■統廃合の⽬的は経費削減?
練⾺区教育委員会は、12⽉11⽇、「区⽴学校適正配置第⼆次実施計画(素案)」を公表しました。素案の中では、7つの⼩学校と9つの中学校が「適正配置候補校」、いわゆる統廃合の候補とされました。
その中で、旭町3丁⽬にある豊渓中学校と光が丘1丁⽬にある光が丘第⼋⼩学校が選ばれ、廃校にした上で、それぞれ光が丘第⼀中学校と⽥柄⼩学校に統合するといいます。統廃合の基準とされているのは学級数で、全学年の合計で11学級以下を「過⼩規模校」として、統廃合の候補にしています。これは区独⾃の基準です。
区教委は、過⼩規模校のデメリットとして、クラス替えができないために⼦どもたちの交友関係が固定化しやすく、教員個⼈への依存度が⾼まり、⼈事異動や教員数の変動により、学校経営が不安定化するなどを理由として挙げています。しかし、こうした理由には教育学上の明確な裏付けはありません。
むしろ、1⽉11⽇に区が開催した統廃合に関する説明会では、現役の校⻑先⽣が⼩規模校ならではの魅⼒を語っていました。科学的根拠もなく⼩規模校にマイナスのレッテルを貼るような区の説明は許されません。結局、区は、補助⾦を受けるためや、公共施設の数を減らし、経費を抑えるために統廃合を進めようというのではないでしょうか。
■現場が求めるのは少⼈数学級
むしろ現場の教員が⻑年求めてきたのは少⼈数学級です。コロナ禍の下では分散登校が⾏われ、現場の先⽣たちも少⼈数学級の効果を実感したという声が寄せられました。ある教員は、学級が20⼈くらいまでの⼈数だと、⼦どもたちの雰囲気が良くなり、⾃然と教え合いが⽣まれる、練習の順番もたくさん回ってきて、丁寧に教えることができたと話しています。都の教育⻑も平成22年からの検証の中で、少⼈数授業には良い影響があると認めています。もし学校の統廃合を進めれば、教室の数が少なくなることで、将来的に少⼈数学級を実現しようとしてもそれが困難になってしまいます。
■⼦ども、地域住⺠の声を聞くところから再スタートを
学校の統廃合は、少⼈数学級実現の可否だけに関わる問題ではありません。例えば、光が丘第⼋⼩学校には特別⽀援学級があります。統廃合による環境の変化や詰め込みが、特別⽀援学級に通う⼦どもたちの負担を増⼤させる危険性があります。ねりっこ学童クラブの⼤規模化も避けられません。現在、⽥柄⼩学校のねりっこ学童クラブの利⽤者数は約110名で、現在でも規模が⼤きすぎるという問題があります。ここに光が丘第⼋⼩学校の利⽤者数(約53名)を⾜すと、統廃合後のねりっこ学童クラブは160名を超すことになります。ここまで⼤規模な学童クラブとなれば、指導員の⽬が届かず、⼦どもたちの安全や環境が確保はますます困難になります。
さらに、学校は、⼦どもたちだけでなく、避難拠点や様々なイベントに活⽤される地域の要の施設です。学校が⼀つ減るだけでも、防災対策や地域活⼒の後退が懸念されるのです。こうしたさまざまな役割を担っている公的施設を廃校にする計画を、区は今年度末までのわずか4か⽉余りで決めてしまおうとしています。当事者・地域の声、学校の多様な役割を無視した乱暴なやり⽅です。
⼦どもの権利条約では、権利の主体である⼦どもの意⾒が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されるべきとされています。しかし、今回の計画では、地域や⼦どもたちの意⾒を⼗分に聞くことなく、素案を発表してしまいました。本来、⼦どもたちの声を聴いたうえで計画を策定すべきであり、形式的にパブリックコメントで意⾒を聴くだけでは到底不⼗分です
■遠くなる学校
豊渓中学校が廃校となった場合、豊渓中学校の通学区域内で暮らす⼦どもたちは、最寄りの光が丘第⼀中学校⼜は⼋坂中学校に通学することが想定されています。その場合、⾃宅から学校までの直線距離が2㎞を超えるケースも⽣じます(従来は1.5㎞程度)。通学時間の増加により⼦どもの負担が増えることはもちろん、交通事故等のリスクが増えるという⾯でも、⼦どもの安⼼・安全に直結する軽視できない問題です。
■みんなの声で計画はStop!
計画はまだ素案の段階であり、決定事項ではありません。計画素案によれば、光が丘第⼋⼩学校は令和14~18年を⽬処に、豊渓中学校は令和11年を⽬処に廃校するとしています。仮に計画が決定されたとしても運動次第で覆すことは可能です。
1⽉11⽇に区が開催した統廃合に関する説明会では、保護者や卒業⽣から「⼦どもを中⼼に考えてほしい」「思い⼊れのある学校だ」など、想いが次々に語られました。また、参加した地域の町会の⽅からも「地元の⼩中学校があって地域が成り⽴っている。統廃合は地域を切り捨てること」と厳しい意⾒があり、会場参加者からは多くの拍⼿が寄せられました。統廃合をおかしいと思う⼈は決して少なくありません。⼦どもたち・地域の未来のためにみんなで声をあげましょう!
