3月6日、区長の施政方針に対して代表質問を行いました。
長文なので分割して、掲載します。
(2)次に、アウトソーシングの見直しを求めて質問します。
区は行財政改革の名の下、定型業務・窓口業務の委託化、指定管理者制度の導入、民営化等を次々と推進してきました。坂本区政の16年間で、指定管理者制度は、文化会館、区営住宅、地域図書館など、98か所もの施設に導入を進めています。
10か所の地域図書館は、館長さえも1年契約の雇用で、司書など高い知識や専門性が求められる人も有期雇用であることが問題視され続け、全国では直営に戻すところも生まれています。区営住宅の計画的な修繕は、受託業者が扱う区外事業者が仕事を受けるため、区内業者に仕事が回っていません。中台・志村のふれあい館では、区内事業者として加点をつけて選定した事業者が区外業者に吸収合併され、区内事業者ではなくなっています。区営駐輪場では、DXの名の下で機械化と高齢者の就労を天秤にかけ、約100人もの就労削減と回数券の廃止です。
Q6.指定管理者制度の導入で住民サービスの低下と官製ワーキングプアをうみ、高齢者の就労を大幅に削減したことに対する区長の見解をお示しください。あわせて、指定管理者制度を見直し、直営として施設運営を行う方針へ転換することを求めます。
区のナンバーワン2025の経営革新計画では、さらに公共サービスの民間開放を進めることを宣言しています。
しかし、2021年5月に、国の会計検査院が発表した「PFI報告書」は、「財政的なメリットは大いに疑わしい」「割引率という、財政的なメリットの計算に間違いがある」と、必ずしも財政効果があるとはいえない事を指摘しています。区でも、2019年に一部委託化した土木事務所を「災害時に委託職員は対応できない」ということを理由に直営に戻しています。委託業務では、災害時の対応が区職員と同様でないことは、土木事務所だけではありません。
Q7.パンデミックなどの感染症拡大時の教訓も含めて、区が進めてきた民間開放の影響について検証し、さらなる民間開放は行わないことを求めます。
区は、新年度から、現在、再任用の職員が行っている3福祉事務所の窓口を委託するとしています。福祉事務所は、生活困窮者からの相談や生活保護について実施するだけでなく、障害者手帳交付や補装具など、障害者福祉の役割も有しており、窓口業務は、区が言う「単なる受付の振り分け業務」ではありません。膨大な個人情報にも触れることになります。また、受け付けた相談を、誰に振り分けるのか判断し、つなぐことを委託すれば、偽装請負となりかねません。
Q8.委託事業者の求人情報によると、正社員で基本給は月231,000円で期末手当もありません。生活保護、障害者支援、児童福祉などを扱う福祉事務所の受付で、年収277万円の低賃金の方を働かせることになるのです。それは、区自ら官製ワーキングプアを拡大するということではありませんか?窓口委託を中止し、正規職員で配置することを求めます。
区の「区立福祉園の民営化に関する考え方」が示されてからすでに1年半が経過しています。最終報告後の利用者への説明会は、コロナを理由に延期され続けています。
一方で、区の障害者施設の整備は、大幅に遅れています。現在の福祉園では、就労支援B型の利用者が高齢化や重度化で、生活介護に移行したくても受け皿がなく行き先がありません。さらに、これから卒業してくる人たちの受け皿も充足しておらず、量を増やしていくことこそ、喫緊の課題です。
しかし、今年3月に設置される予定だった板橋キャンパス跡地における障害者施設整備は、資材高騰などの影響で一旦白紙となり、3年遅れです。
Q9.区の「障害者福祉計画2023」における施設整備計画が予定通り進まず、不足する施設の充足もないまま、民営化計画だけを粛々と進める姿勢は問題です。区立福祉園の民営化方針の撤回を求めます。
区は、これまで9園の区立保育園を民営化し、さらに6園の民営化計画を立てています。一方で、医療的ケア児の受け入れが始まり、さらなるインクルーシブな保育環境の整備が期待されています。保育が必要なすべての子どもたちを受け入れるためには、区立園の役割がますます重要となっています。
保育園経費の大部分が人件費です。つまり民営化は、公務員である保育士を民間の保育士へ置き換えることによる区の人件費削減です。さらに受託した企業がより利益を上げるために保育士の賃金を抑制し、保育士の給与が低賃金となる構造です。
Q10.保育園の民営化によって、公的保育の低賃金化を拡大させることになるのではないでしょうか?区長の見解をお示し下さい。子どもを預かる保育でさらなる官製ワーキングプアを拡大させる保育園民営化方針の撤回を求めます。
(区長答弁)
次は、指定管理者制度導入による影響についてのご質問であります。指定管理者制度は、民間の優れたノウハウを活用し、区民サービスの向上を図るとともに、最適化した財源や人材を新たな行政需要に活用することを目的に実施をしております。制度導入施設については、モニタリングや評価の中でサービス水準や労働関係法令の遵守状況などを確認し、必要な改善を行い、適正な運営状態を確保しております。引き続き、指定管理者制度導入の効果を確認をしながら、民間活力を集めていきたいと考えています。
次は、民間開放の廃止についてのご質問です。災害やパンデミックを含めて区が直面する危機や課題を乗り越え、区民が安心して暮らせる社会を実現するには、区単独ではなくさまざまな民間事業者等と協力をし、区民サービスの充実を図っていく必要があると考えます。区による民間活用については、定期的に効果等を検証するとともに、区民サービスの向上等が見込める分野においては積極的に展開をしていきたいと考えています。
次は、福祉事務所の窓口委託についてのご質問であります。生活に関する幅広い相談を受ける、いたばし生活仕事サポートセンターの分室を赤塚、志村の各福祉事務所に設置するに当たりまして、受付業務を委託化することといたしました。委託事業者は、業務責任者を配置することによって指揮命令系統を明確化しておりまして、かつ、生活保護の相談や障害者サービスについては区職員に引継ぎ、従来どおり対応する考えであります。既に板橋福祉事務所において国との連携を図っておりまして、新たにアウトリーチ機能を兼ね備えることによって、ワンストップ窓口として充実をした相談体制を構築したいと考えています。
次は、区立福祉園の民営化についてのご質問であります。板橋キャンパスにおける障害者施設において実施を予定しておりました、短期入所と児童発達支援について、現在、早期の開設を目指して取り組んでいるところでございます。また、新たに生活介護を加えサービスを拡充するなど、障害者及びご家族が地域で安心して、安心かつ幸せに暮らせるための施設整備を検討しているところでございます。区立福祉園の民営化につきましても、障害福祉サービスの向上に向けまして、当事者や事業者と丁寧な調整を図り検討を進めていきたいと考えています。
次は、民営化後の保育士の賃金についてのご質問であります。区立保育園を民営化する際には保育士の雇用環境を確認するため、応募事業者から常勤保育士の平均給与月額や各種手当などに関する資料の提出を求めて審査を行っています。また、保育士の処遇改善を目的として、令和4年2月に創設をされました処遇改善臨時特例事業が公定価格に反映され、私立保育園等における賃金改善の継続性が担保されております。賃金水準の決定については、事業者の経営判断によるものでありますが、保育士業務の特性や重要性を踏まえて適切に対応されるものと認識しています。 次は、民営化方針についてのご質問です。平成30年度に策定いたしました公立保育所の民営化ガイドライン、及び令和元年度に策定いたしました公立保育所の再整備方針に基づきまして、引き続き、民営化を進めていきたいと考えています。