5月26日の都市整備委員会で、羽田新ルートの中止撤回を求める陳情(12号)と運用の延期を求める陳情(63号)の2本が、自民党や公明党などによって不採択とされてしまいました。本当に残念です。その間の経過は、都市整備委員会の委員である坂尻まさゆき区議会議員のブログを参照してください。
坂尻まさゆき区議会議員のブログ
6月1日から始まった第2回定例区議会の初日の本会議で、この2本の陳情についての討論が行われ、練馬区議団を代表して私が陳情の願意に賛成する討論に立ちました。その文章を貼り付けておきますので、ご覧ください。
◆陳情第12号と第63号に対する賛成討論
2020年6月1日
日本共産党練馬区議団 島田拓
日本共産党練馬区議団を代表して、陳情第12号「練馬区上空を飛ぶ羽田新ルートの中止撤回について」、陳情第63号「羽田空港新飛行経路の実機飛行を踏まえた運用延期などを求めることについて」の願意に賛成の立場から討論を行います。
賛成する理由の第一は、陳情63号が述べているように「実機飛行確認による検証・分析・対策検討が不十分」だからです。
実機飛行による確認は、北風運用と南風運用が今年2月、それぞれ7日間ずつしか実施されませんでした。とくに機体の揚力やエンジンの出力が低下し、騒音が大きくなる夏場の実機飛行確認は行われていません。
国会では今回の実機飛行について、大臣自身もデータが十分でないことを認めています。にもかかわらず、騒音については約2割で推計平均値を上回りました。しかし、その理由や原因などは何も示されていません。これで十分な検証が行われたとはとても言えません。
だからこそ陳情63号では、「運用の延期と検証結果・住民の意見・要望を踏まえた運用の見直しが必要」としているのではないでしょうか。今こそこうした声に耳を傾けるべきです。
賛成する理由の第二は、住民合意が得られていないことです。
この間、区内で開催された教室型説明会では、新ルートに対する懸念や反対の声が多くを占めました。今回出された委員会の資料でも練馬区に寄せられた意見は54件中45件が「騒音が大きい」「見た目が大きい」などの不安の声でした。
さらに港区議会と渋谷区議会では、新飛行ルートの見直しを求める意見書が全会一致で採択され、自民党、公明党も賛成しています。品川区議会では、ルートの再考と固定化を避ける取り組みを求める意見書を自民党と公明党が提案し、採択されました。住民合意が得られていないことは明らかです。
これまで国も都も、地元自治体や住民の理解を得ることが、新飛行経路の前提条件だと説明してきました。そうしたことを考えれば、陳情12号が述べている通り、「区民の理解が得られない羽田新ルートを中止撤回する」ことや陳情63号が述べている「住民の意見要望を踏まえ、運用を見直す」ことは当然の要求ではないでしょうか。
第三の理由は、3月に採択された意見書自体にも問題があることです。
今回、陳情の継続を求める声を無視して結論を出したことについて、都市整備委員会の委員長は、第一回定例会で採択された意見書を理由の一つに挙げています。意見書は、「これまで制定した落下物対策基準…の運用を…徹底させること」などを求めつつ、新ルートは必要不可欠としています。しかし、この間、運用の徹底を図った結果どうなったでしょうか。今まで見落とされていた落下物が認知され、逆に落下物が増えてしまいました。
質疑の中で、意見書の提案者から、「落下物をゼロにするのはなかなか難しい」という開き直りともとれる発言がありましたが、そうであるならば、できる限り人口密集地の上を飛ばないということが一番の対策ではないでしょうか。
意見書が、専門家の意見を軽視していることも問題です。提案者から元日本航空のパイロットで、新ルートの危険性を繰り返し指摘している杉江弘さんについて、「評論家というよりも活動家のような方」だと述べられ、杉江さんの指摘を軽視する発言が行われました。しかし、今では日本のすべてのパイロットにとって憲法のような指針となっている航空機の安全な着陸を規定した指針「スタビライズド・アプローチ」を作ったのは、他ならぬこの杉江弘さんです。
杉江さんだけでなく、世界約290の航空会社が加盟する国際運送協会、世界104か国のパイロットが加盟する国際パイロット団体、そして、日本乗員組合連絡会議などの専門家団体が相次いで新ルートに懸念を表明しています。どちらが正しいかは明らかではないでしょうか。
以上の理由から、陳情第12号と陳情第63号の願意に賛成することを申し上げて、日本共産党練馬区議団を代表しての討論といたします。
公式サイトhttp://www.shimada-taku.com/もご覧ください