坂尻まさゆき

教職員の負担軽減は人を増やして

2023.03.15

教員の長時間労働が問題化し、学校における働き方改革が実施されています。

昨年の国の調査では、残業が月45時間未満の教員が10%ほど増加したとされています。しかし練馬区の一昨年から昨年8月までの1年間の調査では、残業が月45時間を超えた教員が50~60%もいました。うち80時間を超える方もいました。

国の有識者会議では、教員が担う仕事の明確化、処遇改善をはかるための検討を進めていると言います。

また、東京都では大学生の早い時期に教員採用試験を受けられるようにしたり、社会人の枠を広げたり、定年退職後の教員を活用するなどを行っているといいます。

国は改善しているといいますが、仕事を持ち帰るなど、出退勤管理では把握されていない勤務があるのが実態のようです。

名古屋大学の教授らが調査したところでは、休憩時間もまともにとれていないことも明らかにされました。

区の学校の管理運営に関する規則では、業務量の大幅な増加があった場合などに教育委員会が認める場合には、ひと月100時間未満、1年間で720時間まで時間外労働を可とすることになっています。

この規定じたいも過労死ラインを超える勤務を容認するもので問題ですが、実際にはこうした規定に関わりなく、長時間労働があるのが今の教員の勤務実態です。

仕事を増やしても人を増やさなかった教育政策

その背景には、この間授業時間数の増加など教員の仕事は増やされてきたのに、教員の人数は増やしてこなかったことがあります。

事務負担の軽減も重要ですが、どこまで効果をあげられるか。そもそも教育現場の実態を行政や教育委員会が理解していない、という問題もあります。

最近は産休をとる教員が多くなっており、その他病休をとる方も1年のなかで必ずいます。その空いた穴をうめる代替教員の確保ができず、校長や副校長が授業を行うこともあるようです。

年度の当初から、そうしたことも見越した教員数を確保してはどうかと思います。

そのことでは、東京都が産・育休を取得する最大4か月前から、代替教員を任用(採用)できる改善をしたということです。年度当初からだと、児童生徒数に応じて定められた数以上の教員を確保することになるため、区として取り組む考えはないとのことでした。

しかしいずれにしろ年度途中で探し始めても、もう他の職についているでしょうから、なかなか見つからないのではと思います。

現場の願いは「教員を増やして!」

教員は、その仕事に魅力を感じている方が8割にのぼり多い一方で、やめたいと思ったことがあるという人は5割と少なくありません。

現場教員の一番の願いは教員を増やしてほしいということです。区独自ででもできないのか問いました。

「公立学校の教員は都道府県負担の職員で、東京都が募集や選考、任用を一元的に扱っている。採用後も研修や地域間の異動など、教員の質や量を担保できるようにしていることから、区独自に教員を採用する考えはない」とのことでした。

教育、子育て予算こそ倍増を

教育現場も人の力で成り立っているもので、人が足りなければひとり一人の子どもをきめ細かく見ることができず、なにより子どもたちにとって不利益となります。教員のモチベーションの低下にもなり、ドミノ倒しのように倒れることになりかねません。

国は、こうした実態を知っているはずですが、教員定数を増やそうとしておらず、むしろ減少させています。なるべくお金をかけまいとする財務省の意向が強く影響しています。

教育にお金をかけないで、いったいどんな国づくりをしようというのでしょうか。これからの子どもたちのために、軍事費ではなく教育、子育て予算こそ、倍増させるべきです。

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