石川すみえ

マイナ保険証と現行の保険証の両立を求める陳情に賛成する討論

2024.06.24

討論日:2024/06/24

ただいまから、陳情第54号「国に対し、マイナ保険証と現行の健康保険証の両立を求める意見書の提出を求める陳情」、委員会決定「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場から討論を行います。

本陳情は、国に対し、2024年12月以降も現行の健康保険証の交付を継続し、マイナ保険証と現行の健康保険証の両立を求める意見書を提出するよう、議会に求めるものです。

陳情に賛成する第一の理由は、マイナ保険証の利用率は著しく低く、国民に浸透しているとはいえないからです。

板橋区の国民健康保険におけるマイナ保険証の登録率は45.89%、利用率はわずか6.43%です。利用率が低い理由のひとつは、現行の紙の保険証で事足りているからです。マイナ保険証の利用を希望しない場合には、資格確認書が送付されることになっています。委員会審議のなかで区は、「資格確認書は名前の変わった従来の紙の保険証」だから「保険証難民はうまれない」と答弁しています。このことはまさしく、陳情が求めているようにマイナ保険証の一本化をせず、マイナ保険証と現行の健康保険証の両立を継続すればいい話です。

利用率が低いもうひとつの理由は、国民の不安が払しょくされていないからです。重要な個人情報を一本化するシステムでありながら、保険証の情報を紐づけするときや、そもそもマイナンバーカードそのものの情報紐づけのときにも、多くの誤情報がひもづけされてしまいました。区民の情報、プライバシー権をまもるためにも、国に意見をあげるべきです。

第二の理由は、医療を受ける権利を侵害する恐れがあるからです。

板橋区のオンライン資格確認システムの導入率は86.5%で、すべての医療機関で資格確認ができるわけではありません。マイナ保険証による保険資格の確認は、トラブルの発生が予防できず、より煩雑になる場合があります。たとえばマイナ保険証を使用していて、オンライン資格確認書に対応していない医療機関で診療を受ける場合は、有効期間がある保険証があればそれを示し、マイナポータルにアクセスできるスマホがあればそれを使って資格情報をみせる、それもできない状況だったら、医療機関に対して申立書を書くという流れです。資格確認ができなければ、10割負担の支払いとなり、希望する医療が受けられない可能性が高まります。

また政府は、マイナ保険証の利用率をあげるために217億円を計上し、利用者を一定以上ふやした医療機関に対し、一時金を支給する方針です。医療関係者から「マイナ保険証を持たないと損をする」と言われ、まるで脅しのようだったと話す患者もいます。現在でもマイナ保険証と紙の保険証では、初診料で6円の差が設けられ、医療を受ける権利に不平等が生じています。国がやるべきことは、国民を分断し差別を広げることではなく、いつでもどこでも誰でも、平等に医療が受けられるようにすることです。

第三の理由は、マイナ保険証の本格利用にあたり現行の保険証を廃止することは、いわゆるマイナンバー法上の問題があることです。

マイナンバー法では15条で、マイナンバーカードを取得するかどうかは本人の自由で、義務ではないとしています。マイナ保険証は事実上、マイナンバーカートの取得を強要するもので、看過できません。カードの取得が任意である以上、所持しない国民に不利益となることはやめるべきです。

いま現在、現行の紙の保険証とマイナ保険証が両立している状況で、何ら問題がおきていません。むしろ現行の保険証を廃止したほうが、医療の保障や個人情報の管理に課題が生じると考えるため、本陳情の採択を求め、わたしの討論を終わります。

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