【いわい】
今年1月から10月の介護事業者の倒産件数が145件と、これまでの年間最多を上回り、訪問介護が過去最多の72件と半数を占めています。このままでは介護事業者の倒産に歯止めがかからず、介護難民の発生が現実味を帯びていると指摘されています。
世田谷区では、区内にある高齢者・障害者施設への緊急安定経営事業者支援給付金の申請受け付けが始まり、事業者から助かると歓迎されています。世田谷区の担当者は、訪問介護の基本報酬引下げを受け、苦境に喘ぐ事業者が区内でも増えているという実態を踏まえて、給付金を支給することにしたと話します。
一方、坂本区長は9月の一般質問で、給付金実施の要求に対し、全体ではプラス会計だから必要はないと否定しました。私たちがこの間行ってきた区内の訪問介護事業所への実態調査では、事業所自体の基本報酬が下がったことで、ヘルパーの時給の見直し、コストカットなど、あらゆるところでマイナスが生じている。今回の報酬改定で本当に困っている。介護報酬が実質引下げなのに、ヘルパーの時給を引き上げなくては人が集まらないと悲痛な声が寄せられています。 そこで区長に伺います。区長は訪問介護事業所への実態調査を求めても、次期計画策定でと繰り返すばかりです。次期計画策定を待っていたら、板橋区でも介護倒産が生まれかねません。区長は区内で介護倒産が起きてから対策を考えると言うのでしょうか。区長の認識をお示しください。区として訪問介護事業所への物価高騰対策緊急支援金の実施を求めます。
【区長】
区において、経営難を理由とする事業所の閉鎖件数は、令和6年度は前年同数の1件で、報酬改定による顕著な影響は確認できていない。区は、令和7年度に介護保険サービス事業所の経営状況や課題等について調査を実施する予定。国でも介護報酬改定の影響調査をすることとしている。今後も事業所の状況把握に努めていく。
また、区は事業者への直接的金銭給付による経営支援ではなく、ICTまたはDX化の推進による人材確保や負担軽減に向けた業務支援に取り組む。
【いわい】
区の介護認定の期間が長くなっていることで現場は疲弊しています。医療機関では退院後の介護への連携を行おうと思っても、認定が進まないために退院できず、ベッドが空かないといった事例が区内でも発生しています。区は新型コロナ感染拡大の際の認定有効期間延長分による申請件数増加が要因として、臨時の認定審査会や審査会の件数上乗せなどの対応でコロナ前に戻るとしてきましたが、認定審査の委託先拡大は3か所にとどまっており、いまだ認定期間の短縮は見られません。今後も高齢者人口の増加に伴い件数増加が見込まれており、一層の体制強化が必要です。介護認定期間が30日以内となるのは一体いつなのか、お示しください。認定期間が長くなっているのは新型コロナ感染拡大時の有効期間延長後の申請増加だけではなく、認定調査員となるケアマネジャーの成り手不足が大きな要因です。区として、どうやってケアマネジャー不足を解消しようと考えているのか、お答えください。
また、認定調査委託料について、他の自治体と比較して低い状況だと認識していながら、調査委託の条件改善に向けた継続的な取組などと言っている場合ではありません。直ちに1件当たりの認定調査委託料の引上げを求めます。
【区長】
介護需要の増加などにより、介護認定に要する期間は、30日以上を要している。この解消の時期を具体的には示し得ない。日数の短縮に向けて、事務改善の取組を行う。
介護産業全般に共通する人材不足は、確保のための入門的研修や育成・定着支援として、主任ケアマネジャー研修など、継続的に実施をしていく。
また、介護認定調査の委託料は、調査業務の受託条件改善に向けて、引き続き取り組む。
※区長の答弁は、いわいメモからの要約です。正式な答弁は、後日区議会のホームページで公開されます。