
参政党の憲法草案、既に前文から面白いことがてんこ盛りです。ちなみに、参政党のみなさんが大好きな、大日本帝国憲法には前文はありません。
「天皇は、いにしえから国をしらすこと悠久であり」、ん?と思います。「悠久」は「はてしなく長く続いている・こと(さま)」ということです。参政党のみなさんは、天皇の初代は神武天皇と考えているのだと思いますが、神武天皇が即位して今年は2685年ではないでしょうか?悠久ではありませんね。一般的には、神武天皇は実在せず、天皇家の歴史が確認できるのは、6世紀ごろからと言われています。
「国全体が家族のように助け合って暮らす」そんな歴史があったのでしょうか?前文でこう書くのなら、高齢者や障がい者にやさしくするべきです。
「国民を本とする政治の姿」、吉野作造の民本主義でしょうか?明記はされていませんが、天皇主権にしたいので、民主主義とか国民主権という言葉は使えないのでしょう。
そして、「日本の國體」、出た!このパラグラフの前を受けて、これが日本の國體だ!と言いたいのでしょうが、1937年に文部省が出した「国体の本義」での定義に比べると、随分のどかですね。そしてここだけ旧字なのも、一つ覚えみたいでおかしいですね。
「国土と環境の保全」とありますが、気候ネットワークの「第27回参議院議員選挙ー各党選挙公約の気候変動エネルギー政策に関する分析ー」では、「気候変動対策に後ろ向きな姿勢が際立ち」、−5点という評価です。猛省していただきたいです。
「我が国は、幾多の困難を乗り越え、世界に先駆けて人種の平等を訴えた国家」といってますが、このような史実はがあったのでしょうか?1923年の関東大震災の直後に起こった朝鮮人虐殺にみるように、この国の国民が他民族の排除を行ってきた歴史は否定することはできません。続けて「各国の歴史や文化を尊重して共存共栄を実現し、恒久の平和に貢献」とありますが、この参議院選挙の公約や街頭での演説をこの立場に合わせるべきです。
参政党のみなさんは、大日本帝国憲法が大好きらしいですね。また、参政党の憲法草案を批判する方の中に、これを大日本帝国憲法になぞらえる方がいますが、私は反対です。日本国憲法に比べると、いちいち挙げませんが問題だらけ、あの戦争への道をひらいたのも大日本帝国憲法ですので評価はしたくないのですが、参政党の憲法草案と並べるのは、伊藤博文、井上毅、伊東巳代治(この人たちも問題ありますが)に失礼ではないかと思います。不平等条約を解消するため、先進諸国と肩を並べる文明国であることを示すため、大日本帝国憲法は制定されました(その意味では、「押しつけ憲法」に他なりません)。そして、不十分ではありますが、立憲主義に基づくものでした。前文だけを読んでも明らかですが、この草案は憲法の名に値しない落書きに過ぎません。
