練馬区は男女共同参画計画に基づき、いろいろなハラスメントや性暴力防止と意識啓発、被害者支援に取り組んでいます。
しかしコロナ禍でDVや性暴力が増加しました。DV相談は全国で2021年に17万7000件と2年間で1.5倍にもなり、性犯罪・性暴力も1.4倍に増加しています。
区の配偶者暴力相談センターでは、2021年度に2,532件、22年度は1月末時点で1,929件の相談を受けてきました。DV証明書は21年に405枚、22年は330枚を発行しているということです。
性暴力や、女性差別で不利益を受ける事態はあとを絶たず、泣き寝入りした人も少なくありません。
20年以上たつのに批准しない日本政府
こうした権利侵害に対し、裁判でも救われなかった人が救済を申し立てられるのが、女性差別撤廃条約の選択議定書です。
日本は条約は批准していますが、選択議定書は検討検討と言い続けて20年以上たち、いまだ批准していません。
女性差別撤廃委員会に女性の権利侵害を認める決定を受けるかもしれないと懸念していることや、さらにその根底に根深い家父長的な思想に基づく日本の遅れた社会構造があると考えられます。
議定書批准のハードルはない
一般質問で区の見解を聞いたところ、「司法制度や立法政策との関連や実施体制に課題があると認識している」との答弁でした。
しかし議定書に基づいた申し立てを受けて、女性差別撤廃委員会が勧告や見解を出す相手は裁判所ではなく政府に対してであり、司法の独立を侵すことはありません。
実施体制についても、条約に具体的にどうせよというものは条約になく、批准した国が各々考えればよいことで、ハードルにはならないと思います。だいたい、20年もたつのに実施体制もとれないということがあるでしょうか。
このことの見解を問いましたが、同様な答弁を繰り返したうえで、「早期締結について真剣な検討が行われているものと認識している」とのことでした。
ジェンダー平等後進国から脱却しよう
いつまでも検討ばかりしていないで、まず批准すると、決めることが重要ではないでしょうか。
選択議定書が批准されていないことで、裁判所の判決に条約の精神が生かされていないという問題も生じています。
日本のジェンダー・ギャップ指数は、「156か国中116位」、G7や東アジア・太平洋地域では最下位となるなど最低レベルで、日本が「ジェンダー平等の後進国」であることはもはや明らかです。これでは先進国といえません。
区男女共同参画計画に盛り込み国に働きかけを
練馬区は来年度、男女共同参画計画の改定にむけ、区民意識調査や計画推進懇談会を持ちます。そのなかで、ぜひ選択議定書の批准も位置付けて取り組み、計画に国への働きかけを盛り込むなどするよう、区に提起しました。
区は、「国において対応を行うべき課題」だとして、否定も肯定もしませんでした。
女性差別撤廃条約・選択議定書の批准は、区が取り組んできた男女共同参画社会(本当は共同ではなく平等とするのが正しい)を推進する力になると思います。ぜひ働きかけてほしいと思います。