第8期高齢者保健福祉計画・介護保険計画の素案が公表され、区民意見を募集しています。
今年が制度開始から21年目になる介護保険は、3年ごとに保険料や取り組みなどを見直してきました。今年度までの3年間は、その第7期にあたり、来年度から第8期が始まります。
区ホームページ
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/pubcom/oshirase/8kikeikakuikenbosyuu.html
この21年間、介護保険は「持続可能性の確保」の名のもと、給付削減と負担増が繰り返されてきました。事業者の収入になる介護報酬はマイナス改定が繰り返され、経営難と人手不足が深刻です。
大手新聞が行なった、東京23区を含めた主要自治体への調査では、「介護保険が今後10年現行のままで維持できるか」という設問に9割の自治体が「困難」と回答しています。主な問題点は人材不足ということです。介護にお金を出さない、国の責任は重大です。
法改定抜きで抜け穴的に総合事業の対象拡大
こうしたなか来年度から、さらに制度改悪と負担増が狙われています。財務省は要介護1と2まで保険給付から外し、総合事業に移すことを主張してきましたが、介護家族などからの強い反対があり正式には見送られました。
しかし、省令改正によって要介護者も総合事業の対象にしようとしています。
これを突破口にして要介護の総合事業化——基準を引き下げた安上がりな介護にしようというのが狙いです。
介護士の資格を持たない人、ボランティアなどに担ってもらい金をかけないことを狙って導入された総合事業ですが、結局担い手を確保するのが難しく狙い通りにいっていないのが実態です。
総合事業の拡大ではなく、責任もって介護を提供する保険給付に一本化するべきです。要介護者に受ける給付に影響を与えるものではなく、保険給付に一本化することも求めない、というのが区の答えでした。
総合事業の対象拡大は従来から財務省が主張していることからも、その狙いが財政支出削減にあることは明らかです。
補足給付も負担増と対象者絞り込み
また、特養ホームなど施設に入っている人の食費・居住費を補助する補足給付が改革され、例えば年収120万円超の人は、月2万2千円も負担が増えます。さらに同年収の場合、預貯金が500万円以上あると補助対象ですらなくなります。
まさに低年金者を狙い撃ちにした負担増であり、国に計画中止を求めること、補足給付の継続を求めました。
区は、「公平性の観点から能力に応じた負担となるよう見直すもの」「中止を求める考えはない」と答えました。利用者によりそう姿勢を示してほしいものです。
来年度からの保険料値上げもやめよ
21年間で保険料は2倍以上になりました。「値上げは年金生活者にとって致命的」という声が高齢者基礎町にも寄せられています。
利用料には2割・3割負担が導入され、給付のほうも改悪の連続、年金額は切り下げ。負担増が重なるばかりです。区は適切な保険料算定を行ない、来年の区議会第1回定例会に条例改正案を示すとしています。
介護制度の矛盾が深まりを危惧するとともに、「社会保障のため」のはずの消費税増税の道理のなさも強く感じずにはいられません。