今日は西東京市男女平等推進センターのパリテまつり。
講演会の講師は女性学の第一人者、上野千鶴子さん。
テーマは「日本の男女平等はどこまで来たか?」
日本の女性の地位の低さは政府による構造的問題であり「人災」と批判した講演にはとてもスッキリしました。多くの人に聞いてもらいたかったので要約しました。
以下要約です。
上野さんはなぜ女性の地位がこれまで上がってこなかったかについて、「1985年の雇用機会均等法が改正されたが、同時に労働者派遣事業法が変わり、非正規雇用者が労働者の4割、女性の6割が非正規雇用になり、女と若者は使い捨ての労働力にされた」と規制緩和を進めた竹中平蔵を批判し今日のこの状況は「人災」と指摘しました。
規制緩和を進めた竹中平蔵氏は今は人材派遣会社のパソナの会長。上野さんは、経済学者として規制緩和を進め自分の儲けを確立した「立派な人」と冗談。
そして、何をやらせても仕事が出来て、体力もある1割の女性を含む勝ち組の女性3割とそれ以外の6割の非正規雇用の女性との女女格差を生み自己責任論に向かわせる。その犯人は経団連とズバリ。
経団連は管理職コースでイス取りゲームをさせ、専門職ではアウトソーシング(外注)をし、あとは派遣で女性や若者を使い捨ての労働力にする規制緩和を進めた。そしてその共犯は労働組合のおじさんたち。
労働組合のおじさん達は自分の今の地位だけ守れれば良い。そのうちバブルも持ち直すと合意をしてしまった。しかしその不況は長く続いて今はおじさんの息子世代(今の40代)が就職氷河期となり、年金や社会保障の枠外となりツケを払っているとのこと。
諸悪の根源は「日本型雇用」で処方箋は「労働時間の短縮」と「年功序列の廃止」「同一労働同一賃金の確立」とのこと。労働時間の短縮と同一労働同一賃金は共産党が言っていることと同じですね。
しかし、政府はこれをやらないし、競争の激化で生き延びられる人だけを救う。そしてそんな政府を選んでしまっている人の責任とバッサリ。この瞬間、会場はシーンとなりました。自分のことかもと思い当たる人が多かったのかも。
結論として「男女共同参画」で女性が増えれば何が変わるのか?
女性は男と同じ支配する側になりたいわけではない。
女性が社会に参画することで、女性が担ってきた子どもや高齢者、障がい者のケアを男性にも招き入れることで、社会的弱者が安心して生きられる社会を作ることが出来る。
そしてそのためには子ども・高齢者・障害者が自分のことを自分で決められる「当事者主権」が重要とのこと。
政府や新自由主義の批判をしてくれたことはスカッとしましたが、「北欧は消費税が5割近い。日本も北欧のように消費税をもっと上げるべき。共産党は消費税増税に反対していますが・・・」と名指しで共産党を批判していたのには少しガッカリ。政府の批判では「自民党」という言葉は伏せていたのに・・・。
日本は消費税を上げても、それが北欧のように国民に反映されないで、むしろ福祉が悪くなっている実態や企業の内部留保が賃金に回されていないことや軍事費の増大には触れていませんでした。
しかし、日本の男女平等度が低く、女性の非正規雇用が6割を占める中で、それは政府の責任との本質に迫ってくださったことは自分の努力が足りないせいだと自分を責めている多くの人の救いになると思います。
上野千鶴子さんを講師に選んでくれたパリテまつり実行委員会に感謝します。