2月から3月に行われた定例会(予算議会)で私は練馬区内の農業について取り上げました。
◆2022年問題
農業で今一番の課題は、やはり生産緑地が30年の期限を迎える2022年問題です。
区がこの間、区内生産緑地所有者を対象に行ったアンケートでは、継続して生産緑地として活用する特定生産緑地について、所有する土地の一部のみを特定生産緑地に指定するという回答が11.1%、すべて特定生産緑地に指定しないという回答が7.2%で、合わせて18.3%が生産緑地を減らす可能性があると答えています。これは決して少ない数字ではありません。
農地が減ることは、地域産業の維持・発展、環境保全、身近な食育の実施、さらには災害対策の面からも望ましいことではありません。
◆担い手をどのように確保・育成していくか
農地を守っていくうえで重要なのは、農業の担い手をどう育てていくのかということです。
練馬区が実施したアンケートでは、「後継者がいる」と答えた世帯が54.3%ある一方で、「いない」あるいは「未定」が合わせて45.1%と半分近くになっています。そして、「後継者がいる」と答えた世帯でも後継者の年齢で最も多いのが50代30.8%、40代22.1%、30代19.0%と続き、60代も15.4%います。つまり後継者自身も高齢化しているということです。
また、後継者がすでに就農しているかという問いに対しては、「今後就農する予定」あるいは「未定」と答えた農家は30%近くになります。農業は長い経験と知識を必要とすることから、本当に農業を引き継ぐことができるのか、不安が残ります。やはり担い手の育成は急務です。
例えば、すでにJA東京あおばが行っている担い手サポートセンターなどの新規就農者を支援する事業に対し、区が支援を行うことも検討すべきです。また農業関係者から、農業改良普及員をもっと増やしてほしいとの要望もいただいていることから、区からも都に対し、充実・拡充を求めることも必要です。これについては予算議会の中で要望をしました。
◆農地を守るため区の積極的な支援も
さらにアンケートでは、所有している農地の運営について、「農地の一部を貸したい」または「全部貸したい」と答えた農家は合わせて17.3%になります。そのうち、貸し出す相手先として一番多いのがJAで55.6%、2位は民間法人14.3%、3位は「誰でも構わない」で11.1%となっています。
区としても農作業を支援する人材の育成を目指し、「練馬区農の学校」を開校しています。今後、練馬区農の学校卒業生やJAとも協力して、農地を守る何らかの対策が必要と考え、検討を求めました。
もし担い手が見つからない場合には、市民農園のような形を増やしていく、場合によっては区が土地を買い取り、区民や新規農業者に貸し出すことによって農地を守ることも、区として検討していくべきです。
◆農家の負担軽減も
農地、そして農業を守るには、農家の負担軽減も不可欠です。
農業関係者から多く聞かれる悩みの一つは鳥獣被害です。2017年度は区内で31件、被害額にして616万円(機械的に算出された数字)もの鳥獣被害が報告されています。現在農業者が防除費を一部負担しているという状況だと聞いており、区として、その費用を補助することは有効な支援になるでしょう。
また土埃防止のための対策として、収穫後の冬の間にマメ科の植物の種をまいて、茂らせ、土ぼこりを防止するという方法も提唱されています。土地埃対策は農地に隣接している住民の理解を得るうえでも重要であり、練馬区としても研究を進め、積極的に広げていくことを求めました。
今年11月には、この練馬区で世界都市農業サミットが開催されます。
都市農業特有の課題を確認しつつ、農業の魅力をみなさんに広く知っていただくよい機会となるはずです。都市農業は練馬だけのものではありません。ですから関係自治体、都、国ともより連携して、都市農業そのものの発展につながるサミットにするよう求めました。
公式サイトhttp://www.shimada-taku.com/もご覧ください