いわい桐子

板橋区基本計画策定に向けて「住宅政策に「住まいは人権」を(一般質問④)

2025.06.24

6月5日、板橋区議会第2回定例会初日の本会議で、区長と教育長に対する一般質問を行いました。
テーマごとに報告します。

※区長の答弁は、いわいの聞き取り要点メモです。正式な議事録は、後日区議会ホームページで公開されます。

(3)住民政策に「住まいは人権」を

次に、住宅政策についてです。

基本構想・基本計画の改定に合わせて、2026年度~2035年度までの10年間の区住宅マスタープランとなる「住まいの未来ビジョン2035」の策定が進められています。いま重要なのは、倍率が高止まりを続けている公営住宅の需要に応えて、必要な公営住宅を整備し、住民に提供できる10年間になるかどうかです。

計画策定のため、国の推計プログラムを活用して算出された区の公営住宅の必要量は、11,324世帯で、区内公営住宅の総戸数が12,420戸のため公営住宅は充足しているとしています。

しかし、その推計は、住宅セーフティネット法で定める「住居確保要配慮者」数約42,000世帯から、「障害者」を排除した上、現在の公営住宅入居対象に絞っているため、需要より大幅に小さくなっています。これでは、家賃負担が高いために親元を離れられないという「若者の自立」を阻んでいる社会問題などは、住宅政策から置き去りです。

 そもそも、このプログラムの利用の手引きには、「地方公共団体の厳しい財政状況の下、公営住宅の量的拡大は困難」と決めつけて、公営住宅が必要な対象を絞り込んで、小さく算出することが前提になっています。住まいの未来ビジョンの基本理念に「だれ一人取り残さない社会をめざし、だれもが いつまでも暮らしやすい“住まい”を実現していく」と謳うなら、社会的な需要を適切につかみ、計画的に公営住宅を増やすべきです。

そこで区長に質問します。

Q13.国の「住宅確保要配慮者世帯数推計支援プログラム」により、住宅セーフティネット法が定める「住居確保要配慮世帯」数から、「障害者」や公営住宅の資格対象ではない「60歳未満の低所得者数」が排除されています。そのことで、本来必要な公営住宅の必要量が算出されていないことに対する区長の見解をお答えください。

【区長答弁】

区は国土交通省の住宅確保要配慮者世帯数推計支援プログラムを活用し、著しい困窮年収水準未満世帯のうち、最低居住面積水準と高家賃負担率から、特に住宅の支援が必要となる要支援世帯数を推計した。その要支援世帯数に対し、低廉な家賃の民間賃貸住宅を含めた公営住宅等のストックは、十分に供給できる戸数である。

いま、東京の住まいは、地価の高騰に連動して住居費が異常に高くなっている上、住宅の広さは都道府県で最低です。借家が狭く、広い家に移ろうと思っても家賃や住宅価格が高く、もはや東京には住めない状況です。こうした状況を改善して、安心して住み続けられる状況をつくるのが「住宅政策」です。

その一つとして、住生活基本法における「居住面積水準」の住まいの確保です。東京の家賃は高く、生活保護世帯が住宅扶助基準の単身で月額53,700円という家賃で住むことができる住宅を見つけるのは容易ではありません。そのため、「最低居住面積」を下回る住宅に住んでいるケースも少なくありません。住生活基本法における「豊かな住生活の実現」に届いているかどうか、実態把握を行い計画に反映させるべきです。

Q14.住宅マスタープラン策定にあたり、生活保護世帯が居住する住宅の広さについて実態調査を行うこと、最低居住面積を確保できる住宅扶助を支給できるよう、国へ働きかけることを求めます。

【区長答弁】

生活保護受給者の方が狭小住宅に住んでいる場合は、福祉課内の検討会議で検討し、住環境改善のため、転居しているケースもある。現在のところ居住面積の実態調査を実施する考えはないが、今後も家庭訪問で生活保護受給者の生活状況を確認する際、住宅環境の課題について把握していきたい。

国が定めている住宅扶助の基準額は、大都市の生活実態に合わせた額とするよう、東京都を通じ国に要望を行っている。住宅居住面積拡大に特化した要望を行う考えはないが、住宅扶助の拡充は、引き続き要望していきたい。

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