現在日本で働く労働者全体で、派遣を中心に非正規雇用が約37%になっています。(5699万人中2101万人)
非正規雇用の増大は低賃金労働者の拡大をもたらし、経済力や購買力を後退させる大きな要因になっています。
ところが練馬区区役所で働く公務員も、同様に4割近くが会計年度任用職員という名の非正規公務員になっているのです。
会計年度任用職員は1年ごとの雇用で、働きぶりを評価したうえで数年、再雇用されますが、5年で雇い止め。その間、給料はほとんどあがりません。
日本共産党練馬区議団は、雇い止めなく働けるようにすることや、継続して雇用し場合、任期期限のない職員にするべきだと求めてきました。
しかし区側はこれを否定してきました。
これまで、常勤職と非常勤職の人数はどうだったでしょうか。
2012年(平成24年) 常勤:4931名 非常勤:2434名
2022年(令和4年) 常勤:4609名 非常勤:2681名
10年間で常勤が322名減り、非常勤は247名増加しています。
2681人のうち、86%は女性です。
会計年度任用職員は図書館専門員や介護保険認定調査員など恒常的・基幹的な業務についている人もいますが、それでも非常勤。
区はその理由として、成績主義や平等取り扱いの原則から無期限の雇用は適切でないとしています。(ここにはまず、会計年度任用職員であるという前提がつきます。)
成績主義は矛盾
成績主義は地方公務員法第15条で、人事評価や能力に基づいて職員を任用しなければならないとされていることです。
人事評価は毎年行われます。その結果能力や実績等を評価したうえで続けて2年3年と雇用するのであれば、一律に5年たったら雇い止めするのでは筋が通りません。
雇い止めは成績主義に反するのではと区に問いました。
区は、会計年度職員の任期(雇用契約期間)は1年であり、任期ごとに公募を行うことも考えられる。
しかし人事評価が良好であれば、公募によらず任用する、区では5年までは再度の任用を可能としている。
と、このような答弁。本来は1年で雇い止めでもいいけど、成績がよければ5年まで使ってやるよ、ということです。また、5年満期を迎える際に改めて応募し、5年以上続けて雇用されることも可能だとしていますが、かならずそうなるという保証はありません。
そもそも成績主義は、行政の運営を安定継続させるためのものです。能力が実績が良好だとしても、そういう人を5年で雇い止めにしては、安定した業務遂行の支障になるのではないか?
これに対し区は、安定継続した運営のためににも、広く公募を行い能力のある方を任用するのが成績主義を貫くことだと答弁。無期限の任用は適切でないとしました。
これでは、無期限の常勤職員の存在も成績主義に反してしまうことになるのでは?疑問はぬぐえません。
平等取り扱いの原則とは何か?
これは地方公務員法第13条 国民はこの法律の適用について平等に取り扱われ、人種、信条・・などによって差別されてはならない、という規定を根拠としています。
これは職員を雇用する際の選考や採用などなどにおいて、差別をしてはいけないこと、基本的人権の尊重が根っこにあるものです。
会計年度職員の任用雇用に期限をつける根拠にはならないはずなのです。
この点も問いましたが、成績主義に関する質問と同じような答えしか返ってきませんでした。こちらがうなづけるような反論はできないんだと思います。
会計年度任用職員こそ差別されている
平等の点でいえば、会計年度職員こそ、常勤職ならつく各種の手当てがなく、生理・病気休暇は取れても手当はないなど、常勤職と比較して扱いに明らかに格差があります。
来年度、2023年4月以降の職員については給料・時給が少しは上がっていますが、昨今の物価高騰を考えると目減りしています。
職員の一時金(ボーナス)を増減する場合、上げる場合は勤勉手当、下げる場合は期末手当で行われますが、会計年度職員には勤勉手当がないため上がることがありません。この点については国のほうで改善する方向のようです。
いずれにしろ、自治体が人を使い捨てるような制度を続けるべきではありません。短期間でなく、恒常的に必要な職であれば、正規雇用するべきです。そうすることによってよりスキルを上げることができ、区民にとっても利益になると思います。
賃金が安い国からの脱却を—―人にやさしい経済社会へ
いま日本は賃金が安い国になってしまっています。非正規雇用の増大も一要因です。
しかも多くは女性ですから、男女の賃金格差を広げるもとにもなっています。
雇用は正規雇用が当たり前で、非正規はあくまで短期間など例外的なものにすること、正規との賃金格差をなくすことが社会全体の貧困・格差をなくすことにつながっていくとともに、人にやさしく強い経済に欠かせません。これからも訴えていきたいと思います。