街角から平和を―戦跡を守り継ぐ④〈東京砲兵工廠〉遺構と一緒に紡ぐ物語
〈東京砲兵工廠〉の逸話ふたつに注目してみました。
ひとつは労働争議。労働者は日本初の官業組合「小石川労働会」を結成し、1919(大正8)年にストライキを決行しています。労使間の平和についても探求できそうです。
もうひとつは、操業当時の文京区ゆかりの文筆家たちの作品。横山源之助『日本之下層社会』では〈東京砲兵工廠〉の実態も調査され記録されています。久米正雄『工廠裏にて』では題名通り主軸をなしています。永井荷風『日和下駄』にも頻出。森田草平『煤煙』では煙突と黒煙が描写されています。その光景は斎藤茂吉や石川啄木の歌にも詠まれました。〈東京砲兵工廠〉は地域の象徴的存在だったのです。
関東大震災後、〈東京砲兵工廠〉は小倉(現・北九州市小倉北区)に移転して小倉陸軍造兵廠に。その跡地には「平和の尊さを伝える」施設〈北九州市平和のまちミュージアム〉があります。文京区でも〈東京砲兵工廠〉を未来へつなぎ、歴史に学ぶ平和の物語を紡いでいきたいものです
目白台・坂本尚子

