3月6日、区長と教育長に対する代表質問を行いました。
長文なので分割して、掲載します。
(不登校対策と少人数学級)
不登校の児童生徒数が全国で過去最高を更新したことを受けて、文部科学大臣は、今年度中に総合的な不登校対策を取りまとめる方針です。その方向性は、全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、SОSを見逃さない支援、安心して学べる学校にする、不登校を科学的に把握するといいます。
区立小中学校における不登校児童生徒数は2年間で小学校112人、中学校で70人も増加しています。なぜ不登校児童が増えるのか、区教育委員会として分析を行うことが必要です。中でも、不登校の「学校にかかる主たる要因」は、最も多い「友人関係」と同様に「学業の不振」が小学校でも中学校でも増加しています。それは、区教委の「不登校当事者への聞き取り調査」でも「なんとなく」「人間関係」に次いで、「勉強が分からなくなった」の回答が多いという結果にも現れています。そこで教育長に伺います。
Q35.教育委員会は、分からなくなっていることが掴めるように「読み解く力」や「少人数授業」を進めていると言ってきました。それでもなお、なぜ「勉強や授業が分からない」という児童生徒が増加しているのか、なぜ、現場で児童生徒の「つまずきや悩み」に気づくことができないのか、教育長の見解をお示しください。
教育長は、学力向上を理由に全校で「板橋区授業スタンダードの徹底」を掲げ、推進してきました。その内容は、教育広報「教育の板橋」に書かれるように、①学習課題・めあての設定、②児童生徒が自力で問題解決、③考えを共有し、集団で問題解決、④まとめ振り返り」です。
Q36.これは、目標を掲げて、ゴールを目指すことを示し、問題は自力で解決、解決するのは集団で連帯責任と謳うもので、学びや学校生活に自己責任を押し付けることになるのではないでしょうか?「分からない子」が置き去りにされていませんか?板橋区授業スタンダードの影響について教育長の考えをお示しください。
子どもたちにとって「学校が行きたい場所になる」ためには、困ったときに相談できる、悩んでいる時に気づいてくれる学校が必要です。それは、教員一人が抱える子どもの人数を少なくし、学校の規模を少なくすることが一番の近道です。
しかし、区教育委員会が設置し検討を進めている適正規模適正配置審議会では、「教育上望ましい学校と学級規模」について、中学校は最大15学級としていた基準を18学級に増やし、1クラスの人数は具体的な数字を明記しない方向で検討しています。その理由は「科目によっては偶数学級の方がやりやすい」「区独自に教員を雇用できない」などと、大人の都合ばかりです。
「学級規模は明記しない」とした小委員会報告を受けた第3回審議会では、「1学級あたりの人数について、教育上望ましい規模を明記すべき。5年後、10年後を見据えたときに子どもたちのことを考えて理想を掲げることは重要であり、経費をかけてでも実現を目指した方がいい」との発言もありました。そこで教育長に伺います。
Q37.教育委員会は2012年審議会答申の「学級規模を小学校は20人~30人、中学校は30人~35人が教育上望ましい」と定めた理由を「生活指導面での課題の複雑化への対応、学習・言語・体験活動の充実を図るため」としてきました。今後も、教育上望ましい学級規模を掲げて、教育予算を増額しても推進していくべきと考えます。教育長の見解をお示しください。
(教育長答弁)
次に、不登校の要因についてのご質問ですが、令和3年度、板橋区不登校の状況に関する調査によりますと、不登校の要因が、学業の不振である児童・生徒の割合は、令和2年度では不登校児童・生徒の5.7%、令和3年度では6.2%であり、若干増えたことは認識しているところです。一方で、全国学力・学習状況調査等において、8割程度の子どもたちが「話合いにより考えが深まった」、9割以上の子どもたちが「ICT機器を使った授業が分かりやすい」と回答しています。児童・生徒の学習のつまずきや悩みに気づくように、一層きめ細かく取り組む必要性を認識しており、今後も各教員が一人一人に寄り添った指導を行うよう努めてまいりたいと思います。
次に、板橋区授業スタンダードの影響についてのご質問ですが、板橋区授業スタンダードは全ての児童・生徒が分かる、できる、楽しい授業を目指しています。そのため、板橋区立学校ではお互いの考えや意見を伝え合い、協働しながら、最適解を見つけ、問題解決する授業を行っているところです。本取組の導入が、教員の授業力及び児童・生徒の学力の向上に寄与し、全国学力・学習状況調査において、平均正答率が国を超える成果も出ています。今後も、板橋区授業スタンダードを全校で徹底し、誰一人取り残さずに、全ての児童・生徒のさらなる学力向上を目指してまいります。
次に、望ましい学級規模についてのご質問ですが、区立学校の適正規模につきましては、現在、審議会で議論いただいており、一人一人の子どもの教育環境の充実が必要であるという観点から、様々な意見をいただいているところです。審議会では、少人数授業の展開や人員配置の拡充などにより、円滑な学校運営と細やかな指導が既に行われているという議論がございました。また、子どもの成長には一定集団の中で、様々な人や考えに触れ合い、協力し合うことを通して、社会性などを広く身につけることが重要であるとも確認されております。1学級当たりの人数は明記しないという方向性で審議が進んでおり、今後も一人一人に寄り添った、子ども主体の教育環境の整備に向けて、しっかりと審議を重ねていただきます。