
6月5日、板橋区議会第2回定例会初日の本会議で、区長と教育長に対する一般質問を行いました。
テーマごとに報告します。
※区長の答弁は、いわいの聞き取り要点メモです。正式な議事録は、後日区議会ホームページで公開されます。
2.「板橋区基本計画」は住民こそ主人公に
次に、板橋区基本計画について質問します。
現在、10年後の望ましい街の姿を示す基本理念や将来像を掲げる「板橋区基本構想」が検討され、来年1月には基本構想に基づく10年間の「板橋区基本計画」と3年間の「実施計画」がセットで策定される予定です。
10年間の計画は、区のあらゆる分野の計画も連携して検討されます。様々な分野でこれまでの10年がどうだったのか分析し「社会的課題」に正面から取り組む視点や姿勢が必要です。
(1)あらゆる差別をなくす
第一に、女性や障害者への差別など、あらゆる差別をなくすことです。
まず、女性差別についてです。
日本のジェンダーギャップ指数の順位は、146か国中118位で、最初に発表された2006年の80位から大きく順位を落としています。G7主要7か国の各国がジェンダーギャップの克服を進める中で、日本は特に経済分野での管理職や、政治分野の女性比率が大きく立ち遅れています。それは、板橋区の女性管理職数が抜本的に改善されず、会計年度任用職員の約80%以上が女性であることなどにも現れています。しかし、
Q4.区の基本構想の中間答申が、「男女平等」の文字を削除し、「多様性」に一括りにしていることは、女性差別をなくす姿勢の後退に他なりません。この10年で、女性への性暴力、男女の賃金格差、女性の貧困などは未だなくなりません。区長の「女性差別」に対する認識をお示しください。
【区長答弁】
女性をめぐる課題は、多様化・複雑化しており、解決すべき問題、社会問題として認識をしている。区は、男女平等参画基本条例の基本理念に、人権の尊重と性別による差別的な取扱いを受けない社会の実現を掲げ推進している。引き続き、性別に関係なく、全ての人の人権が尊重され、あらゆる差別の解消へ向けた施策に取り組んでいく。
国連女性差別撤廃委員会が4度も勧告しているのが、選択的夫婦別姓導入に向けた法改正です。国会の法案審議入りに、国民の期待も高まっています。
日本が夫婦同姓を強制していることは、憲法にも、女性差別撤廃条約にも反しています。選択的夫婦別姓制度は、賛成か反対かを問うものではなく、「選択できること」を認めるかが問われています。憲法24条は「婚姻は両性の合意にのみに基づいて成立し」と謳い、これは、親を含め他人が結婚に口出しはできず、「個人の尊厳」と「両性の平等」に基づくと示されています。憲法制定の段階で、明治以来の家父長的家族制度は終わったのです。
女性差別撤廃条約は、板橋区も推進してきたSDGsの一環です。そこで区長に伺います。
Q5.選択的夫婦別姓制度の導入において、「姓名の変更や夫婦同姓を強制しない」法整備とならなければ、女性差別はなくならないと考えます。区長の考えをお答えください。
【区長答弁】
我が国の婚姻制度においては夫婦別姓が認められておらず、多くの場合、女性が姓を変更し、社会生活において不利益や負担を強いているという意見があることは承知している。一方、選択的夫婦別姓制度については、制度や家族の在り方と関係する問題であり、国民の意向を踏まえ、国において慎重に検討を進めていくもの。
困難女性支援法の施行から1年。女性人口に対する女性相談支援員の人数が23区で最も少ないのが板橋区だと報じられました。
女性相談支援員は、DVや性被害、生活困窮などに直面する女性の深刻で複雑な悩みに応えた支援や対応が求められる業務です。区の女性相談支援員は各相談機関に一人ずつ配置されている3人のみで、多い時は1人当たり10件ものケースを同時に扱うこともあります。その際に、緊急相談が入れば、相談員の「やりがい」という使命感に頼る状況です。休暇を取る際は、母子父子自立支援員が臨時で対応しますが、継続する案件を任せるわけにいかないのが実態です。
豊島区では、5~6人のチームで対応し、ケース会議など対応の検討や相談相手がいることが、女性相談支援員ひとりに任せきりにならない状況をつくっています。
Q6.板橋区の女性相談支援員を、各相談機関にそれぞれ複数配置できるよう改善を求めます。
【区長答弁】
女性をめぐる課題は複雑化、多様化、深刻化しており、困難な問題を抱える女性への支援は喫緊の課題と認識している。女性相談支援員を各相談機関1名配置しているが、必要に応じて、母子父子自立支援とも連携をして対応している。各相談機関に女性相談支援員を複数配置することは、相談の現況や他区の配置状況などを勘案して見極めるが、当面は現状の配置で対応していく。
区内在住の女性は、過去の性的DVによるPTSDを抱え、治療を継続してきた女性が、生活保護を申請しようとした際、「男性との面談も電話による通話も怖くてできない」ため、貯蓄がわずかになっても、福祉事務所に相談できずにいました。区と話しても、「総合相談は予約できないので、女性が対応できるとは限らない」と言われ、保護申請に対する調査や担当ケースワーカーは男性のまま、繰り返す交渉でようやく面談の際に女性職員が付き添って対応することとなりました。その女性にとっては、最も頼るべき福祉事務所が、不信感を募らせる対象になっています。医療機関による診断が明らかにも関わらず対応が遅れることがあってはなりません。そもそも、福祉事務所に寄せられる深刻で複雑な相談が増えていることから考えても、人員増が必要です。
Q7.過去の被害や経験により「男性がこわい」といった場合、「必ず」女性が対応するなど、総合相談やケースワーカーの体制強化を求めます。
【区長答弁】
令和6年度の組織改正で、ケースワーカー及び面接相談員は、社会福祉法の標準数に基づく80対1で配置をした。様々な困難や課題を抱えた方については、状況に合わせて、複数の職員によるチームで対応することも実施している。今後も寄り添った支援をしていきたい。
次に障害者への差別についてです。
区の障害者活躍推進計画は、2024年から2026年度が第2期の計画です。しかし、現在も、区における障害者雇用は、2.57%で2.8%の法定雇用率は守られておらず、2026年度に引き上げられる3.0%も達しない見通しです。それどころか、障害者活躍推進計画の目標値が、2.8%のままで、2026年度の法定雇用率より下回ることは問題です。
Q8.障害者活躍推進計画における目標値を、法定雇用率が引きあがり続けることを前提に、法定雇用率を超えて掲げるべきと考えます。また、その実現になにが課題になるのか、区長の見解をお示しください。
【区長答弁】
区は、障害者雇用率の令和8年度目標値を法定基準の2.8%としており、継続して障害のある方の採用を進めている。目標達成に向けて、障害特性に応じた業務内容や環境整備に加え、庁内の理解促進と定着支援に取り組む。昨年度から、人事課による伴走型支援を開始しており、さらなる充実に向けて、検討と改善を行っていく。
区の「障害者活躍推進計画」には、区職員の障害者雇用における「募集・採用」に「自力で通勤や介助者なしで業務遂行ができることを条件としない」と示しています。しかし、区は「区職員は、原則自動車通勤禁止」を前提に、障害者雇用で働く職員の庁舎地下駐車場の利用をあくまでも「例外」として、所属長が必要と認めた時としていることは、障害者差別解消法が義務化した「合理的配慮の提供」に欠くものです。その上、障害者雇用における「駐車場」の需要について実態調査さえ行わない姿勢は問題です。
Q9.区の障害者活躍推進計画の「自力で通勤や介助者なしで業務遂行ができることを条件としない」とした障害者雇用を区自身が、どのように実現するのか、区長の考えをお示しください。
【区長答弁】
障害者を対象とする特別区職員採用選考は、活字印刷文または点字による出題に対応できることのみを条件としており、その他の条件は付していない。選考を経た区の採用予定者には、配慮が必要な事項を丁寧に聞き取って、合理的配慮指針を参考としながら、これまでどおり柔軟に対応していきたい。