▶社会保険料はトリプル負担増
今回は国保税、介護保険料、後期高齢者医療保険料の3つの社会保険料が軒並み引き上げられました。
物価高騰であらゆる商品が値上がり、景気悪化、GDPもドイツに抜かれて3位、4位のインドにも年内には抜かれるといった状況にも関わらず、国民に冷たい政治を与党は押し付けてくるなと怒り心頭です。
▶国保税は10万3,288円 / 引上げ案しか示さなかった国保運協
国保税額はひとり平均で年額10万3,288円(4,565円・4.62%)。
26市の令和5年度の国保税額と比べると、基礎分で3番目、均等割分で7番目に高い税額になることも明らかになりました。
(後期医療支援分や介護納付金分も合わせると15番前後に…)
市民の平均所得は26市で最下位にも関わらず、負担額は高すぎます。
また、同じ所得の協会けんぽ保険料の比べて1.7倍も高い額です。
(数年前は1.5倍の差がさらに拡大!!)
私は今の国保行政や税率改定で「国保の構造問題(低収入で高齢者が多く医療にかかりやすいにも関わらず、保険税が他の公的医療保険より高く、保険税を払ううと医療にかかれなく重症化しやすい…etc.)は解消されるのか」と質すと、市は「構造問題は依然として残っている…」と回答し、私と同じ問題意識であることを認めました。
にもかかわらず、本市の国保運協では改定案の全てが引上げ案でした。
私は「かつてリーマンショック級の経済情勢の場合は国の財政健全化計画(公費負担の連続削減計画≒国保税の連続引上げ計画)は立ち止まるとした議会答弁を紹介し、今回の運協ではそのような議論や税率据え置きなどは事務局として提起したのか」確認したところ、市は「行っていない」と回答。
市としても低所得者への負担を最小限にするような税率設定を行うなど苦心している様子は伺えますが、国の悪政に抗うような立場には断ち切れませんでした。
▶介護保険料は7万2,600円 / スタート時の約2倍の保険料に!
介護保険料は基準額は年額で7万2,600円(6,200円・9.4%アップ)。
これは介護保険制度スタート時(3万6千円)の2倍超の保険料です。
また、これまでは介護保険準備基金から3億円~4億円取り崩して保険料の引上げ幅を抑制してきましたが、今回は基金総額1億7千万円から7千万円しか取り崩せなかったことも大幅引上げの要因になっています。
この原因について確認すると市は「高齢者人口の増に伴うサービス増加によるもの」と回答。
介護保険制度は、2分の1を公費負担(その内国が50%、都と市が25%ずつ負担)、2分の1を保険料で賄うという制度設計のため、サービスが増えると保険料に跳ね返る構造になっています。
このような構造上の問題を抱えているために、23年で保険料が2倍になっています。この問題に対して国は公費負担割合を増やそうとせずに、要支援1・2の方を介護保険から外して総合事業に移行したり、報酬単価を引き下げ、介護保険の改悪を繰り返してきました。
その結果、介護分野を目指す若者も減り、人材難や廃業する事業所も過去最高を更新しています。
根本問題は国や都の公費負担割合の大幅に引上げ、介護職員などのケア労働者の賃金を平均的なサラリーマン並み(月額で6万円アップ)などの手を打たなければ、介護崩壊を招きかねない状況です。
▶後期医療保険料は11万156円に / 受診抑制で重症化する事例も増加
後期高齢者医療保険料は11万156円(5,314円・5.1%アップ)。
後期高齢者医療の保険料は広域連合議会で審議されるため、市議会には規約変更というう形で示されますが、他の社会保険料の引上げ同様に反対しました。
理由は物価高騰や年金削減で苦しむ市民生活をさらに苦しめる負担増であることと同時に保険料を納めると医者にかかるお金が残らないといった悲鳴があちこちで聞かれるためです。
今回の議会の補正予算(10号)を見ると、公民健康保険事業への繰出金や後期高齢者医療特別会計繰出金が実績に伴い、増額されています。
これは、受診抑制によって病気が悪化して結果として高額な医療費がかかってしまったという事例が増えている事を意味します。お金に余裕のある人は定期的に人間ドックなどの健診を受けたり、早めに治療を始められることから、高額な医療費の防ぐことができる可能性が高い一方、日々の生活でいっぱいいっぱいの方は健診や日頃のケアにお金をかけられない為、重症化してから救急搬送されるといった割合が高くなります。
現状でも既にそのような現象が起きている中、国保税や介護保険料、後期高齢者医療保険料といった社会保険料を引き上げるということは、弱い立場の人たちの命や健康を軽んじる政治と言わざるを得ません。また、これらの問題に対して質疑も討論も述べずに賛成する議員についても残念でなりません。
(続く)