石川すみえ

🦄2022年第4回定例会一般質問🦄

2022.11.29

本日、本会議にて一般質問を行いました!
疲労困憊ですがひとまず原稿をぺたっと貼っておきます。

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ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問をはじめます。

まずはじめに、統一協会と板橋区の関わりについて、です。

私たち区議団は、区と統一協会の関りを断つため、独自調査を求めてきました。先般、調査が公表され、寄付や施設利用、区事業への参加など、関連団体との関わりがあったことが明らかになりました。また今後の方針として、「活動実態が社会的に問題となっている点を踏まえ、活動を擁護・容認するものではないことを明確にする」としています。しかし問題となっているのは、活動実態だけではありません。

統一協会の教理解説書である『原理講論』によると、最初の人類とアダムとエバの時代に、エバがサタンと不倫したから、人類は原罪を背負いサタンの血統となったこと。すべての不幸の原因はそこにあるため、人類を救うために血統の転換をしなければならないとし、そのためにはメシアである文鮮明によってえらばれた純潔の女性が、文鮮明の指名した男性と結婚し、原罪のない子どもが生まれることで人類は救われる、とあります。統一協会の信者の自己決定権は全面的に否定されており、結婚の自由も離婚の自由もなく、基本的人権を認めていません。

板橋区では、すべての区民が、個人としての尊厳を重んじられ、性別による差別的な取扱いを受けることなく、個人としての能力を発揮できる男女平等参画社会の実現をめざしています。

①こうした板橋区が目指す方向性と、統一教会の特異な教義は全く相いれないのではないでしょうか。区の認識を伺います。

統一協会は「文鮮明と女性信者との儀礼的性交以外に、人類が救われる道はない」という異常な性教義を背景にし、同性婚について人類を絶滅に導く「許しがたい蛮行」として否定し、夫婦別姓制度も家族破壊への陰謀とする異常な主張を繰り広げました。そして「愛情による絆で結ばれた家族」といった個人の内心に関わる文言を多く用いた、家庭教育支援条例の設置を全国の自治体にはたらきかけてきました。親が子どもに自立心や生活習慣を教えれば、いじめや虐待はなくなるというロジックで家庭教育に介入するものです。統一協会の教義を家庭にもちこむことで、いじめや虐待がなくなるわけがありません。

②2006年に改定された教育基本法では、家庭教育条項が設けられましたが「家庭教育の自主性を尊重」も明記されています。現行の教育基本法でも国や行政が家庭教育に介入することは許されていません。教育長の見解を伺います。

統一協会はジェンダー平等反対運動を繰り広げ、性教育にも執拗なバッシングを続けてきました。今後は、板橋区として一切、統一協会及び関連団体と関係を持たないことを、あらためて強く求めます。

次に、学校給食費の無償化を求めて質問します。

学校給食は、子どもたちの健やかな成長と発達にとって大切な教育の一環です。板橋区は、小学校でも中学校でも、自校式で「安全・安心・おいしく・楽しい」学校給食の実施と食育の推進に努めています。給食の時間は、子どもたちにとって最も楽しみな時間のひとつです。また、コロナ禍で給食には福祉としての役割があることが、改めて認識されました。全国で給食費無償化の動きが広がり、来年4月から葛飾区でも無償化となります。そこで学校給食費無償化を求め、以下質問します。

区は今年度予算で、「食材全体、特に油や小麦粉などが急に値上がりした。家庭の負担を増やせない」として飲用牛乳購入事業を実施しました。この秋、さらに油や小麦が値上がりました。年明けには2000品目を超える値上げが予定されており、来年2月にも再びこの秋の値上げに匹敵する波がくる可能性がある、という報道もあります。少なくとも

③飲用牛乳購入事業を継続していただきたいが、いかがでしょうか。

④昨年度、板橋区では学校給食の支出は約17億円と答弁がありました。このなかに、生活保護費及び就学援助費による経費は含まれているのでしょうか?含まれているとすると、板橋区が学校給食費無償化する場合、新たに必要となるのはいくらでしょうか。お答えください。

区は、学校給食法第11条「学校給食に要する経費は保護者負担」との規定を、無償化に踏み切らない理由としてきました。しかし、2018年参議院文教科学委員会で吉良よし子議員の質問に対し、当時の文部科学大臣は「地方自治体がその判断によって全額補助することを否定するものではない」と答弁しています。物価高で厳しい家庭を助けるために、いまこそ「義務教育は、これを無償とする」という日本国憲法の精神を発揮していただきたい。板橋区では小学校3年生ではひと月4350円、中学生はひと月5360円です。年額にすると、小学校3年生は47850円、中学生は58960円となります。この額は、家庭の大きな負担となっています。

⑤改めて、学校給食費の無償化を求めますが、教育長の考えをお示しください。

次に、交通課題の解消を求めて質問します。

交通は、人と人との交流、コミュニティがその本質です。社会経済と交通は、相互に影響を与えながら進化してきました。交通の発展によって、異なる文化の接触や交流が促され、文化が発展してきました。交通は文化も育むのです。まちの発展にとってもなくてはならないものです。加えて、住民が安心して、働き、暮らし、そして老いていくためには、交通権の保障は欠かせません。

そこで、地域の交通網の充実について伺います。

第三回定例会の竹内愛議員の一般質問に対し、区長は「区内の主要な公共交通の移動手段であるバスは、おおむね区内全域で運行されており、区内には交通不便地域はない」と答弁しています。この答弁に対し、わたしの活動地域の方々からは大変ショックと声が上がっています。それは、これまで大谷口・向原・小茂根・東新町などの地域のみなさんは、コミュニティバスのルートの検証もし、道路の幅員の確認もし、署名を集め、区議会に陳情を提出するなど、長く運動を続けてきたからです。区も、この地域に区役所までの公共交通機関が不自由なことを認め、検証を行ってきました。わたし自身もこの間、自動車の免許を返上したくても、生活の移動手段がなくてできない方の話、足が悪くて幹線道路をこえて日常用品の買い出しにも不自由している方の話を、たくさん聴いてきました。その不便な状況は、一切改善していません。

⑥それでも区長は、板橋区内に交通不便地域はない、という認識なのでしょうか。お答えください。

国は、免許返納後の高齢者の移動手段となる公共交通の利用環境の改善など、「高齢者の移動を伴う日常生活を支える取り組み」を始めています。全国の自治体でも、高齢者の移動手段の確保がすすめられています。

長野県木曽町では「地域公共交通計画」を策定し、交通体系の全体像を調査し、住民の交通不便状況を改善するためのバスやタクシーが運行しています。

23区でも、杉並区はグリーンスローモビリティ実証運行を実施しました。技術は常に進化しています。板橋区でも、

⑦未来型パーソナルモビリティの実証実験や、既存の交通手段、あらたなコミュニティバスなどを用いて、交通不便地域の改善を求めますが、いかがでしょうか。

次に、園バスの安全対策について伺います。

昨年に続いて、今年も送迎バス内に置き去りにされた子どもが死亡する事件が起きてしまいました。区は、区内の通園バスの実地調査も行っていると聞いています。人の配置は大前提ですが、システムやハード面を強化することも必要です。車内の天井に取り付け、エンジン停止後に車内で人の動きを検知すると、あらかじめ登録された携帯電話にメールが送信され、危険を外部に知らせるといった「車内置き去り検知システム」の通園バスへの設置も含め、早急な対応が必要です。

⑧区内幼稚園バスの安全対策について、実地調査の公開と、安全対策についての財政的支援を求めますが、いかがでしょうか。

次に、板橋交通公園を「インクルーシブ公園」にすることを求め、質問します。

板橋公園、通称交通公園は、基本構想が策定されました。今年度は「板橋公園再整備のための基本計画策定及び公民連携事業支援業務委託」のためのプロポーザルがはじまっています。区は再整備を進めるうえで目標にする事項のうちのひとつに「ユニバーサルデザイン」をあげています。

ユニバーサルデザインの遊具を配置しても、障がい児とその保護者が気兼ねなく遊びに来られるようなインクルーシブな遊び場ができるわけではありません。単なる遊具の設置よりも、まずは「どんな公園だったら遊びに来られるのか」と、公園利用者、公園を利用したいが利用できていない人たちに話を聞く必要があります。

インクルーシブな遊び場を実現するには、作る前・作っているとき・作ったあと、というプロセス全体で、利用者や利用したい人の声を聴き、反映することが大切です。

⑨P-P F Iの手法を用いると、業務委託契約は単年度更新となります。区と区民の関わりはどうなるのでしょうか。民間事業者が公園整備をするなかでも、区の役割を明確にし、公園整備について区が責任を持つべきです。見解を伺います。

「いい公園にしたい」という想いは、住民も行政も共有できるはずです。訪れるすべての利用者が歓迎される公園となるよう、区が整備したあとも住民の声を聴き公園づくりに反映する責任を負うべきです。

国の令和4年度第二次補正予算(案)における孤独・孤立対策関係予算に「屋外において子ども達が自由に遊べるプレーパーク、冒険遊び場の設置」が明記されました。公園の可能性は無限大です。しかし、子どもの居場所、遊ぶ発達の保障の場として、まだまだ十分に活かされていません。板橋区は緑の多い街であり、子育て支援にも力を入れると表明しています。区の資源と持ち味を活かした、取り組みを率先して進めていくべきです。また、再整備をまたずにできる改善はただちに行っていただきたい。

⑩交通公園内集会所を早く改修して地域住民が使えるようにしてください。

 

共産党区議団が公園で遊んでいる子ども達にアンケートをとった際に、駐輪場が足りないので仕方なく別の場所に停めていると怒られる、駐輪場を増やしてほしいという切実な声が寄せられました。

⑪交通公園の駐輪場の増設置を求めます。せめて土日だけでも、対応をお願いします。

区が行った交通公園整備にあたってのアンケートでは、「ボール遊びができるような広場をつくってほしい」という意見も寄せられています。

⑫ボール遊びができるスペースを交通公園内につくってください。見解を伺います。

次に、「こどもの味方」となる板橋区政への転換を求めて質問します。

まず、インクルーシブ教育についてです。

今年9月9日、国連障がい者権利委員会は、2014年の条約締結後、はじめて日本への勧告を出しました。勧告では、障がい児を分離した特別支援教育の中止、インクルーシブ教育に関する国の行動計画の策定を求めています。インクルーシブ教育とは、障がいのあるなしに関わらず、教育を受ける権利を保障することです。

日本の学校教育はこれまで、さまざまな教育条件を貧しいままで留め、障がいのある人たちの学習し、発達する権利を侵害してきました。しかしその中でも、人間としての豊かな発達を実現すべく取り組まれた、豊富な教育実践があります。こうした実践をさらに発展させるべきです。それも行わず、必要な教育条件の整備さえもしないで、支援が必要な生徒が通常学級に在籍している現状は、投げ込み放置といわざるを得ません。

⑬そこで伺います、国連の勧告について教育長の見解を求めます。また、通常学級への投げ込み放置とならないよう、生活支援員のさらなる増員が必要と考えますが、いかがでしょうか。

東京都教育委員会は、特別支援教育について、障がいの種別と程度に基づいて特別な場で行う特殊教育から、障がいのある子ども一人ひとりのニーズを把握し、適切な指導と必要な支援を行う教育だと説明しています。しかし実態は、障がいに応じた特別な指導・支援は、特別支援学校・特別支援学級・特別支援教室といった特別な場でしか用意されていません。しかもこれらの特別な場は、通常の教室から離れている・隔離されている場合もあります。特別な場で学ぶ子どもの数は増え続けています。このことは、“通常のクラス”が障がいのある子を受け入れる「インクルーシブ」な状況となっていないことの表れでもあります。日本政府も板橋区も「インクルーシブ教育」をかかげています。しかし、特別な子を取り出し、取り出した先で教育活動を行う現状では、インクルーシブ教育とはいえません。

⑭そこで教育長に伺います。インクルーシブ教育の実現にむけて、どのようなことが必要だとお考えでしょうか。さらに、区立幼稚園ではインクルーシブな環境がうまれていますが、小学校ではなぜできないのでしょうか。お答えください。

区では現在、幼稚園は15名、小学校は35人学級がすすんでいる最中でいまは3年生まで35名、中学校は40名、ただし中学校1年生のみ東京都の補助があり35名、という集団で、学級規模を決めています。これだけの集団で、ひとりひとりの声を十分にきけるのでしょうか。

⑮「共に生きる」「排除しない」集団にするには、小集団であることが大切です。35人でも多いくらいです。幼稚園の集団の考え方をまず改め、小学校中学校でも少人数学級をすすめるべきと考えますが、見解を伺います。

 

すべてのこどもが「学校は自分を歓迎している」と感じるには、こどもの声を聞き、返していくことが重要になります。学級規模を小さくし、支援の必要な子ども一人ひとりに支援員がつく体制をつくるべきです。

 

10月17日の教育委員会で、区立高島幼稚園の魅力発信に向けた取り組みについて報告されました。この報告には、区立保育園で医療的ケア児受け入れ体制が整備されている状況を踏まえ、高島幼稚園においても医療的ケア児受け入れの検討を進める、とあります。また、来年度から週二回仕出し弁当による昼食の提供がはじまります。高島幼稚園の支援の幅をさらに広げていただきたい。

⑯区立幼稚園での給食提供や、医療的ケア児受け入れには新たな居室が必要です。高島幼稚園の施設改修を求めますが、いかがでしょうか。

⑰また、4月から幼稚園、小学校、中学校で医療的ケア児が受け入れられるよう予算と看護師を含めた人員体制を求めます。お答えください。

 

次に、学校教育のジェンダー平等を求めて質問します。

ここでお聞きのみなさんに考えていただきたいと思います。女の子が好きな色は、何色でしょうか。株式会社ワコールが5歳~18歳の女子を対象に行った調査では、女子がいちばん好きな色は「黒」でした。次に、「水色」「白」と続きます。ピンクは4位でした。保育教育の現場では女子はピンク、男子は青、と無意識に使われていることも多くあります。大人の思い込みは子どもたちの可能性を奪い、最悪の場合には人権侵害や性被害を見逃すことにつながります。だからこそ私たち大人は、こどもの人権について常に考え、向き合い続ける必要があります。

昨年10月、板橋区立学校の教員がわいせつ行為で逮捕される事件が発生しました。このことを受け、区教育委員会は同年12月に区立学校服務事故再発防止対策委員会を設置し、提言をもとに、今年9月に「子どもへの性暴力等防止ガイドライン~わいせつ行為の根絶に向けて~」を策定しました。

ガイドラインには、児童生徒性暴力等の早期発見のための取組として、学校内相談窓口の設置や学校園内での情報共有体制の構築をすることを示しています。しかし、児童生徒及び教員からの性暴力の告発を適切に受け止め、被害を最小限におさえるためには、校内だけの対応では不十分です。

⑱最低でも、教員が学校内での性暴力の疑いを発見した場合、区教育委員会にも通告する仕組みの構築を求めます。教育長は学校現場だけで「わいせつ行為の疑い」や「教員から児童生徒への性暴力」の対応をさせるつもりでしょうか。答弁を求めます。

こどもを守るためには、まず加害者となりうる教員を含めた大人の意識改革、そして認識をアップグレードし、感度を高めることも必要です。板橋区教育委員会は今年度から年2回、性暴力等に特化した研修を行うこととし、研修にはチェックシートを用いることになっています。

⑲このチェックシートには「相手が不快に思うかどうか関係なく、容姿・年齢・恋愛に関することやわいせつな発言をしていない」とあります。当たり前のことですが、教育現場だけでなく社会では当たり前となっていません。学校現場で教員が該当の発言をした場合、子どもや保護者はどこに相談したらいいのでしょうか。また区教育委員会はどのように指導するのでしょうか。お答えください。

日本共産党は、いち早く公教育に包括的性教育をとりいれるべき、と提案してきました。文科省は性暴力から身を守る「いのちの安全教育」をはじめましたが、包括的性教育とは程遠い中身です。抽象的にいのちを扱うのではなく、からだのリアリティを通してからだの権利教育を行うべきであり、学習指導要領にいまだに残っている「はどめ規定」を早く取り払うことが求められています。変わるべきは大人のほうです。

わたしのところには、いまだに信じられない発言や指導についての相談が届きます。学校現場はまだまだ古い感覚が根強く残っています。ある保護者の方は、「学校でも大人と二人きりにならないように、と子どもに伝えている。子ども主体になっていない場が多く、子どもを人質にとられている気分だ」と言います。


⑳ 学校で、男女一緒の部屋で仕切り等もなく着替えている事例があります。就学時検診も、小学校低学年の体育の授業時でも、当然配慮が必要です。ただちに調査し改善すべきです。

㉑ また、今年のプール指導で、教員から「生理中でも水泳授業ができる。水の中にいるあいだは経血はでてこないので」と言われた子がいます。教員の不適切な発言について、改めて指導し、学校に通知をすべきです。教育長の見解を伺います。

わたしたちは学校トイレの生理用品配置について、質問で取り上げるだけでなく予算修正提案もしてきました。今年、高島第二小学校、板橋第五中学校で実験的に配置する取組が行われたとのことです。ぜひ考え方を広げていただきたい。

㉒ 学校トイレに生理用品の配置をしてください。その際には、学校現場の他の消耗品などが削られないよう、新たな予算措置を行うことを求めます。

次に、よりよい保育を求めて質問します。

2000年に株式会社が保育へ参入することを解禁する際に、国は「弾力運用」を認めました。これにより、板橋区が保育園に払ったお金が、板橋の子どもには使われず、保育会社があまらせ、貯め込んで、他の自治体での保育園建設や運営に使ったり、高齢者介護や学童保育など、保育以外の事業にさえ使えることが可能になっているのです。人件費率を下げる要因にもなっているのではないでしょうか。板橋区では、

㉓ 2021年度決算要求資料により、弾力運用の総額は27園、約4億8600万円でした。そこで伺います。私立保育所の未支払資金残高取り崩し協議書及び積立資金取り崩し協議書、補助金の支払い、東京都の公開資料等から、各事業所の人件費率を把握し、公開してください。

㉔ 弾力運用は、人件費を削り、貯め込むことで「保育の質」を低下させるのではないか、という疑念が尽きません。区長の認識をお示しください。

公設民営の区立園であるにりんそう保育園は、9月28日の文教児童委員会で来年度から2か年を区直営とし、その後民営化することが報告されました。2021年度の保育園管理運営経費のうち、運営委託費の32,835,832円が返還されていないことを、区は法人と委託契約を継続しない理由としています。これは定員がうまらないために生じた返還金であるため、他の認可園でも同様のことが起こりうるのではないでしょうか。そこで伺います。

㉕ 区が公認会計士などによる財務評価を行い、運営に支障が生じないよう、必要な支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

この間、国は待機児童対策としてまずは定員確保を優先し、規制緩和を繰り返し、施設整備を進めてきました。しかし新型コロナパンデミックの影響も受け、少子化が加速し、一部定員が埋まらない状況も生まれています。100名規模の保育園が突如閉園することも起こり得ます。その時に、子どもや保護者は一体どうなるのでしょうか。送迎の手順の変更、大好きな先生が全員変わる不安、保護者やこども自身のストレスは計り知れません。保育の実施義務がある自治体の姿勢が問われます。

㉖ 園が閉園となってしまった場合、区はどのように在園児の定員を確保し、保護者の希望に沿っていくつもりなのでしょうか。具体的にお示しください。

万が一のときに、責任をもって保護者と子どもを受け取るのは区立保育園が行うしかありません。区立保育園しか担えない役割が、ますます増えているのが現状です。

㉗ そこで改めてお伺いします。現在のような保育をめぐる状況が急激に動いているなかでも、区立保育園民営化計画をすすめるのでしょうか。答弁を求めます。

次に、社会的養護の充実を求めて伺います。

社会的養護とは、保護者のいない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。施設養護と、家庭養護の2つに分かれています。家庭養護のうち、特別養子縁組とは、なんらかの事情で産みの親が育てられない子どもを、親になれる家族が迎え入れる制度で、子どもは法律上も実子となります。今、国では里親制度の拡大を進めています。一方で、そのための支援策は十分とはいえず、改善が求められています。例えば、子どもが生まれると、会社の制度等で出産祝い金がでることが多くありますが、区職員が特別養子縁組で子どもを家庭にむかえた場合、出産祝い金の対象となりません。子育てが始まる事実は、実子でも養子でも変わりません。

㉘ 特別養子縁組でも出産祝い金の対象とすべきです。いかがでしょうか。

 

また、健康保健や扶養手当にも差が生じています。養子縁組は家庭裁判所の審判で成立し、最低6カ月間の試験養育期間が設けられています。この期間、子どもは住民票は一緒になっていますが、同居人扱いです。親となることを希望する夫婦は、多くは児童相談所、あるいは民間あっ旋団体を介すことになります。どちらを選ぶかで、費用面で大きな差がうまれます。児童相談所を介した場合は、子どもの医療受診券が発行されますが、民間あっ旋団体を介した場合はありません。親となるひとの社会保険に入れればいいのですが、入れないケースが多く、家庭裁判所の審判が確定するまでは、子ども自身だけが国民健康保険に加入することになります。また、児童相談所を介した場合には家庭裁判所の審判確定までこどもの生活費が一部支給されますが、民間団体の場合にはすべて親となる家庭の持ち出しとなります。

㉙ そこで伺います。民間あっ旋団体を介した特別養子縁組の試験養育期間中の健康保険加入や扶養手当、育児給付金支給格差の実態について、板橋区児童相談所は把握しているのでしょうか。その実態をお示しください。

㉚ また国に対し、特別養子縁組の試験養育期間中も扶養に入れるよう求めていただきたいが、いかがかでしょうか。

法律上の実子となっても、「育った家庭とは別に、産んでくれた女性がいる」事実はかわりません。こどもには自分のルーツを知る権利があり、家庭には支援が必要です。㉛ 家庭裁判所の審判確定後も、児童相談所が「社会的養護」の要となるべくこどもと家庭の支援をすべきです。見解を伺います。

 

こどもは家庭を選べません。どの家庭でも、家庭ではなくても、すべてのこどもが暖かくむかえられ、その子の力で発達していく環境整備をしていくのが公の責任です。国は家庭養護を重視する方向性を示していますが、現状は施設養護となるこども達が多く、施設養護の充実も欠かせません。わたしは以前から、板橋区内に乳児院の設置をすべきと求めていますが、それは乳児院には乳幼児の一時保護機能もあり、また実親の自立支援、養育支援のためにも欠かせないからです。区はこれまで、乳児院の設置の必要性は認識していると答弁していますが、設置にはいたっていません。

㉜ 板橋区内でも乳児院の設置が急務です。準備の検討状況をお示しください。

特別養子縁組以外でも、公的責任として社会的に養育・保護するためには、「逃げ込める先」が重要です。母となる女性が実質パートナーとなっている相手、あるいは子と離れる場所の確保が急務です。「暴力から逃げたいが、子どもが学校にいけなくなる」「子どもと離れることになってしまうのでは」「児童相談所が子どもを返してくれなくなるかもしれない」といった懸念を払しょくし、すべてのこどもに適切な養育環境を用意しなければなりません。

㉝ 母子あるいは父子といった、主たる養育者とこどもが一緒に逃げられ、生活をし続ける場所が必要です。公営住宅の一部や、シェアハウスの一室などを区が借り上げ、こどもが学校園に通い続けながらも暴力から逃げられる場所の確保を行ってください。見解を伺います。

子どもを育てるのは大変な仕事です。実子を育てていても、里親でも、大変なことに変わりはありません。また家庭の数だけ、子育てのやり方があります。子育ての多様性を認めながら、公的責任として子育て家庭を支援することが求められています。区でもさまざまな検討をはじめていますが、養育者を支援するために、

㉞ 家事育児に疲れたときに、どの家庭でも、すぐに利用できる無料の家事援助サービスの実施を求めます。

 

児童相談所設置市となったことで、子育て・教育・障がい・母子保健などの分野でも、区で行うべき業務が増え、子どもに対する責任も増えました。

㉟ 福祉職全体の底上げが必要です。区はどのように人材育成を行っていくのか、必要性の認識をお示しください。

 

最後に、こどもの権利条例の制定を求めて質問します。

今年6月、こども家庭庁設置法が可決され、こども基本法が成立しました。虐待・いじめ・不登校・自殺など、こどもの権利侵害は極めて深刻です。日本は「子どもの権利条約」を批准しながらも「子どもの最善の利益」「生命、生存及び発達に対する権利」「意見表明権」「差別の禁止」の4原則を軽視し続けてきました。いま必要なのは、子どもを権利の主体として明確に位置付けることです。そして、子ども予算の増額、子どもに関わりケアをする専門職員を大幅に増やすことです。

子どもの権利状況の改善にむけた施策を展開するために、毎日子どもたちと向き合って施策をしている自治体こそ、子どもの権利の理念を共有する土台が必要です。子どもの意見を反映した条例を、区民と共につくりあげていくべきです。そのためにも、㊱ 板橋区こどもの権利条例の制定を求めます。

 

以上で、わたしの一般質問を終わります。

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