。
板橋区では、1989年度に入学した日本国籍でない児童生徒数は区内全体で155名でしたが、2024年度には1049名となりました。
区でも、外国籍・外国ルーツのこどもたちは多く、急激に増えています。そこで伺います。就学年齢にもかかわらず未就学となっているこどもは、区内にはいるのでしょうか。どのように把握できるのか、お答えください。
外国籍児童生徒の教育を受ける権利は、日本国憲法26条の主語が「国民」であることから十分に保障されてきませんでしたが、国際人権規約の内外人平等原則や子どもの権利条約などによって権利保障する運動が続けられてきました。さらに、こども基本法は「全てのこども」を対象としています。区においても、教育を受ける権利は国籍を問わず「全てのこども」にあると考えているのでしょうか。
「あの子は外国人だから教育や医療を受けられなくてもいい」「生活保護は日本人だけの制度であるべきだから、あの子のうちは受けられない」といった対応は、単なる排外主義で、区の目指す多文化共生とも相入れない思想です。そして大変冷たい、人間的でないものです。実際、多くの愛情溢れる大人たちが、子どもの国籍を問わずその子自身の学習や生活への支援に向き合っています。
その分、学校現場では大変な苦労があります。教職員からは「知能検査の数値は低いし、勉強にもついていけない子がいる」「発達の課題なのか日本語力の問題なのか判別が難しい」「どうやって指導していいかわからない」という声です。
どれも、その子に適した環境と学習を保障したいという強い思いからです。教員の研修の充実や、日本語学級の増設が求められています。また、多岐に渡る課題を集約し、こどもや保護者自身からも相談しやすい体制が必要です。
武蔵野市では、教育委員会内に帰国・外国人教育相談室が設置されています。板橋区においてもぜひ設置し、全てのこどもの教育を受ける権利を保障することにつなげてください。
現在東京都は、都内に10校ある朝鮮学校に対してだけ私立 外国人学校 教育運営費 補助を出していません。これは石原元都知事の時代から14年間も停止したままになっています。こども基本法とも、東京都の人権尊重条例とも相入れない差別的な措置です。一方、区は負担軽減補助金の制度を維持し続けています。そこで伺います。
区 外国人学校 児童・生徒保護者 負担軽減補助金の意義と理由をお示しください。
埼玉県川口市の芝園団地は、住民の半数以上が外国籍住民の団地として知られており、2017年度には自治会が国際交流基金地球市民賞を受賞しています。超高齢化と外国人との共生は、これからの日本社会の最大のテーマのひとつです。
板橋区にも高島平をはじめ団地が多くあり、そこには長く住んでいる日本人と、比較的あたらしく住民となった外国人住民がいます。接点の少ない両者のあいだを調整し、日本人も外国人も関係なく同じまちにすむ地域住民として共生していくことが大切です。
そこで区長に共生社会の実現への課題を伺います。また、住民コミュニティを分断し、差別を助長することのないようこれまで以上に共生社会実現のための施策を打つべきと考えますが、認識をお答えください。
最後に、小竹向原駅への交通手段について質問します。昨年度行った、東新町・小茂根地域交通意見交換会のなかで、地域住民アンケートが行われ「小竹向原駅への移動」に困っている住民が多いことがわかりました。今定例会で小茂根図書館近くに駐輪場があらたにできることは、大変うれしく思っていますが、
小竹向原駅駐輪場のさらなる増設と、早期にあらたな交通手段を検討することを求めますが、いかがしょうか。
以上で私の一般質問を終わります。