山内えり

高齢者住宅を廃止し、区営住宅へ集約・統合する方針は見直すべき!

2023.12.14

板橋区議会第4回定例会は本日が最終本会議でした。

今日は、議案、陳情に対する全議員による起立表決、各会派の姿勢や態度がわかる討論(意見表明)が行われました。

私は、議案第72号、73号「区営住宅条例の一部を改正する条例」、「区立高齢者住宅条例の一部を改正する条例」の2つの議案に対し、「反対」する立場で討論を行いました。

なお、この2つの議案は共産党区議団以外の「賛成」多数で「可決」となりました。

以下、討論全文を掲載します。

ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第72号 東京都板橋区営住宅条例の一部を改正する条例及び議案第73号 東京都板橋区立高齢者住宅条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。

 この2つの議案は、1.区営住宅及び高齢者住宅の入居要件にパートナーシップ宣誓制度利用者及び単身の障害者を加え、対象拡大を図ること、2.区営仲宿住宅新設に伴い、区営徳丸一丁目アパート、南常盤台二丁目アパート、区立常盤台けやき苑、中台けやき苑、桜川けやき苑を廃止し、集約・統合するものです。

議案に反対する第一の理由は、高齢者住宅を廃止し、区営住宅に集約・統合していくことは見守り体制の低下や共益費の値上げなど問題があると考えるからです。

 区は、これまで小茂根一丁目、志村坂下住宅を区営住宅建て替え事業により特定区営住宅としてきました。区営仲宿住宅は3カ所目となります。

 特定区営住宅となった小茂根一丁目住宅、志村坂下住宅では、高齢者住宅けやき苑に配置されている生活援助員(LSA)が指定管理者の管理人に変わり、3か月に1度の安否確認となっています。また、必置だった緊急通報システムは選択による有料での設置に変わり、設置していない世帯もあります。

こうしたなか、今年8月、小茂根一丁目住宅では、入居者が死後10日間誰にも発見されなかったという痛ましい事故が起きました。

本議案に賛成した委員からも「問題外だ。見守り体制が薄すぎる」「見守り等ソフト面の充実を」との意見が出され、見守り体制の後退が浮き彫りになっています。

加えて、単身高齢者の入居が多くを占め、自治会が結成できないため、清掃や共益費の徴収など指定管理者が管理の代行を行うことにより、共益費の値上げなども起きています。

そもそも、高齢者住宅は、住宅に困っているおとしよりのために、手すりやエレベーター、生活協力員等の設置などおとしよりが安心して生活できるように配慮された住宅であり、区営住宅の設置目的とも異なるものです。集約・統合していくという方針自体が問題であり、見直すべきです。

議案に反対する第二の理由は、公営住宅がまったく足りていないからです。

令和4年の区営住宅の応募倍率は4.3倍、特定区営住宅は単身者向けが11.6倍、家族向けは15.6倍、高齢者住宅の単身者向けは36.7倍です。多くの区民が申し込んでも入れない状況が長く続いており、区営住宅も高齢者住宅も全く足りていないのです。

なぜ、応募倍率がこんなに高いのか。それは長引く物価高騰に、上がらない年金で一層暮らしが厳しくなっているからです。共産党区議団が行ったアンケートでは、住宅政策で望むことの上位は、「高齢者住宅の増設」、「家賃助成」です。暮らしが厳しい方への支援が最も求められているのです。

そもそも区の住宅政策に低廉な住宅を確保すると言う方針が貧弱であり、今後も公営住宅を増やさないということが問題です。

住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けたいと願っても適切な住まいが見つからないとの相談は後をたたず、高齢になるほど民間賃貸住宅での住まいの確保は困難です。

だからこそ、集約・統合ではなく、むしろ低廉な家賃で住める区営住宅、高齢者住宅を新設すべきです。

 高齢者住宅廃止によって、区営住宅に移る際、住み慣れた地域に区営住宅が立て替えされなければ、地域を離れざるを得なくなります。通院や買い物などにも影響が及び、これまで培ってきたコミュニティまでもが壊されかねません。それぞれの設置目的に則り、安心して住み続けることができるよう自治体の責務を果たすことこそ必要です。

最後に、区営住宅及び高齢者住宅の入居要件にパートナーシップ宣誓制度利用者及び単身障害者を加え、対象拡大を図ることは反対するものではなく、むしろさらなる対象拡大を求めます。

以上の理由から本議案に反対し、私の討論を終わります。

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