島田拓

区立谷原保育園の廃園計画は撤回をー区はまともに答えず

2022.02.22

当事者を無視した区立谷原保育園の廃園計画が保護者をはじめ区民の中に怒りを広げています。この問題を一般質問で取り上げ、区に廃園計画の撤回を求めました。その質問と答弁を掲載します。区は、正面から答えず、いかにこの計画に問題が多いかを示すものとなりました。

次に区立谷原保育園についてお聞きします。
区は、区立谷原保育園について、2023年度から新規の募集を停止し、すべての子どもたちが卒園した2026年度末に廃園すると突然発表しました。許せないのは当事者の声を無視して方針を発表したことです。今回の方針は、非公開の会議の参考資料として初めて示され、保護者にも、議会にも事前の説明がないという前代未聞のやり方でした。
これまで区は保育園の在り方について、曲がりなりにも公共施設等総合管理計画などで事前に明らかにしてきました。ところが、こうした手続きさえ経ずに進めようとしています。しかも今後、段階的に子どもたちが卒園していくことになれば、異年齢児保育や行事などができなくなり、子どもたちに大きな影響を与えることになります。なぜ大きな負担をかけてまでも廃園を行う必要があるのでしょうか。お答えください。
これに対し計画に反対する保護者を中心に署名活動が行われ、短期間に5360筆もの署名が集まりました。駅頭で行われた署名行動では、1時間に400筆近い署名が集まりました。区はこうした声を真摯に受け止め、廃園計画は撤回すべきです。お答えください。
また個別の説明は行うとしていますが、当事者が求めているのであれば、教室型の説明会を開催すべきです。なぜ開かないのかも含めて、お答えください。
廃園の理由について老朽化としていますが、それは理由にはなりません。なぜなら廃園ではなく改築をすれば良いだけだからです。一方で、もし廃園だけを行えば、子どもたちの受け皿が無くなってしまいます。そこで区は、近接した土地に私立園を誘致するとしています。つまり廃園と誘致はセットなのです。これは事実上の民営化ではありませんか。お答えください。
事実、谷原保育園の子どもたちについては、転園を希望する場合には、優先して転園できるようにすることや、誘致する私立園の子どもたちと交流させるとしています。これは私立園を受け皿ととらえているからではありませんか。
今回の廃園によって、保育園の定員が95名分も減ってしまいます。今でも倍率は4.2とすべての希望者が入れているわけではありません。これは待機児対策にも逆行しています。
障害児については、区立園では園ごとに3名まで受け入れていますが、私立園ではそのような決まりはありません。誘致する保育園については3名分確保するとしていますが、実際に受け入れている私立園の割合は全体の43%。一方、区立園では97%となるなど、区立園が障害児の大きな受け皿となっています。
さらに直営園では、区内8か所で医療的ケア児を受け入れており、私立園が急に運営できなくなる場合には、直営園が支援するなど、セーフティーネットとしての役割を果たしてきました。こうした保育園を減らすことは保育サービスの後退でありませんか。

【小暮こども家庭部長】私から、谷原保育園等についてお答えします。
 谷原保育園は、老朽化が進行し、将来の安定した保育の提供に課題がありました。今回、近隣の生産緑地の買い取り申し出を受け、民間の力を活用し、保育サービスの充実を図るため、民間保育所を誘致するものです。
事業者の募集にあたっては、現在の谷原保育園以上の定員とし、障害児保育は区立園と同じ定員3名とするほか、新たに延長保育や0歳児保育も実施する考えです。今回の民間保育所の誘致により、地域の保育サービスが後退することはありません。
閉園時期は、在園児に配慮し、在園児が全員卒園した後の令和8年度末を目途とします。
在園児の保護者に対しては、生産緑地取得の過程で、昨年11月にお子様の卒園後に閉園する考えをお知らせし、個々のご質問に対応しました。その後、谷原保育園に関する計画は、練馬区公共施設等総合管理計画〔実施計画〕素案に盛り込み、12月から1月にかけて6か所のオープンハウスでの説明やパブリックコメントなどを行ってきました。
谷原保育園に関する個別の説明会も12月に3日間開催し、丁寧に説明してきました。保護者のご意見を踏まえ、今後、異年齢交流などについても検討します。現時点で改めて全体説明会を開催する考えはありませんが、引き続き、臨時ご相談に応じてまいります。

公式サイトhttp://www.shimada-taku.com/もご覧ください

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