内野なおき

武蔵村山【24年9月議会・一般質問】子どもの貧困対策について質問しました。

2024.09.16

第1項目:子どもの貧困対策(令和6年版・生活実態調査より)

5年ぶりの調査・調査方法の変更で回答率が半減!

1項目目は、令和6年3月にまとめられた『生活実態調査』を元に、子どもの貧困対策について質問しました。
武蔵村山市は小学校5年生と中学校2年生及びその保護者に対して5年ぶりとなる実態調査を、
新たに16歳~17歳の方及びその保護者に対して初めての実態調査を実施。
経年的な調査を行った自治体は都内でも数える程度しかないことからも大変貴重な調査です。

ところが、7~8割だった回答率が3割前後に半減しました。
特に、一般層に比べて周辺層や困窮層の回答数が激減しています。
項目によっては1人しか回答がいないという質問も複数見られ、
統計学的にみて優位性があるのか疑問が残ります。
また、真に困っている方々からの声がきちんと届いているのかも心配になる結果です。

学校配布・回収だったアンケートを郵送方式とWEB方式に変更したことが最大の原因だと考えます。
担当課は「都立大学の方法に合わせた」「学校提出だと、学校関係者に内容を知られるとの思いから正確に回答していただけないと判断した」と説明しましたが、私は8割近い回答がある回収方式の方が、市内の状況がつかみやすい点からも前回行われた「学校配布・回収方式」に戻すことを求めました。
回答者や学校関係者への負担にならない事へ配慮しつつも、この調査の重要性をきちんと説明し、協力への理解を求めることも重要です。

 小学5年生中学2年生小5保護者中2保護者
18年度(学校配布・回収)81.3%78.7%80.8%78.2%
23年度(郵送&WEB式)29.6%26.3%32.5%30.2%
▲51.7%▲52.4%▲48.3%▲48.0%
表1:生活実態調査の有効回答率

困窮層・周辺層ほど体調不良だが保護者は気付いていない…(子どもの健康)

次に、実態調査より、子どもの健康について確認しました。
前回調査よりは「改善している」と市は説明しますが、
前回調査でも今回調査でも、一般層と比べて困窮層と周辺層を合わせた『生活困難層』は体調不良を訴える子どもが多い傾向です。
ところが、保護者は子どもの不調に気付いていないという傾向が続いています。
その結果、子どもの医療機関に連れて行かなかった割合も、親の経済状況に比例する結果に…・

武蔵村山市は10月1日から、18歳までの医療費の完全無償化がスタートします。
市は市報やホームページなどで周知すると言っていますが、
保護者の情報収集で一番有効なのは学校からの配布物といった調査結果もあるため、これまで以上に積極的なPRが求められます。

 年度困窮層周辺層一般層  困窮層周辺層一般層
小5 本人23年度0.0%16.7%9.8%小5親0.0%4.2%1.8%
18年度15.6%9.3%7.0%0.0%3.7%1.2%
中2 本人23年度11.1%4.3%6.7%中2親0.0%3.6%3.3%
18年度23.4%14.3%11.4%2.1%3.6%0.8%
16~17歳23年度40.0%0.0%4.5% 14.3%0.0%4.0%
表2:子どもの健康について『健康でない(具合が悪そう)』との回答

朝食を食べない子ども・1日3回食べない子ども/親の経済力によって差が…

子どもの食と栄養についても確認しました。
小学5年生・中学2年生ともに朝食を『食べない』と回答した子どもが困窮層で最も高くなりました。
因みに16~17歳に対しては「1日に何回食事を取りますか」という質問になっているのですが、
ここでも3食きちんと食べている人の割合は困窮層が最も低い結果になりました。

武蔵村山市は他市に先がけて今年度より小中学校給食の無償化がスタートしていますが、
小中学生には夏休みなどの長期休暇への対応が、
16~17歳には、年間を通しての食糧支援の重要性が再確認されました。

  5週3・4日週1・2日④ いつも食べない食べない ③+④
小5困窮層65.6%12.5%15.6%3.1%18.7%
周辺層85.2%5.6%5.6%1.9%7.5%
一般層92.7%3.3%1.5%0.6%2.1%
中2困窮層66.0%12.8%14.9%4.3%19.2%
周辺層83.9%7.1%8.9%8.9%
一般層84.8%8.2%4.3%1.2%5.5%
表3:小学5年生・中学2年生の平日・朝食の摂取状況

今回は、子ども達の健康や栄養に絞って質問しました。
武蔵村山市は、前回の調査結果をもとに、
① 国民健康保険の多子減免、② 子どもの医療費無償化、③ 学校給食費の無償化など、
「貧困の連鎖」を断ち切る施策を他市に先がけて実施してきました。
これは、住民運動や世論の高まりも力になっている事は間違いありませんが、
「実態調査」によって市内の子どもの貧困が可視化されたことの意味も少なくないと考えます。

12月議会では引き続き、
子どもの居場所や学力、自己肯定感などについて確認し、
施策の充実を求めていきたいと考えています。

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