本日(2024年2月29日)、介護保険料値上げに反対する立場で、日本共産党区議団を代表し、討論を行いました。健康福祉委員会では、無所属の議員といっしょに、一部の保険料を値上げしない委員修正も提案し、民主クラブの議員が賛同してくれましたが、自民党と公明党の反対で否決されました。
すべての所得階層で値上げとなる議案に、キッパリ反対しました。
討論全文は、以下の通りです。
「ただいまから日本共産党板橋区議団を代表し、議案第26号東京都板橋区介護保険条例の一部を改正する条例に反対する立場で討論を行います。
本議案は、3年ごとに策定する介護保険事業計画の第9期である令和6年から8年度の介護保険料を定めるものです。併せて、14段階までだった所得段階を3段階増やし17段階までの設定となります。基準保険料は、月6,040円から480円増額され、6,520円になります。年間で5,800円もの負担増です。
反対する第1の理由は、第9期の介護保険料を値上げせず、据え置くことができたからです。
今回の負担増の総額は年間約8億9百万円です。区は、保険料抑制のため今年度末の「介護給付費準備基金」36億5千万円のうち、30億円を投入しましたが、基金の全額と区の財源活用で、保険料を8期のまま据え置くことができたはずです。私たちは、少なくともより低所得層の第1段階から9段階までの保険料を据え置くことを委員修正として提案しました。
区は、公費負担50%のうち市区町村の負担割合12.5%を超えて一般財源から繰り入られないと言いますが、それは、国が要求しているだけで法違反ではありません。それどころか、国は、今回、介護報酬引き上げを理由に第1から第3段階までの低所得者の保険料に対する国庫負担を引き下げておきながら、自治体の努力に対して文句を言う筋合いはありません。
すでに法定負担割合を超えて一般財源を繰り入れている自治体があることが健康福祉委員会の質疑でも、明らかになりました。今回、23区でも3区が保険料を据え置いています。保険料を引き上げないことは可能でした。
第2の理由は、さらなる介護利用者の負担増が前提だからです。
介護保険料算定に反映される介護給付の見込みには、訪問介護の報酬引き下げや今年夏からの「多床室の有料化」などが盛り込まれています。さらには、第9期中に利用料2割負担の対象拡大も国で検討が進められていることはとんでもありません。社会保障のためと言って、増税した消費税は、大企業の法人税穴埋めに消え、むしろ社会保障における自己負担を次々と引き上げてきた国の責任は重大です。
区においても、介護の利用抑制は深刻です。区は、コロナが要因としていますが、第9期計画策定のために行った「実態調査アンケート」では介護を利用している人の30%が「経済的な負担を感じている」と答えています。実際に経済的なことを理由に、ヘルパーやデイサービスの回数を減らしたという声はあとを絶ちません。すでに起きている利用抑制の「要因を直視し、あらたな負担増を行うべきではありません。
第3の理由は、「施設入所から地域で」が強調され、特別養護老人ホームを増やさない計画だからです。
現在、要介護3以上の特別養護老人ホームの待機者は807人です。区は、待機者数の減少傾向を理由に令和6年度に定員100名の施設を1か所整備すれば「ニーズは充足される」として、それ以降の新規整備を計画していません。今後は「待機期間の短縮」だけ追いかけると言います。委員会質疑で「『施設に空きがあると運営していかれない』という事業者の要望がある」と答弁がありましたが、空きがあると運営費が削減になる介護保険の仕組みこそ問題です。いつでも必要になった時には、施設に入所できるようにするには、常に空きがなければなりません。それでも施設を運営していくには保育と同様に「未充足」に対する財政的な支援が必要です。区としてそうした対策も行わず、施設をつくらない方針を前提にすることはとんでもありません。
一方で、訪問介護報酬引き下げによって、事業所からは「収支悪化で事業継続が難しくなる」と悲痛な声が上がっています。厚労省は「基本料が減っても加算分がある」と説明していますが、事業所の収入全体に対して加算する仕組みのため、基本料引き下げで減収になれば加算額も増えません。介護現場では、「賃上げどころか、雇用の維持も難しくなる」と疑問視の声です。人手不足に加えて経営難で見切りをつける事業所が相次げば、高齢者がサービスを受けられない「介護難民」や、それに伴う家族の「介護離職」が急増しかねません。
施設をつくらず「地域で」と国や区が言っても、ケア労働者の賃金を抜本的に底上げし、事業所への支援を強化していかなければ、在宅介護の充実は進みません。区としての在宅介護事業所への財政的な支援策は十分とは言えず、特別養護老人ホームをつくらない宣言だけすることは許されません。「給付を引き上げれば保険料が上がる」などという事は、もはや制度が破綻していると言わざるを得ません。
介護保険制度が始まって24年目を迎え、改定の度に値上してきた保険料は、約3倍にも膨れ上がり、暮らしに大きな影響を及ぼしてきました。その上、コロナ・物価高が続き、暮らしの困難さはコロナ前に戻るどころか、ますます厳しい状況です。にもかかわらず、同時期に、後期高齢者医療も国民健康保険も大幅値上げです。介護も医療も保険料が相次いで値上げの背景は、国が軍事費を拡大させる一方で、社会保障費抑制路線を続けてきたからです。区も議会も国に対し国庫負担を大幅に引き上げることをもっともっと要求すべきです。
以上で、本議案に反対し私の討論を終わります。」