日本共産党区議団は、立憲民主党、無所属の区議とともに区長・教育長に対し、「安倍元首相の国葬の中止を求め、弔意の要請をしないことを求める」申し入れを行いました。
申し入れは「国葬」に法的根拠がないこと、国会審議を経ずに多額の税金を「国葬」につぎ込むことを決めたことが憲法に抵触し、1人の政治家を国葬にすることは法の下の平等という憲法の精神と相容れないことなどを述べ、①国葬の中止を国に求めること、②強行されても区長は出席しないこと、③区職員・保育園・学校・幼稚園などに黙とうや半旗掲揚などの弔意の要請などを行わないことを求めています。
申し入れで応対した堀米孝尚教育長、古田毅政策経営部長、は「会場周辺に人が集中することが予想されることから、付近の学校に通う子どもたちの登下校の安全の確保が必要になる」。「いずれにせよ早く情報がほしい」と述べ、「申し入れはご意見として受け止めさせていただきます」と答えました。
申し入れ全文は以下です。
2022年9月8日
千代田区長 樋口 高顕 殿
千代田区教育長 堀米 孝尚 殿
日本共産党区議団 飯島 和子 立憲民主党 新生ちよだ 岩田かずひと
日本共産党区議団 牛尾 こうじろう ちよだの声 小枝すみ子
日本共産党区議団 木村 正明 千代田を紡ぐ会 長谷川みえこ
安倍元首相の国葬の中止を求め、弔意の要請をしないことを求める申し入れ
安倍晋三元首相の死去に伴い、政府が国葬を9月27日に行うとしたことについて、各種世論調査で国葬に反対する声が多数を占めています。今回の政府による国葬の決定には大きな問題があります。
問題の第1は、根拠法令がないことです。それにも関わらず、国葬に多額の税金をつぎ込むことや、岸田政権が国会審議も経ずに閣議決定のみで国葬を決めたことは、憲法の規定からも逸脱しています。
第2に、憲法の法の下の平等に反していることです。戦前の国葬は「天皇が国民に与える最高の栄誉」として行われてきました。しかし戦後、「国葬令」は失効しました。理由は、「制度全体として、現行憲法の精神とは相容れないような性格を有する」(2017年10月、内閣法制局)からです。
国葬は、法の下の平等という憲法の精神と相いれません。国民一人一人の命とその死は、等しく尊重されなければなりません。
第3に、国葬が内心の自由を侵すことにつながりかねないことです。実際に今回の国葬では岸田総理大臣が葬儀委員長を務めるみずからの決定に基づいて、各府省で弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を行うこと明らかにし、職員から「弔意を強制するな」という声が出ています。そうしたなかで国葬が強行された場合の公的施設や学校での対応について、保護者や職員から不安の声がでています。これら弔意の強制につながる「要請」は行われるべきではありません。
第4に、国葬について賛否が大きく分かれる中で、住民の直接選挙で選ばれた区長が国葬に出席することは、住民全体が弔意を示すことにつながり、住民の思想信条の自由を侵害することになります。
以上の問題を有する国葬にかかわり、次の点を求めます。
1 憲法の精神に反する国葬を中止するよう国に求めること。
2 国葬が強行された場合であっても、区長として出席をしないこと。
3 国葬が強行された場合であっても、区職員・区有施設・保育園・幼稚園・学校などに対し、黙とう・半旗掲揚など、弔意を表すことの情報提供や要請などを行わないこと。
以上