3月6日、区長の施政方針に対して代表質問を行いました。
長文なので分割して、掲載します。
3.次に、気候危機対策について質問します。
気候危機は、日本に住む私たちにとっても、緊急に解決しなければならない死活的な大問題です。しかし、自公政権の「2050年カーボンゼロ」は、削減目標が低すぎるだけでなく、大規模な石炭火力の建設をすすめ、他国への輸出も推進しています。さらに「電力不足」などを口実に、原発だのみのエネルギー政策を加速させようとしています。これは、東京電力福島第一原発事故後、原発の新増設を「想定していない」としてきた政府の立場を投げ捨てるものです。
政府の基本方針には、4千件近くの意見が寄せられ、その多くが原発に反対する声です。全国保険医団体連合会会長は「核の問題について、問題発生時の治療法は今の医学にはなく、無害化はできない。そんな核は人類は持つべきではない」と警鐘を鳴らしています。そこで区長に伺います。
Q23.区長はこれまで、原発について、政府の「可能な限り依存度を低減しつつも、引き続き最大限活用していくこと」を容認し、「エネルギー政策は国が示す」と自身の考えを示すことに背を向けてきました。しかし、一度事故が起きれば地方自治体も他人ごとではありません。改選前のいま、原発ゼロを願う区民に、区長自身の考えをお示し下さい。
世界全体で2040年代に、石炭火力を廃止するよう求めたCОP26で、ヨーロッパを中心に46ヶ国が賛同しましたが、日本やアメリカなどは賛同しませんでした。脱炭素対応の成否が、企業の競争力に直結することから、東芝など国内企業も石炭火力からの撤退宣言が相次ぎ、日本政府の石炭火力の新増設方針の見直しも求められています。
Q24.岸田政権の火力発電所新増設は、区の「地球温暖化対策実行計画」が掲げる「脱炭素社会をめざす」との考えと相反するのではないでしょうか。区長として、政府に対し火力発電の新増設は中止し、再生可能エネルギー中心の対策に舵を切るよう求めていただきたいがいかがでしょうか。
区長は、施政方針でも「ゼロカーボンシティを目指す」とし、再エネ電力導入施設及び電気自動車の庁有車を増やすとしています。その一方で、住民や事業者への支援は、財政的な支援から撤退したまま、「環境アクションポイント」などの啓発事業に縮小してきました。
区の「地球温暖化対策実行計画2025」におけるCO2削減は、削減数値の裏づけもなく、技術革新に依存したもので、気候危機への緊張感がありません。
長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー株式会社」は、太陽光発電事業を通じて補助金6億円の3倍となる18億円の付加価値を生み出すことに成功しています。地域における地産地消のエネルギー自治を軌道に乗せれば雇用も地域経済も高まり、小規模な電源をネットワーク化することで、災害や事故に強く、原発事故のリスクもなく、温室効果ガスも排出しません。課題の高コストも技術の進歩で既存電源を下回り始めています。大都市では、エネルギー自治を一つの自治体で行うことは難しいですが、周辺の自治体と協力して、電力システムを構築することは可能と考えます。
Q25.区の「地球温暖化対策実行計画」の目標を引き上げ、地産地消の再生可能エネルギーを管理する「エネルギー自治」を周辺自治体とも連携して新たな模索を始めるべきです。区長の見解をお答えください。
再生可能エネルギー導入促進のため、区が廃止した新規大規模建築物への太陽光発電導入支援を、太陽光以外の再エネ導入や既存住宅でも利用できるよう対象を拡大することや、個人住宅における再エネ導入も含め、新たな財政支援による再エネ促進事業を行うべきです。
Q26.区として、既存の建物も含めて、大規模な建築物への再生可能エネルギーの導入支援を行うこと、また、既存の個人住宅における太陽光発電設備導入への補助制度の創設を求めます。
(区長答弁)
次は、原発に対する区長自身の考えについてのご質問であります。昨今の国際情勢やエネルギー事情を踏まえた上で、何よりも国民の生活と我が国の経済を支える電力の安定供給のため、再生可能エネルギーの主力電源化を目指しつつ、安全性を最優先に原発を活用すると判断をした国のエネルギー政策に対して、意見を申し上げる立場にないものと考えています。
続いて、火力発電所新増設中止の政府への要望についてのご質問であります。昨年の2度にわたる電力需給逼迫を受けて、調整力の要となるベースロード電源の重要性を認識したところでございます。今後、ますます再生可能エネルギーの導入が拡大する中、電力の安定供給に向けた調整力の要となるベースロード電源の主力である火力発電場の整備について、政府に対し意見を申し上げる立場にないと考えています。
次は、板橋区地球温暖化対策実行計画の目標引上げと、周辺自治体と連携したエネルギー自治についてのご質問であります。現在の板橋区地球温暖化対策実行計画における目標値は、国の国際公約である2050年カーボンニュートラルの実現を受けたものでありまして、現時点で変更する考えはないところであります。一方、御提案のございましたエネルギー自治につきましては、再生可能エネルギーのさらなる導入に向けた一つの手法として、参考にさせていただきたいと考えています。
続いて、大規模建築物への再生可能エネルギー導入支援と、既存住宅への太陽光発電設備導入補助についてのご質問であります。東京都では、太陽光発電設備導入に対する手厚い補助事業を行っておりまして、新たに住宅太陽光発電初期費用ゼロ促進事業や太陽光発電及び蓄電池のグループ購入促進事業など、再生可能エネルギー導入拡大に向けた多くの支援を実施しております。区としましては適切な役割分担のもと、太陽光発電設備導入に係る補助事業の周知に努め、区民、事業者の意識改革、行動変容を促す、いたばし環境アクションポイント事業に注力をしていきたいと考えています。