3月6日、区長と教育長に対する代表質問を行いました。
長文なので分割して、掲載します。
6.次に、教育の充実を求めて質問します。
昨年4月、文部科学省は2,558人の教員不足を認めました。教員の病気休職は大幅に増え、早期退職も止まりません。免許保有者は教員になることをためらい、多くの教育系学生が教職以外の道を選択するようになりました。いま、必要な予算をつけ、教員の働き方の抜本的な改善に乗り出さなければ学校は取り返しのつかないことになります。
深刻な教育現場をもたらした要因は、教職員定数が増えていないことです。国は、教員の必要数を確保するため、養成・採用計画を立てていましたが2005年から行われなくなりました。現在では、毎年、文科省と財務省の財政均衡で獲得する、実質上「加配定数のみ」です。少子化を理由に教職員の定数増をほとんど行わない国の姿勢は問題です。そこで伺います。
Q33.「教員不足」や「教職員定数」に対する教育長の認識をお示しください。
教員の未配置問題は、板橋区も例外ではありません。今年度2月時点で産休・育休・病気休暇・病気休職による欠員181人のうち、9人の補充がなく、補充された教員のうち、40人が時間講師です。現場の教員は「無限の仕事に限界」「今日も声をかけられなかった子どもがいたことに毎日自己嫌悪」「子どもを見たくてもひとりで見られる人数じゃない」と話します。教職員の自己犠牲の上に成り立つ教育はもはや限界です。
区教委が2021年10月に発表した「区立学校における働き方改革に関する実態調査」では、およそ5人に1人が上限時間の原則を超え、休憩を全く取得できていない教職員が48%、仕事を自宅に持ち帰ることがある教職員は57%です。ICカードタッチ後に30分以上の業務を行う教職員も35%で深刻な実態です。
しかし、区教委の「働き方改革推進プラン」の新規事業は「持ち帰り業務は行わないという原則」や「ICカードの適正利用の周知徹底」など意識改革に重きが置かれています。現場が最も求める人的支援に応えるどころか、ICT支援員配置を理由に、学力向上専門員を削減し、2020年度比で新年度は、34人もの削減です。そもそも役割のちがう学力向上専門員とICT支援員の配置を取り合うこと自体が問題です。多忙な教職員が困ったときに対応するためには、ICT支援員が、現在の各校週1回~2回の配置では十分ではありません。
Q34.学力向上専門員を必要な人数配置すること、ICT支援員は各校一人ずつ配置し、いつでも教職員の支援が対応できるよう体制強化を求めます。
(教育長答弁)
初めに、教員不足や教職員定数に対する教育長の認識についてのご質問ですが、令和3年度、月45時間を超えて残業した区立学校教職員は、小学校で20.1%、中学校で28.4%であり、月当たりの残業時間は平均26時間で、勤務環境は過重労働であると認識しているところです。苛酷な労働条件が、教員の成り手不足の原因の一つとなっていると推察され、教員の働き方改革を一層推進していくことが肝要であると考えております。教職員定数につきましては、東京都教育委員会が決定するものでありますが、板橋区教育委員会も、学力向上専門員や学校生活支援員等を追加配置するなど、教員の負担軽減と勤務環境の改善について取り組んでいるところです。
次に、学力向上専門員の配置についてのご質問ですが、学力向上専門員は、学力の定着や個に応じた学習の推進等のため、学校規模など各学校の状況に応じて配置しているところです。学校に配置する人材につきましては、その効果を検証し、財政状況も鑑みながら、適切な人員配置に努めてまいりたいと思います。
次に、ICT支援員についてのご質問ですが、GIGAスクール構想の推進に伴う、令和3年度以降のICT支援員派遣拡充により、ICT機器を活用した事業改善や業務のデジタル化が進んできていると認識しています。教育委員会は、ICT支援員の派遣回数を単に増やす以上に、学校や教員ごとの活用状況を把握、分析し、授業力向上や業務効率化のための支援を行うことが重要と認識しております。今後は、今年度から取り組んでいる特別支援学級へのICT支援員の重点派遣も含め、支援内容全体を改めて評価し、学校への効果的なICT支援を検討してまいりたいと思います。