
6月5日、板橋区議会第2回定例会初日の本会議で、区長と教育長に対する一般質問を行いました。
テーマごとに報告します。
※区長の答弁は、いわいの聞き取り要点メモです。正式な議事録は、後日区議会ホームページで公開されます。
1.住民無視の「高島平まちづくり」を住民参加へ
初めに、高島平のまちづくりについて質問します。
昨年6月に区が発表した地区計画案に対し、旧高7小跡地の110mもの高さ制限緩和と、隣接する区道の緑地帯を分断して高島通りにつなぐことに、住民が納得できる回答がないまま1年が過ぎました。住民の声に耳を貸さない区の姿勢に対し、一旦ストップしてほしいと、計画の「撤回」を求める声が相次いでいます。
Q1.3月22日には、住民有志が呼びかけたまちづくりを考える「住民集会」に200人が集まり区の横暴な進め方に怒りの声が上がっています。4月15日には、地元の高島平2・3丁目団地自治会が3,538筆の反対署名を区へ提出しています。この署名に高島平の20の町会、自治会のうち、9つが協力したことは、過半数の町自治会が区の計画や進め方に問題があると考えているということです。このことを受けても、区は「住民合意がある」と考えるのでしょうか?区長の見解をお示しください。
【区長答弁】
高島平~地区計画においては、都市計画手続の各段階において、全体説明会、オープンハウス型説明会、個別相談会を合計42回開催してきた。地区計画は専門的内容が多いことから、理解度や関心事に応じた説明が必要。継続的な個別対応で着実に地域住民の理解が深まっている。現時点では具体的な建物や道路の計画を示す段階ではなく、住民の心配や不安につながっている。引き続き進捗に応じた説明や情報発信に努める。
Q2.4月28日、私たちは、住民のみなさんとUR都市再生機構に「計画の全容を示すこと」、「住民合意のないまま進めないこと」の申し入れを行いました。その際、URは、33街区の1995戸に近い世帯の転居先を、旧高7小跡地に建設する住宅だけでなく、現在の33街区にも賃貸住宅を建設し、戻り入居ができるようにすると回答しました。であるならば、無理して旧高7小に110mの高さの住宅を建てる必要はありません。このことについて、区長はいつから知っていたのかお答えください。また、URは、110mの高さ制限緩和は「区が決めた」と回答しました。なぜ、110mとしたのか、根拠をお示しください。
【区長答弁】
地区計画による建築物の高さ緩和について、令和4年の高島平地域都市再生実施計画で、居住者が2度移転することなく建て替えを行う連鎖的都市再生を打ち出している。区は33街区の建て替えが完了した後、将来的にその街区の一部をUR都市機構が次なる連鎖のために賃貸住宅を建設する可能性は以前から認識している。建て替えに伴う移転先住戸を確保するために、再整備地区の高さの緩和が必要で、駅の拠点性や区内の近傍事例を踏まえ総合的に勘案した結果。
東京新聞に、1990年の日野市・多摩平団地の建替え経過が掲載されました。住民から「家賃が高くなる建て替えは反対」と声が上がり、当時の団地自治会長からの「話し合いながら検討しよう」との提案を拒否せず、互いに歩み寄り、住民・公団・行政の「三者勉強会」が始まり、公団は、「予算内なら喜んで直す」と図面を50回以上も書き直したそうです。その結果、「高齢者も大事にされた」と一般的な戻り入居の割合を超えて、60%の住民が戻ってきたそうです。URは、多摩平団地の建替えを「合意形成した建て替えのモデル団地」と位置づけ、日野市の都市計画課 担当者も「三者勉強会に市がいることで、一体的な街づくりができた」と話しています。90年代にできたことが、いまできない理由はありません。
Q3.反対の声が上がった時こそ、合意形成を構築するチャンスです。区とURの都合だけで計画を進めず、住民参加のまちづくりとなるよう、一旦立ち止まることを求めます。区長の見解をお示しください。
【区長】
建設から50年が経過した高島平地域は、少子・高齢化の進行、公共施設を含むインフラの老朽化、水害への備えなど、解決すべき課題がある。約10年に及ぶ計画策定を終えて、実行期に移行。課題解決とともに、次の10年、100年先を見据えた都市への転換が必要。長期にわたる都市再生の第一歩となる交流核の形成を早期に実現し、その効果を地域全体に波及させるため、スピード感を持って進めながら、地域住民の理解が得られるよう対応する。