牛尾こうじろう

千代田区議会第4回定例会本会議質問

2023.12.29

第4回定例会で私がおこなった一般質問は以下です。(未定稿)

議長/次に、7番牛尾こうじろう議員。
牛尾議員/日本共産党の牛尾こうじろうです。
一般質問を行います。
質問に入る前に、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃は、ジェノサイドの危険が指摘される深刻な事態です。
日本共産党は、ハマスによる無差別攻撃を強く非難し、人質全員の即時解放を求めると同時に、イスラエルが自衛権をたてに圧倒的な軍事力を行使し、病院や学校までも標的にすることは、国際法に背く無法であり、断じて許されないと考えます。
そして、深刻な人道的危機を打開するために、イスラエルのガザへの大規模攻撃を直ちにやめること、双方が即時停戦に向けた交渉のテーブルにつくこと、そのために憲法9条を持つ日本政府を含め、国際社会がさらなる働きかけを行うよう呼びかけます。
それでは質問に入ります。
とどまるところのない物価高騰で、区民の暮らし向きは悪化の一途です。
現在、日本共産党が取り組んでいる区政アンケートで、「物価や電気代の高騰が暮らしに影響を与えているか」の問いに、回答者の88.5%が「大きく影響している」、「多少影響している」と答えています。
なぜ、物価高騰がこれだけ暮らしを大変にしているのでしょうか。
その大本に、この30年、自民党政治の下で財界の要望に応じた政治が進められたことがあります。
一つに、労働法制の規制緩和が繰り返され、低賃金で不安定な非正規雇用が拡大されました。
その結果、日本は、世界でも特異な賃金が上がらない国となっています。
実質賃金は、1991年から2022年にかけて、アメリカは1.48倍、イギリスは1.46倍、フランスは1.33倍、ドイツは1.30倍になっていますが、日本は1.03倍です。
直近の10年間では、実質賃金は増えるどころか、年間24万円も減ってしまいました。
1996年のピーク時からだと年間64万円も減り、30年前の水準にまで落ち込みました。
こんな国は日本だけです。
2つに、社会保障の財源を口実に、消費税は増税された一方、社会保障はあらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されました。
この30年で、国民年金保険料は2倍、国保料は1.5倍、介護保険料も2倍、一方、年金は10年前に比べて実質7.3%も減少、医療費の窓口負担は増え、介護制度も悪くなる一方でした。
そこに物価高騰が襲ってきた。ここに今、国民生活の苦しさの実態があります。
しかし、岸田政権の経済対策はあまりに貧弱、それどころか、介護保険の利用料値上げ、国保料値上げなど、さらなる社会保障の負担増を進めようとしています。
こうしたときだからこそ、千代田区が住民福祉の向上に責任を持つ地方自治体として、国に対し福祉の充実を求めるとともに、区として福祉を支える施策を強めるべきです。
まず、介護保険制度についてです。
介護保険制度は来年度、3年に一度の改定を迎え、第9期に入ります。
介護保険料の基準額は、21年から23年度には全国平均で6014円と、制度開始当初の倍以上に増えています。
これ以上の負担増は、物価高騰が続く中、高齢者の生活をさらに圧迫します。
介護保険制度への国庫負担割合を増やし、負担を軽減すべきです。
区として、国に対し、介護保険制度への国庫負担を増やすよう求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。
御答弁ください。
介護保険料の負担軽減のために、2つ訴えます。
まず、保険料の最高段階の見直しです。
千代田区の介護保険料は現在15段階で、最高額の保険料の対象者は本人の合計所得金額が2000万円以上です。
それ以上の所得の方は、幾ら所得があっても保険料は同じ額です。
一方、港区は最高段階を合計所得金額が5000万円以上、中央区も最高段階は合計所得2500万円に設定しています。
そこで千代田区でも最高段階を見直して、所得が低い方の保険料を軽減することを求めますが、いがでしょうか。
いま一つは、基金の活用です。
10月17日、厚生労働省老健局が各都道府県、市町村に送った事務連絡、「第9期計画期間に向けた1号保険料に関する検討について」では、介護保険の基金残高、繰越金が相当程度積み上がっている保険者において、それを活用して次期保険料の上昇を抑える検討を求めております。
千代田区では現在、介護保険基金は幾らになっているでしょうか。
そして、保険料の軽滅や上昇の抑制のために基金を活用することを求めますが、いかがでしょうか。
次に、利用料の負担軽減についてです。
国は、次期の介護事業で介護サービス利用料の2割負担の対象拡大を検討しています。
これが行われれば、介護サービスを利用している多くの方の負担が増えます。
これが何を引き起こすか。
2021年度の国の調査では、養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数は年々増加しております。
虐待の発生要因については、被虐待者の認知症の症状が最多ですが、虐待する側の介護疲れ・介護ストレス、精神状態が安定していない、このことも原因となっております。
それを示すかのように、虐待を受けた高齢者の介護保険サービス利用状況と虐待の程度(深刻度)との関係では、介護保険サービスを受けている場合、虐待の程度が相対的に低くなっているなど、介護サービスの減少が高齢者の虐待につながっていることが浮き彫りになっております。
介護保険制度開始以降、介護保険利用料は、一律1割負担だった利用者負担が一定所得以上の世帯に、2015年度に2割負担、18年度に3割負担になり、利用者の約1割が2割から3割負担です。
今でさえ、利用料が高くて介護サービスを控える方が出ています。
その結果、家族が親などの介護を担うことになり、ストレスなどで虐待に至る相談が千代田区でも寄せられていると聞きます。
もちろん、高齢者への虐待など絶対にあってはなりません。
しかし、高齢者の虐待を個人やその家庭だけの問題にできないことは、この調査が示しているのではないでしょうか。
介護サービス利用料の2割負担の対象拡大を行えば、サービスの利用控えに拍車をかけ、利用者の健康と命を脅かし、介護を担う家族の負担も増大するのは明らかであります。
介護保険法第1条は「介護が必要になっても、尊厳を保持し、能力に応じ自立した生活を営めるよう必要な給付を行う」としています。
そこでお伺いします。
国が検討中の2割負担対象拡大が介護を必要としている区民に、どのような影響を考えるのか、どのように考えているでしょうか。
2割負担の対象が広がったことにより、介腫サービス利用を控える区民が増えることなど、あってはならないと考えますがいかがですか。
あわせて、さらなる負担増を行わないよう国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
さらに、利用料が2割になった場合、これまで受けていたサービスが受けられなくなった方に、利用料の補助など介護サービスを低下させない区の支援策を求めますがいかがでしょうか。
続いて、介護を担う職員が働き続けられる施策についてです。
千代田区高齢者プランの素案をつくるに当たり、区は区内の介護事業者の介護人材実態調査を行っております。
それによると、昨年度1年間で介護人材の新規採用が56名だったのに対し、離職者は57名でした。
介護現場での人材の定着をどうしていくのかが問われております。
まず、介護現場での離職者数を区はどのように考えているのかお答えください。
介護サービスを確実に提供するためにも、介護職員の定着について区としても責任を持って取り組むことが求められます。
一番の対策は介護従事者の処遇です。
介護従事者の平均年収は350万円となっていますが、他の産業から見ると、100万円近く安く抑えられております。
区の調査でも、人材不足の打開策として86.4%の事業者が賃金アップと答えております。
区も様々な施策を講じておりますけども、介護職員の研修受講費用の助成など、主な施策は介護職員の確保です。
区の施策を活用して介護職に就いた人がいかに定着させるのか、そのことが求められております。
一番の対策は、処遇の抜本的な改善です。
区として国に対し、処遇改善を強く求めるとともに、介護職員定着のために独自の支援策の強化を求めますがいかがでしょうか。
介護保険問題の最後に、働きながら介護をするビジネスケアラーについて質問いたします。
働きながら親などの介護をする、いわゆるビジネスケアラーが高齢化社会の中で増えています。
経産省は、2030年には家族を介護する人のうち約4割に当たる318万人がビジネスケアラーになり、その離職や労働生産性の低下に伴う経済損失額は9兆円に上るという推計を公表しており、支援体制が急がれます。
千代田区で会社を経営しながら母親の介護をされていた方は「仕事と介護の両立は大変だった」と語っておりました。
千代田区でも、こうした働きながら介護を行う方が少なからずいるのではないでしょうか。
区は、区内大学の協力を得てヤングケアラーの調査を実施していますが、同じように、千代田区でのビジネスケアラーの調査と相談体制の強化を求めます。
御答弁をお願いします。
続いて、国民健康保険制度について質問します。
私たちの区政アンケートで、区政に力を入れてほしい施策の問いのうち、医療・福祉では、約4割の方が国民健康保険料の負担軽減と回答し、トップでありました。
国民健康保険料が他の保険制度より高過ぎる理由に、収入に応じた保険料に加え、加入者全員に係る均等割の保険料があります。
国は未就学児の均等割額を半額にしていますが、本来、収入のない子供から保険料を徴収することは理不尽であり、子供の均等割りは廃止すべきです。
改めて、18歳までの子供の国保料均等割りの無料化を行うことを求めますが、御答弁お願いします。
東京都は、今後6年間で各自治体の国保への法定外繰入を解消することを推進するとしております。
国保への法定外繰入がなくなるならば、国保料は跳ね上がります。
区の国保会計への法定外繰入を維持し、国保料の負担軽滅を図ることを求めますがいかがでしょうか。
最後に、日比谷公園についてお伺いします。
東京都は、開園120年を迎える都立日比谷公園を10年かけて再整備する計画を進めております。
この計画に対して「都心の貴重なオアシスと文化財を破壊する計画」だと都民の批判が広がっております。
その理由は大きく2つです。
1つは、同公園は洋風都市公園第1号として、国の文化財名勝の指定を受けているにもかかわらず、大音楽堂(野音)、小音楽堂、大噴水など歴史ある建造物も壊す計画となっていることです。
いま一つは、数百本もの樹木を伐採する計画となっていることです。
なぜ、数百本もの樹木が伐採されるのか。
緑豊かな都市環境を整備するとの名目で、日比谷地区の大型再開発と一体で公園を再整備する計画となっているからではないでしょうか。
特に、日比谷通りをまたぐ再開発地区と日比谷公園を結ぶ2本のデッキ(連絡橋)を設置するために樹木を大量に伐採することになります。
千代田区は東京都、内幸町の地権者などと、2011年、日比谷エリアまちづくり基本構想をつくりました。
その基本構想は、日比谷公園から再開発エリア街区内へまとまった緑空間を引き込む、日比谷通り横断部分は、歩行者空間の連続性に配慮した設えを含めて検討と明記しています。
そこでお聞きしますが、この基本構想がデッキ設置の原点になっているのではないでしょうか。
また、デッキ設置により、当該開発事業者は容積率を割増しているのではないでしょうか。
いかがでしょうか。
御答弁ください。
日比谷公園の整備については、多くの都民や利用者が、都民参加による整備計画の見直しを求めています。
この声を東京都に届けるべきではないでしょうか。
以上で一般質問を終わります。
議長/保健福祉部長。
保健福祉部長/牛尾議員の介護保険制度に関する御質問にお答えいたします。
初めに、国に対する要望については、本年7月に特別区長会を通じて、国の施策及び予算に関する要望として、介護保険制度の円滑な運営を図るための財政措置を求めております。
次に、介護保険料についてですが、国が検討中の制度改正の公表を待ちつつ、次期介護保険料を試算しているところでございます。
算定に当たっては、最高段階の基準額に対する割合の見直しや多段階化、介護給付費準備基金の活用により、増額の抑制を図ってまいります。
なお、介護給付費準備基金の残高は、令和4年度末で4億83万円余となります。
次に、2割負担対象者の拡大についてですが、一定の所得のある方に応能負担を求めるものと認識しております。
しかしながら、これにより介護サービスの利用を控えることがないよう制度改正の趣旨を丁寧に周知してまいります。
なお、利用控えを避けるための区独自の支援策については、制度改正の趣旨を踏まえ困難であると考えています。
次に、介護職員の処遇改善についてですが、本年8月に実施した介護人材実態調査の結果からも、人材不足の解消に向けた支援が課題であると認識しております。
特別区区長会においても、今後、介護需要の急増が想定される中、国に対して介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施を要望しております。
区は、現在策定中の千代田区高齢者福祉計画において、介護サービス基盤の強化を掲げ、介護人材の確保・支援に取り組むこととし、介護職員の負担軽減の観点から、ICT技術を活用した支援などを検討してまいります。
最後に、ビジネスケアラーについてですが、令和4年度に実施した在宅介護実態調査において、介護者の実態を調査しており、区内の実情は承知しております。
区は、介護者の負担軽減を図るため、かがやきプラザ相談センターやあんしんセンターにおいて、関係機関との連携を通じた家族介護者の支援に注力するとともに、介護保険サービスとは別に在宅支援ホームヘルプサービス等の区独自の上乗せサービスにより、家族の負担軽減を図ってまいります。
次に、国民健康保険に関する御質問にお答えいたします。
初めに、子供に係る均等割額の無料化についてですが、区では子育て世帯への支援策として、次世代育成手当の支給や0歳から18歳までの子供の医療費無償化など、様々な施策を総合的に展開しています。
国民健康保険制度は、被保険者全体の相互扶助で支えることを基本としており、区としては特定の対象者に画一的な基準で減免することは困難であると認識しています。
次に、国民健康保険料の負担軽減につきましては、今般、東京都国民健康保険運営方針改定案が示され、法定外繰入の解消について、東京都全体として令和6年度から11年度にかけて解消・削減することを目指すとしています。
保険料率の算定に当たりましては、諸課題への対応とともに被保険者の負担を極力抑えられるよう、様々な要素を研究・検討しながら進めてまいります。
今後も引き続き国や東京都の動向、区の諸施策等を踏まえ、保険者としての取組を推進してまいります。
議長/まちづくり担当部長。
まちづくり担当部長/牛尾議員の日比谷公園に関する御質問にお答えします。
平成23年策定の日比谷エリアまちづくり基本構想では、地域特性として日比谷公園を都心の稀有な大規模緑地とし、方針では日比谷公園との歩行者ネットワークへの配慮を掲げており、歩行者デッキはそれを具現化する一つの方策です。
日比谷地区は都市再生特別地区、内幸町地区は特定街区により事業が進められております。
公園整備ですが、公園全体を9つのエリアに分けて段階的に整備に取り組んでいく計画となっており、エリアごとの整備内容がまとまり次第、整備に関する情報を発信すると伺っております。
また、整備に当たり、樹木を保全し進めていくと伺っておりますが、デッキ部分等を含め都が検討しているとの認識でございます。
議長/牛尾こうじろう議員。
牛尾議員/自席より再質問をさせていただきます。
国保加入者の相互扶助といいますけど、それは、国保の中ではそうでしょう。
ただ、その同じ18歳までの医療費無料化なのに、国保に加入している子供には保険料がある。
その他の保険制度の子供たちは保険料がかからない。
この差をどう思われるか、認識をお聞かせいただきたいと思います。
もう一つ、日比谷公園のことですけども、そのデッキの設置が、当該開発事業者の容積率割り増しにつながっているんじゃないかと思いますけれども、そこについて御答弁がなかったので、区としての認識をお聞かせいただきたいというのと、もし容積率割り増しになっているのであれば、何のための公園整備なのかと。
そのために樹木がたくさん切られる、このことについては、やはり都民の怒り、広がると思うんですよね。
やはり、しっかりこの整備企画については、都民の参加によって見直し、これをしっかり訴えていただきたいと思いますので、そこはよろしくお願いします。
議長/保健福祉部長。
保健福祉部長/牛尾議員の再質問にお答えいたします。
国民健康保険制度に関する再質問と認識をしております。
先ほど御答弁申し上げましたように、まず子供につきましては、区といたしましては総合的に今、様々な施策を展開しております。
区民生活が厳しい状況であることは十分に認識をしておりますが、やはりその一方で、高齢化等が進む中、この社会補償制度全般、これを持続可能なものにしていくというためには、区としても責任がございます。
したがいまして、区といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように画一的な基準で減免することは厳しいと考えております。
議長/まちづくり担当部長。
まちづくり担当部長/牛尾議員の再質問にお答えさせていただきます。
先ほど答弁したとおり、日比谷地区は都市再生特別地区、内幸町地区は特定街区の中での事業で行っているため、そこの部分で容積云々ということは、こちらのほうで御説明はすることはできません。
また、公園整備に関して東京都にということで、公園整備に関しては、オープンハウス型の説明会なども既に行って、樹木の伐採等も東京都さんのほうは説明しているところかなと。
今後も行うかどうか分かりませんけれども、東京都は都民の声を聞きながら進めているというところの認識でございます。

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