練馬区議会定例会に、また国民健康保険料を値上げする条例案が出され、自民党、公明党、練馬区議会未来会議・都民ファーストの会・国民民主党、さらに立憲民主党も賛成し可決されてしまいました。
日本共産党練馬区議団を代表し、私が反対の討論を行いました。
値上げは医療費の増を主な要因としています。一人当たりの保険料は、40歳未満の場合6,824円上がり、131,813円、40歳以上の場合一人当たり5,512円値上げし17万1380円になるなど、多くの被保険者が値上げになっています。また未就学児の均等割軽減も始める内容です。
問題の第1は、区民生活をさらに苦しめるものだということです。
来年度から始まる未就学児の均等割軽減は、多くの声と運動が政治を動かしたもので、未就学児のいる世帯では一定程度、引き下げとなる重要な前進です。しかし残念ながら全体は都道府県化後最大の上り幅になっています。
この間値上げが続いてきたことで、10年前と比較した場合、保険料の均等割り分は
56,400円→71,900円と1万5,500円も上ります。
40歳未満3人世帯年収400万円の場合31万円だったのが、来年度は38万5,852円にもなり、40歳以上では軒並み年収の1割を優に超える過重負担です。賦課限度額もついに100万円を突破します。
コロナ禍で特に苦しい低所得者はもちろん、比較的ゆとりがあると思われる層にとっても厳しくなっているのではないか、と思います。
1人当たりの実質賃金はピーク時の1997年と比べると64万円も減っているうえに、食品やガソリンなど物価高の影響もあり、保険料値上げが生活にあたえる影響は計りしれません。そうした生活状況も考慮した保険料にするべきだと思います。
第2は保険料値上げ抑制の努力が不十分であることです。
区長会は来年度保険料について、新型コロナに関わる負担分は被保険者に負担させないため、2018年度と同じ水準で一般会計からの国保会計への繰り入れを行い、一定程度値上げを抑制しました。
これは、いかに区民の負担が重く深刻になっているかを示すものであり、区長会の対応は一定評価できるものです。しかし大幅値上げには変わりありません。
しかも、保険料を抑制する意味がある国保会計への繰り入れを毎年1%ずつ減らす計画だったのを、今年度は減らさずに据え置きましたが、今後、当初計画通り2024年度にゼロにするとしています。
それでは2023年度以降は来年度を上回る値上げになってしまい、激変緩和にもなりません。被保険者の負担能力の限界をはるかに超え、より一層深刻な事態を招きかねません。
予算削減計画は見直し、法定外繰り入れを増やし、保険料を引き下げるべきと訴えました。国に対しては、法定外繰り入れの解消を自治体に求めることをやめることや、予算措置の抜本的強化を求めるべきです。
第3は、社会保障としての国民健康保険制度を根底から崩しかねないことです
国保加入者の7割が所得の低い非正規労働者や年金生活者で占められているにも関わらず、保険料は高いという構造的な問題が置き去りにされ、制度運営側の赤字解消や財政の安定ばかりが重視されてきました。
本来、住民の命と健康を守るべき健康保険制度が、生活苦を増大させ、医療を受ける権利を奪うなどということはあってはなりません。
国保は被保険者の相互扶助だと、自民党などは言います。
区長会が国と都に財政支援を求めているのですが、その要望書には
被保険者は「経済的に困難を抱える者が多い」とあるのです。
切実に支えを必要としている、そういう人たちに負担を押し付けていいのか、区の対応が問われています。
国保料が異常に高い要因「均等割」の廃止を!
未就学児の軽減にとどまらず子育ての負担が増す18歳まで拡大し、均等割全額を免除するべきです。さらに均等割という現代版人頭税のような、時代錯誤の制度そのものをなくすことが必要です。
医療費増に伴い天井知らずに保険料が上がり続ける現在の国保の仕組みは、社会保障制度といえるのか、その瀬戸際にあると思います。
1兆円規模の国庫負担割合の引き上げなど制度の抜本的な見直しが避けられません。
練馬区は、区民に最も身近な保険者として、国保制度が社会保障として住民の命と健康、暮らしを守るという本来の役割を果たすため、あらゆる努力をして保険料の値上げを抑え、軽減に踏み出すことを強く求めました。
↓保険料のモデルケース試算表