第3回定例会本会議でおこなった私の一般質問は以下です。(未定稿)
牛尾議員/日本共産党の牛尾こうじろうです。
一般質問を行います。
最初に、若い世代への支援についてです。
昨年、博報堂生活総合研究所が実施した日本・中国・アセアン諸国における初めての8か国調査「グローバル定点2023」の調査結果によると、アジアの中で、日本の多くの若者が「自分の将来イメージは暗い」と考えていることが分かりました。
20歳から29歳の年代で、「自分の将来イメージは暗い」との答えが、日本以外の国では、インドネシアが1.4%、フィリピン3.2%、中国が6.1%などに比べ、日本の20代は42.6%と突出しています。
同調査で、「今後、自分の経済状態は楽になると思うか」の問いで、20代の若者では、ベトナム92.2%、インドネシア91.4%、中国82.8%などに比べ、日本の20代は14.8%と極端に少なくなっています。
15から19歳での回答でも、日本以外の国々は「楽になる」との答えが7割から9割なのに対し日本では15.4%と、これまた極端に低い状態です。
10代後半から20代といえば、本来、希望を持って社会に羽ばたいていく世代のはずです。
しかし、アジアの各国の若者と違い、日本の若者は将来に展望が持てないまま社会に出ているのです。これは、単に日本の若者が他国の若者に比べてネガティブな性格というわけではありません。
インターネットサービスを手がけるビッグローブ株式会社が昨年に行った「若年層を対象とした意識調査」の結果によると、日本社会の未来に希望を感じるか」の問いに対し、18歳から24歳の若者では「希望を感じない」との答えが74.6%に上り、その理由について、「政治に期待ができない」が56.7%でトップでした。
大学に進めば高い学費、働いても低賃金、広がるワーキングプア、まさに政治が若者に暗い未来を見せているのです。
若者が希望を持って社会に出られるようにすることはまさに国政はもとより区政にも問われるのではないでしょうか。
区では子供や子育て支援を様々に行っていますが、医療費の無償化にしても児童育成手当にしても、いずれも対象は18歳までです。
2022年4月1日から成人年齢は18歳に引き下げられました。18になれば、法的には単独で法律行為が行えるようになります。つまり、社会的に大人になるわけです。就職する人もいれば大学を目指す人もいるでしょう。ただ、社会的に大人といっても、すぐに自立して安定的な生活ができる社会ではありません。18歳という年齢で様々な施策がなくなると、若者やそれを支える家庭にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。
そこで、まず区の認識をお聞きします。
様々な支援が18歳で区切られていることについて、どのように考えていますか。お答えください。
18になり大学の進学を選ぶ人は、高い学費が大きな壁となります。
区は今年度から、入学・在学費用等の教育資金の貸付けを受けた保護者に対し、教育口ーンに係る利子の補給を行いますが、子供が18までとしています。現役で大学に進学できれば対象になりますけども、浪人するなどして19歳になれば対象外です。
区は利子補給について、全ての子供が個々の家庭環境に左右されずに子供が望む教育を受けられ、学びの機会を保障することを目的にするとしています。
そうであるならば、18歳という年齢で区切らずに、大学に通う全ての子供を持つ世帯を対象にすることを求めますが、いかがでしょうか。
さて、教育ローンは子を持つ保護者などが金融機関から資金を借りる制度です。一方、同じ資金でも、奨学金は子供本人が資金を借り、大学卒業後返済していく制度です。現在、大学生の約半数が奨学金を利用しています。返さなくてよい給付制の奨学金もありますが、ごく僅か、多くの学生が借りているのは返済が必要な貸与制の奨学金で、そのうち6割が有利子、利子がある奨学金です。
奨学金の平均借入総額は324万円、奨学金を借りた学生は、大学を卒業後、これだけの借金を背負って社会に出るわけです。毎年の返済額は20万円にも上り、平均の返済期間は15年にも及びます。
今回の教育ローンの利子補給は、残念ながらこの奨学金については対象外です。埼玉県新座市、ふじみ野市などでは、国の教育ローンと併せ、奨学金についても利子の補給を実施しています。しかも、大学に通っている全ての学生を対象にするなど、18歳という年齢で区切りをつけていません。
そこで、千代田区でも奨学金利子の補給を行ってはいかがでしょうか。
御答弁ください。
さて、足立区では奨学金返済そのものへの支援を行っています。
都の育英資金や学生支援機構の奨学金、区育英資金を利用している、または利用を予定している方に対し、学校を正規の修業年数で卒業後、10年以内に区に住民税を2年度分以上納税した後に、奨学金の借入総額の半額を助成しています。
新社会人としてスタートした後、まだ給料も少ないときに奨学金返済の負担が軽減され、大きな支援となっています。
千代田区では、区内で働く保育士や介護従事者に対しての奨学金返済支援を行っていますけれども、奨学金の返済が大変な区内に住む若い世代への奨学金返済の支援を行ってはいかがでしょうか。御答弁ください。
保護者や子供本人が学ぶために多額の借金をしなくてはならないのは、高い学費があるからです。お金の心配なく学べるようにするためには、国の責任で学費を引き下げていくことが求められます。それとともに、区としての支援も必要です。
前定例会でも求めましたが、区独自の給付制奨学金の創設を求めます。
御答弁をお願いします。
さて、若い世代の支援を求めてきましたけれども、千代田区では、18歳までの子供や子育て世代への相談や支援の窓口はこども支援課や子育て推進課という窓口があります。
一方、19歳から20代までの若者が仕事など様々な悩みを相談する窓口が区にはありません。
葛飾区では「若者相談窓口」を設置して、おおむね15歳から39歳以下の区民の方とその家族の方、支援者の方が様々な相談を受けて支援につなげております。
また、全国の自治体では、若者条例を制定して18歳以降の若い世代を支援している自治体もあります。
そこで、ここ千代田区でも若い世代が直接相談できる窓口の設置など若い世代を直接支援する体制づくりを提案します。御答弁をお願いします。
次に、くらしや事業者への支援について質問します。
今年度の予算では、学校給食の無償化や区立学校教材費の一部補助、子供の遊び場の確保など、子育て世代が求めてきた施策が一部盛り込まれました。しかし、高齢者や低所得者、中小零細事業者への支援には前進がありません。それどころか、国民健康保険料、介護保険料などは負担が増えました。この間の物価高騰対策も予算は全て国の財源で、区の独自財源は1円も使っておりません。今年度は区の税収が23億円も増加する見込みです。弱者に寄り添う政治が今求められているのではないでしょうか。
2つのことを求めます。
1つは経済的に大変な世帯への支援です。
特に生活保護世帯への支援を求めます。
区議会には「生活支援課における夏季加算の検討」を求める陳情書が提出され、審査の途中です。
今年は記録的な猛暑ですが、電気代の値上げが生活保護世帯を苦しめています。物価も電気代も上がっているのに、生活保護費の支給額は変わっておりません。この猛暑の中、電気代を気にしてエアコンを我慢する方もいらっしゃいました。命や健康を守る支援が必要です。
生活保護には、地域によって冬季の加算はありますけれども、夏季加算はありません。夏季加算を行うには生活保護の制度を変える必要があります。
そこで、区として国に対し生活保護の夏季加算を求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。また、区として独自に生活保護世帯への猛暑への見舞金を支給してはいかがでしょうか。
いま一つは、中小零細事業者への支援です。
帝国データバンクの調査によると、2024年上半期の企業倒産は倒産4887件と、2014年以降で最多になったことが明らかになりました。その中でも、負債額が小規模な企業の倒産が目立つとしています。
中小零細事業者はコロナ禍の影響からなかなか抜け出せない下で物価高が追い打ちをかけています。国民の実質賃金は下がったままで、賃上げも物価上昇に見合っていません。個人消費が伸びないことも痛手となっています。
区内の中小事業者や飲食店の中には、その地域のコミュニティを支えている会社や店舗も少なくありません。そこで、区として中小零細事業者への支援策の具体化を求めます。御答弁ください。
続いて、小規模な介護事業者への支援です。
物価や電気代の値上げに加え、訪問介護の基本報酬の引下げが経営を圧迫しています。ある介護事業所は、家賃や駐輪場代の負担が重いという声を寄せています。介護事業者は区民の福祉を支える大事な存在です。
安定した経営を保障することが区民の在宅生活を支える上で不可欠です。そこで、区として小規模な介護児事業所の実態調査を行い、事業所の抱える不安や求めている支援策などを聞き取ってはいかがでしょうか。
御答弁ください。その上で、区ができる経済的な支援策を求めます。あわせて御答弁ください。
さて、介護事業者の経営を安定させるには介護報酬の引上げが欠かせません。
区として、国に対し介護報酬の抜本的な引上げを働きかけることを求めます。いかがでしょうか。
最後に、千代田区入札不正行為等再発防止検討報告書について質問します。
「報告書」では、再発防止として議員との関り方の見直し、職員倫理の向上、適正な契約制度等の構築の3つのことを述べています。
そのうち、議員等と対応する際の「職員の行動基準」として、「複数職員での対応」や「対応記録と上司への報告の徹底」などを示しています。
「対応記録の徹底」については、議員等による不当な働きかけを抑止する上で有効な手だてだと思います。
一方、議員の職員への働きかけの中には、住民の切実な要望や困っていることなど住民の人権を守る立場からの内容もあります。
しかし、「報告」には議員からの不当要求と住民の切実な声や要望を区別する基準が示され
ていません。
このままでは住民の切実な要望も不正行為の再発防止のための記録と扱われかねません。
住民の要望は多種多様で、その理由も様々です。
住民側の問題だから、区の問題だから、それも違いもあるでしょう。
そうした住民の声を聞く議員とのやり取りをただ記録するだけではなく、区の幹部職員の全体の認識にするならば住民サービスの向上に大いに役立つのではないでしょうか。
そこで、対応記録の位置づけは、不正抑止機能という観点だけではなく、住民要望や議員の活動を知る情報公開の機能という観点も必要だと思いますが、いかがでしょうか。
さて、今度は議会側が問われる番です。
今回の事件のきっかけは、元区議からの不当な働きかけです。
これまでも議員の不正行為の抑制策としての「政治倫理条例」が幾度となく議論されてきました。
もし政治倫理条例が制定されていたならば、今回の事件は防げていたかもしれません。
政治倫理条例の制定など議会側の再発防止策の具体化を早急に行うべきことを訴えて、私の質問を終わります。
子ども部長/牛尾議員の若い世代への支援に関する質問にお答えいたします。
まず、様々な支援が18歳で区切られていることについてですが、本区では、平成19年から教育を担当する部門と子育て支援部門を統合して子ども部を設置し、0歳から18歳までの切れ目のない総合的な施策を展開しております。
施策の実施に当たっては、必要に応じて保健福祉部などと連携して横断的な対応を取っており、成人に達した後も引き続いて支援できる体制を構築しております。
その他の手当等の支援については、それぞれのライフステージに応じて担当の所管により行われているところでございます。
次に、教育ローン利子補給金制度の対象年齢を18歳で区切らず、大学に通う全ての子供を持つ世帯を対象にすることについてお答えいたします。
本制度は、公の支援を直接受けにくい私立中学・高校を含む全ての子供の教育関連経費を対象とした事業として創設いたしました。
御指摘の大学の学費も対象となりますが、成人に達した方が経済状況等の事情により支援が必要な場合は、国や民間等の各種奨学金の利用が可能となっております。
このため、子ども部としましては18歳までの子供を対象としたところでございますが、教育ローンの利用実態や御意見などを踏まえ、制度の運用を検証してまいります。
次に、奨学金の利子補給や返済が困難な場合の支援制度及び区独自の給付型奨学金の創設についてですが、国や民間等による諸制度があること等を踏まえ、当面は教育ローン利子補給金制度を実施しつつ、今後とも国や他自治体の動向などを注視してまいります。
次に、若い世代が直接相談できる窓口の設置などの支援体制についてでございますが、年齢にかかわらず、それぞれの目的に応じた相談や支援などに対応する各種窓口があり、コールセンターや総合窓口においても御相談や御案内などの対応をしております。
相談や聞き取りの結果、明らかになった課題等については、関係所管に共有するとともに、必要な窓口に引き継ぐなど区を挙げて対応しているところですが、御指摘の他区の事例については十分研究してまいります。
保健福祉部長/牛尾議員の生活保護世帯に関する御質問にお答えいたします。
まず、生活保護世帯に対する夏季加算についてでございます。
御案内のとおり、生活保護制度は法令で定められた国の制度でございます。
その内容等につきましては、国政の場において御議論がなされるものと認識しております。
次に、生活保護世帯へ区独自の猛暑の見舞金支給についてでございます。
生活保護受給者には、年齢や世帯構成等に応じて国が定める必要な種類の保護費が支給されております。
また、生活保護世帯を含めた低所得世帯に対しましては「価格高騰特別支援給付金」を現在プッシュ型で支援しているところでございます。
したがいまして、これらの支援策に加えて、さらに見舞金を支給することは、生活保護世帯以外の世帯との均衡という観点からも難しいものと認識しております。
次に、小規模介護事業所に関する御質問にお答えいたします。
区では、平成24年に介護サービス推進協議会を設置し、千代田区における介護保険事業の円滑な推進のため、区内においてサービスを提供する介護保険法に基づく指定事業者と、年間4回程度、意見交換を行っております。
小規模介護事業所への実態調査につきましては、本協議会も活用しつつ、日々の業務を通じて把握に努めてまいります。
なお、御提案の経済的な支援につきましては、議論が必要であると認識しております。
また、介護報酬につきましては、国の審議会等で議論がなされた上で決定されるものと認識しております。
地域振興部長/牛尾議員の御質問のうち、中小零細事業者への支援についてお答えいたします。
区は、令和5年3月に「千代田区産業振興基本計画」を改訂し、コロナ禍で傷んだ区内の経済の活性化と成長力の維持・向上のためにイノベーションの創出促進をしつつ、中小企
業の経営安定化に向けた支援や積極的な取組の応援を行っていくこととしております。
我が国の産業を取り巻く環境が大きく変化し、事業活動に影響するリスク要因も複雑化している中で、それぞれの企業の課題に対応した支援が求められるものと認識しております。
区では、中小企業診断士による無料の経営相談を実施するとともに、経営資源が乏しい傾向にある小規模事業者には、利子補給率の高い融資制度を提供しています。
多くの事業者の皆様に御利用いただいており、融資の有用性を実感しているところでございます。
今後もこうした丁寧な支援を継続してまいります。
議長/政策経営部長。
政策経営部長/牛尾議員の御質問のうち、対応記録に関する御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、対応記録には、不正抑制という観点だけでなく、住民要望や議員の活動を知るという観点からの取扱いも必要だと認識しております。
そうした観点も踏まえ、個人情報の取扱いなどには十分に注意しつつ、住民サービスの向上にも役立てられるよう、対応記録の取扱いについて検討していきたいと思います。
牛尾議員/7番牛尾こうじろう、自席より再質問をいたします。
答弁全体を聞いてみて、自分の将来イメージが暗いというように思っちゃうなと感じました。
地方自治体の役割というのは住民福祉の向上と。
国の制度が悪ければ、区独自の施策を行ったり、国に意見を言っていくというのは、当然、自治体の役割だと私は思うんですよ。
何のために地方自治体があるのか。
国のやっていることをそのままやればいいのか。
そうじゃなく、住民の立場に立って、本施策が本当に自分にとって問題があるときには、国に対してもしっかり意見を言っていくと、これが当然の姿だと思うんですよね。
国で議論がされていると、その答えで終わるのであるならば、地方自治体の役割は本当にないと、私は言わざるを得ません。
そういう点で、答弁をもう一度お願いをしたいと思います。
それと、子ども部が18歳以降の質問に答弁をするという時点で、これは本当に矛盾が出ているなと思うんです。
やっぱり、2022年に児童福祉法が改定されて、児童養護施設や里親で育つ若者の自立支援が、これまでは原則18歳だったのが、年齢が撤廃されたんですね。
18歳になって社会に出て行ってくださいというふうになっても、その後、困窮や孤立に陥ってしまうという事例が多いから、だから18歳以降も支援するんだというふうになったわけですよ。
そうした視点で、18歳になったから福祉と連携していますとかではなくて、様々な施策を続けていくという視点で行っていただきたいと思いますけれども、いま一度御答弁をお願いします。
子ども部長/牛尾議員の再質問にお答えいたします。
先ほど答弁申し上げましたとおり、確かに、関係所管との連携だったり、成人後につながる、その前段の役割を担っている子供としまして、きちんとそのあたりを引き継いでいける体制というものが非常に重要だと思っております。
そして、先ほど御指摘いただいたような他の自治体のいい事例がたくさんありますので、そうしたものを十分に研究したいと思います。
ほかの自治体でも、実施に当たって様々な効果であったり、あるいは課題であったり、利用者の方の御意見であったり、そうしたものがあると思われますので、十分にそのあたり
も調査をして研究を進めてまいりたいと考えております。
保健福祉部長/牛尾議員の再質問にお答え申し上げます。
住民の立場に立って住民福祉の向上に努めていくのは、自治体職員として当然のことであるという御指摘、大変重く受け止めております。
そのことをしっかりと胸に刻みながら、職員一同、職務に邁進してまいりたいと思っております。