日本共産党区議団は5日、神田警察通り2期整備工事について「事態の収拾へ 区議会がイニシアチブの発揮を」という区議会各会派へのよびかけを発表しました。
全文は次の通りです。
神田警察通り2期整備工事について
事態の収拾へ 区議会がイニシアチブの発揮を
2022年6月5日 日本共産党千代田区議団
(1)神田警察通り2期整備工事はいま、膠着状態にあります。街路樹の下で「神田警察通りの街路樹を守る会」のみなさんが、夜から明け方まで見守り活動を続けています。こうした事態を招いたきっかけは、整備工事の強引な着工です。
4月27日未明、住民の抗議活動が続くなか工事が強行され、住民の目の前でイチョウが2本伐採されました。この日からはじまった住民の見守り活動はすでにひと月を超えています。これからますます暑くなります。人道上からもこの現状を放置できません。
工事はいったん中断し、急いで話し合いの方向へ舵を切り替える必要があります。
(2)本工事は、区議会が昨年10月に議決した工事請負契約にもとづくものです。沿道整備工事の目的は、「歩行者の安全と円滑な道路交通を確保しながら、自転車通行環境を整備するため」としています。
本議案の採決に際し日本共産党区議団は、“沿道住民の意見をくみ取る努力が不十分であり、住民合意が形成されていない”と反対を表明しました。残念ながら、危惧した通りの事態となってしまいました。
区議会の議決したことを執行するのが執行機関の役割です。工事を中断し、話し合いの方向へ舵を切り替えられるのは、議決機関である区議会だけです。
いまこそ区議会は党派を超えて、事態の収拾にむけてイニシアチブを発揮するときです。
(3)区議会が議決した沿道整備工事が沿道住民等の声で変更された事例は、この間、2件ありました。神田警察通り1期整備工事と明大通り整備工事です。前者は既存街路樹を保存・活用し、後者は4分の3の区域で既存街路樹を活かす方向で住民が合意できました。
そこには2つの共通点があります。ひとつは住民合意を土台に変更への区議会の同意があったこと、もうひとつは既存街路樹を活かしながら道路構造令等が定める歩道幅員の最低基準をクリアできたことです。
ところが今回の2期工事には、変更への区議会の同意がありません。背景には既存街路樹の扱いをめぐり住民間の意見の隔たりがあります。さらに現行計画では既存街路樹を保存すると法令等が定める歩道幅員等の最低基準をクリアできないという問題もあります。
2期工事に関する陳情を審査した区議会の要請をうけ、区は4名の学識経験者の意見を聴取しました。街路樹の役割と道路構造令を熟知している専門家のなかでも整備の仕方で意見が分かれました。住民同士の話し合いと合意形成に時間がかかるのも当然です。
(4)問われているのは、神田警察通りの沿道整備というまちづくりのあり方です。まさに住民自治の問題であり、沿道整備で優先すべきは沿道で生活する人たちの声です。
沿道住民が率直に話し合いながら合意を重ねていく十分な時間が必要です。そこでは沿道のバリアフリー化を急ぐ住民の切実な声もふまえ、整備が急がれる神田駅周辺を先に着工するなど工事の進め方も協議の対象とすることを提案します。
(5)千代田区の「道路整備方針」は、樹種の選定について「地域と十分話し合いを行い、地域の意向をふまえ」とのべています。また区議会企画総務委員会は3月17日、陳情審査を経て「住民同士の一致点を見出せるように努力する」と集約しました。
日本共産党区議団は、「道路整備方針」と区議会の集約をふまえ、沿道住民同士の話し合いの場づくりに力をつくします。同時に、各会派に対し、事態収拾にむけ「区議会がイニシアチブの発揮を」と呼びかけるものです。
以上