千代田区議会第3回定例会の本会議質問(一般質問)での私がおこなった質問と答弁は以下です。

牛尾議員/日本共産党の牛尾こうじろうです。
一般質問を行います。
最初に、千代田区が、7月18日に一般社団法人不動産協会に対して行った千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請について質問をいたします。
区が行った要請の内容の一つに、都市開発制度を活用する事業や市街地再開発事業において販売するマンションについて、購入者が引き渡しから原則5年間物件を転売できないよう特約を付すこと、いま一つは、再開発事業で販売するマンションについて、同一名義人による複数物件の購入を禁止することです。
現在、新築分譲マンションの価格が高騰しています。首都圏の新築分譲マンションの平均価格は過去最高となり、エリア別平均価格をみると、2023年の数字では、23区が1億1483万円、前年比39.4%増と急騰しております。
中古マンションではどうでしょうか。23区を中心に、特に2020年以降の平均価格の上昇率が高くなっており、区内のあるマンションでは新築で購入した価格の2倍になっているマンションもありました。
このマンション価格の高騰が周辺地域の土地の価格や家賃の上昇につながり、10年前に比べ、マンションの平均の家賃はワンルームで1.2倍、ファミリータイプで約1.45倍と上昇しており、住民の住む権利が脅かされております。
なぜ、これだけのマンション価格が上昇しているのでしょうか。
区の要請にも記されておりますが、マンション、特に市街地再開発などで建てられた超高層や超高級マンションへの投機マネーが大きな要因の一つです。
まず、お聞きしますが、市街地再開発などによって造られたマンションに、投機マネーによって住まいが脅かされる状況についてどのように考えていますか、御答弁をお願いします。
今回、投機を目的としたマンション取引を規制する内容の要請が不動産協会に行われたことは、住み続けられるまちづくりへの一歩前進だと思います。
一方、今回は要請、いわゆるお願いです。
要請しても、それに不動産業者が応えなければ仕方がありません。
事実、不動産協会は要請に対し、合理的でないと反発もしております。
また、内容についても実効性あるものでないと意味がありません。
区長は日経新聞のインタビューで、「都市開発諸制度を活用して容積率を緩和する場合や市街地再開発で区として補助金を交付する場合で、事業者が区と調整しなければならず、実効性がある」と述べております。
しかし、区内の多くのこうした事業は延べ床面積が広く、東京都の許認可権です。
東亰都が許認可権を持つ市街地再開発で建てられたマンションについて、どのように実効性を持たせるのですか、御答弁お願いします。
さて、千代田区住宅基本条例は第1条で「千代田区の住宅政策は、現在及び将来にわたり、すべての区民が人間として尊重され、都心にふさわしい安全かつ快適な住環境のもとで、それぞれの世帯に応じた良質な住宅を確保できるようにすることを目標とする」とうたっております。
しかし、投機マネーがその世帯に応じた良質な住宅の確保ができない状況をつくり出しております。
不動産協会への要請文の最後に、「なお、区としては、引き続き区内のマンション取引の動向を注視し、今後も必要に応じて対策を検討する」としております。
その検討の一つとして提案をしたいと思いますけれども、住宅基本条例の20条の2項で、「区長は、開発事業者に対して、必要な住宅の供給及び住環境の整備その他の適切な負担を要請することができる」としております。
そこで、この20条の開発事業者に対する要請を、今回の不動産協会への要請の法的根拠に位置づけられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
さて、マンションや土地の高騰の大きな原因は、国の規制緩和を小池都政が利用し、国際金融都市・東京などを掲げ、高級住宅を取り込んだ大型再開発や高層ビル建設を推進してきたことに投機マネーが集中したからであります。
そして、千代田区も都や国とこれまで市街地再開発を進めてきました。
今後も区内各地で再開発が計画されております。
率直にお聞きしますが、市街地再開発を進めながら、今回のように投機マネー規制を要請することは矛盾するのではないでしょうか。
区長の認識をお聞かせください。
私は、今こそ、まちづくりの在り方を見直すべきだと思います。そこで、投機マネーを呼び込む住民を無視したこれまでの規制緩和のまちづくりから、住民の声を取り入れた持続可能なまちづくりへの転換を求めたいと思いますがいかがでしょうか。
続いて、猛暑対策について質問します。
今年の日本は記録的な猛暑に見舞われ、気象庁によると6月から8月の国内平均気温は平年より2.36度高く、観測史上最も暑い夏となりました。
全国各地で気温が40度を超え、それに伴い、熱中症の救急搬送も過去最大で死者数も全国で過去最多となっております。
今年のように記録的な猛暑にならなくても、来年以降も猛暑の夏になることが予想されております。それに伴い、熱中症への対策が求められております。
熱中症対策で有効なのがエアコンを使うことです。特に、高齢になると体温調整機能が低下しやすく、暑さや寒さも感じにくくなります。高齢者世帯ほどエアコンの活用が大事です。
そうした高齢世帯や障害者世帯への対策として、東京都は、高齢者がエアコンを購入した場合、最大8万円の補助を8月30日から実施をしております。
これは、東京都がこの間実施してきた家庭のゼロエミッション行動推進事業のエアコンの買替えや購入に付与されていたポイント、7万ポイントを最大8万ポイントに拡充したものです。
この事業に登録している電気店等からエアコンを購入した際に8万円が値引きをされます。 ただ、東京都の補助の要件が省エネの高い性能のエアコン購入となっているために、8万円引かれたとしても工事費を含めて20万円から30万円近く費用がかかります。年金のみの高齢者世帯や障害を持つ方や御家庭は、買替えや購入を躊躇する金額ではないでしょうか。
この補助は、自治体の補助と併用することが可能です。
北区は、独自に4万円、非課税世帯は7万円を上乗せして支給をしております。そこで、千代田区でも高齢者世帯や障害者世帯、そして生活が困窮している世帯に独自のエアコン設置の上乗せの助成の実施を求めますけれども、いかがでしょうか。
猛暑が続く中、まちを歩いていると日陰のありがたさを実感します。しかし、お昼時は太陽が真上にあるために建物がつくる日陰は少なくなります。そんな中で、道路の街路樹がつくる日陰は歩行者にとって貴重なものです。 炎天下の中、日向と日陰では道路の表面温度は20度以上差があります。ところで、昨年の第4回定例会で、私は区に対し、上空から樹冠を地面に向かって水平に投影したときにできる陰影の面積が敷地全体に占める面積の割合、いわゆる樹幹被覆率の目標を持つことを提案しました。
その際、区は「樹冠被覆率の指標につきましては、暑熱環境の緩和に資する指標であると認識しており、今後、国や都、他の自治体の動向を踏まえて研究してまいります」と答弁しております。
この夏のような災害級の猛暑がこれからも続くことを考えれば、また、ヒートアイランド対策も考えれば、樹幹被覆率の目標を研究ではなく、検討する段階に来ているのではないでしょうか、お答えください。
最後に、外国人住民と多文化共生についてお聞きします。
先に行われた参議院議員選挙で、日本人ファーストを掲げ、外国人政策の抜本的な見直し、生活保護など社会保障の制限や外国人労働者を差別するなど排外主義ともいえる政策を訴えた政党が議席を伸ばしております。
自公政権もこうした流れに沿うように、外国人との秩序ある共生社会推進室を設置。
当時の林官房長官は「一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用など、国民が不安や不公平感を有する状況も生じている」と述べております。
しかし、外国人による国内での犯罪はここ20年で大きく減っています。
また、生活保護受給者数を見ても外国人が倍増していると言いますが、生活保護世帯数全体が大きく増える中、外国人受給世帯の割合はほぼ横ばいです。
こうした事実を見ずに、外国人居住者犯罪や社会保障の不正利用が横行しているかのような発言を行うことは、私は大変問題だと考えます。
私には、子供の同級生の保護者や飲食店で働く人など、区内に住み、働く外国人の知り合いがいますが、こうした動きに対して、「私たちはこれから差別されるのではないか」とか、「自分たちは普通に働いているのになぜ」という不安や疑問の声が寄せられております。
今、どこにいっても外国人労働者を見ない現場はありません。人口減少が問題になる中で、今や日本経済や社会は外国人労働者なしには成り立たない状況です。
それにもかかわらず、日本で働く外国人は、技能実習生の低賃金や長時間労働が度々報道されるなど、権利が保障されていない実態が少なからず存在します。それは言葉の壁や日本社会、法律などへの理解不足、こうしたことも原因となっております。
このような日本に住み、働く外国人が安心して働き、安心して住むことができ、権利も保障される社会をつくることが、私たち日本人にとっても安心できる社会につながるのではないでしょうか。
7月23日、全国知事会が外国人の受け入れと多文化共生社会実現に向けた提言をまとめました。
提言では、日本に住む外国人は自治体から見れば日本人と同じ生活者であり、地域住民だとし、これまで自治体任せになっている生活支援や教育、医療、通訳などの支援を国に求め、外国人の受入れと多文化共生社会の実現に国が責任を持つべきだとしています。
お聞きしますけれども、外国人は自治体から見れば日本人と同じ生活者であり、地域住民。区長も同じような認識をお持ちですか、お答えください。
こうした立場に立つならば、私は区の施策において、日本人と外国人とに差があってはいけないと思います。
区長は招集挨拶で区内に住む外国人に対し、「区では地域の状況や国の動向等を踏まえ、必要に応じた対策を検討してまいります」と述べました。一体何をしようとしているのか。
外国人居住者の比率が高いお隣の新宿区では、外国人専門の相談窓口を設け、しんじゅく多文化共生プラザという外国人と日本人の交流の拠点施設をつくり、無料の日本語教室を運営するなど、外国人居住者を支援し、外国人と日本人が交流する施策を進めております。
千代田区でも、外国人が今後増えていくというのであるならば、新宿のように区内に居住する外国人の方への支援を強めることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
区のお考えを伺って質問を終わります。
保健福祉部長
牛尾議員のエアコン購入助成についての御質問にお答えいたします。
猛暑から身体を守るためには、今やエアコンを欠かすことができません。
したがいまして、使いたくないという方に対しましても、その重要性、適切な使用方法を御理解いただくことが大切と考え、特に高齢者の皆様方への戸別訪問などを通じまして、繰り返し、繰り返しお伝えしているところでございます。
一方、今般の東京ゼロエミポイントの拡充でございます。
本区といたしまして、現時点での上乗せ助成は想定しておりませんが、本区での実態の分析や、御紹介いただきました事業を含め、他の自治体における事例の研究を行ってまいります。
さらに、今般の拡充策が区民の皆様方の御利用につながりますよう、積極的に制度の周知を図ってまいります。
文化スポーツ担当部長
牛尾議員の御質問のうち、外国人住民と多文化共生についてお答えいたします。
まず、外国人住民についてですが、先日の区長の招集挨拶において、地域の生活者となる外国人住民という言葉で、認識を既に申し上げております。
次に、外国人住民への対応についてですが、現在、区の現状や課題を把握した上で、多文化共生の考え方を計画として示せるよう、議論を行う検討委員会設置の準備を進めております。
今後は、国の動向も踏まえながら検討を進めてまいります。
ゼロカーボン推進技監
牛尾議員の樹冠被覆率についての御質問にお答えします。
ヒートアイランドの原因の一つは、市街化の進行などによる地表面被覆の変化です。
緑地は蒸散効果を有しており、その増加はヒートアイランド対策として有効です。
そのため、千代田区ヒートアイランド対策計画においては、緑被率を指標として用いています。
千代田区では、緑豊かな都市景観の創出と良好な生活環境の保全等のために緑化指導を行っており、緑被率は2003年度の20.36%から2018年度の23.22%に増加いたしました。
今後も建築物の建替え等の機会を捉えて緑化を進めてまいります。
一方、樹冠被覆率の指標につきましては、前回答弁いたしましたように暑熱環境の緩和に資する指標であると認識しており、国や都、他の自治体の動向を踏まえて、引き続き研究してまいります。
まちづくり担当部長
牛尾議員の御質問にお答えします。
市街地再開発事業などによって造られたマンションに、投機マネーによって、住まいが脅かされる状況についてですが、市街地再開発事業によって建築されたマンションに限らず、マンション全体の価格が上昇をしております。
資材や人件費の上昇もありますが、投機目的の取引も一因にあると考えております。
投機目的の取引が増えることにより、過度な住宅価格の上昇、ひいては賃貸マンションにまで影響を及ぼし、区内に居住したい方々が住めない問題が生じます。
また、居住実態のない住戸が増えれば、地域コミュニティーの希薄化やマンションの管理運営への悪影響等も懸念されます。
こうした背景から、投機目的の取引について、区としては重大な問題であると認識し、今回要請を行っております。
次に、東京都が許認可権を持つ市街地再開発事業に実効性をどのように持たせるのかですが、区内の共同住宅を整備する市街地再開発事業のほとんどは区が都市計画決定を行ってきており、事業は区と協議をしながら進めていきますので、実効性は高いと考えております。
次に、要請の内容に関する住宅基本条例への位置づけですが、あくまでも今回は諸制度や再開発事業に関わる案件の要請であることから、条例に対応することは考えておりません。
次に、市街地再開発事業を進めながら今回のような要請をすることは矛盾するのではないかについてですが、市街地再開発事業は、老朽化した建物の更新や公共施設の整備、土地の高度利用を通じて、都市の機能を向上させる重要な施策です。
今回の要請は、市街地再開発事業等で整備されたマンションが投機目的で購入されることによる地域コミュニティーの希薄化やマンションの管理運営への悪影響等を防止することにより、都市の機能を向上させることに資するものであるため、何ら矛盾はしておりません。
最後に、持続可能なまちづくりへの転換についてですが、区としては、地域に集まる方々とまちの将来像を共有し、御意見を伺いながら、地区計画の策定や市街地再開発事業などのまちづくりを進めており、今後も引き続き、多様な人々が快適に暮らし、交流し、地域に根差して生活できる持続可能なまちづくりを進めてまいります。
牛尾議員
再質問させていただきます。
まちづくりにおいて反省がないのではないかと私は思うのですよね。
この間、再開発によって地権者の方が出ざるを得ないという方がたくさんいらっしゃいました。
再開発されたマンションなどに住んだはいいけれども、管理費が上がっていって大変だという声も聞いております。
そうしてつくり出したマンションに対して、投機マネーが入ってきて価格が上がっていると、さらに住みづらくなってきている。
これ、こうしたまちづくりの在り方が投機マネーを呼んでいるわけですよ。
それについて、今回はお願いベースなので条例的な提案をしないとか、あとは何ら市街地再開発を進めることと、今回の要請は矛盾しないとか、そういうことでは今後も同じような状況がつくり出されるのではないかと。
もちろん、その要請をすることは一歩前進だと思いますけれども、さらに実効性を持たせるような努力、まちづくりの在り方というのを根本的に見直していかないと、同じような状況が続くのではないかと私は思いますよ。
なので、やっぱり住まいは人権という立場で、今回、この問題についても、しっかりと実効性のあるものにしていく、またまちづくりの在り方を見直していく、住宅施策を見直していく、そういう分岐点ではないかと私は思うのですけれども、そこについての認識をお聞かせください。
まちづくり担当部長
牛尾議員から再質問をいただきました。
投機目的でのマンション購入は問題であるとの意見、認識は一致しているのかなと思っております。
先ほど申し上げたように、市街地再開発事業だけではなく、いわゆる一般設計のマンションでも、販売のときに行われているということは、我々もそれも一致しているのではないかと思っています。
今回は要請ということで、実効性が高い諸制度と市街地再開発事業としてターゲットに据えたものですので、先ほどと答弁は一緒ですけれども、市街地再開発事業が投機目的マンションを誘発しているかの発言は正直、ちょっと的が外れているかなと私たちは認識をしております。
条例のお話しですけれども、昨日の区長答弁でもあったように千代田区がまずは最初の一手を打ったということが肝腎だと考えております。
要請先の不動産協会も、国交省の調査結果を踏まえ、投機的な短期転売の抑制を発信するという考え方に変わったという認識で、今、区単独で条例化というよりも、国や都、他自治体とも問題を共有して有効な手だてを検討し、進めていくことが先決であるかと考えております。
