山内えり

一般質問を行いました! 2020.11.27

2020.12.01

質問項目は以下の5項目です。

1.感染症対策と保健衛生機能の強化について

2.第8期介護保険事業計画について

3.いこいの家のあり方について

4.まちづくりについて

(1)大山駅周辺について

(2)JR板橋駅周辺について

5.区営住宅について

 

ただ今から日本共産党区議会議員団を代表し、一般質問を行います。

はじめに、感染症対策と保健衛生機能の強化についてです。

新型コロナウイルスの新規感染者は各地で連日過去最多で確認されるなど、拡大傾向が続いています。

新型コロナの発生は、人やモノの移動がいかに頻繁かつ世界的な広がりを持っているかを再認識させただけでなく、それが妨げられることによって生じる社会的・経済的な打撃の大きさも世界に知らしめました。

今、直面している危機が可視化した、暮らしや社会の課題が何かを直視し、それらにどう対処していくのかが問われています。

 

まず、PCR検査の拡充についてです。

8月時点での人口千人あたりの累積検査数は、アメリカ202.3件、ドイツ121.7件、韓国32.4件に対し、日本はわずか11.9件です。国際比較すると、立ち遅れています。

一方、8月下旬以降高齢者の感染者と死亡者が増える傾向となっています。

感染拡大を抑止するには「クラスター対策」「点と線」での対策にとどまらず、感染急増地のリスクのあるところに対して無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」が必要です。

政府は11月、コロナ対策本部会議に提出した資料で、「新宿区歌舞伎町においては、大規模かつ地域集中的なPCR検査を実施した」ことをあげ、「PCR検査の拡充により、陽性者数の減少が図れる」とその効果を認めながら、未だに国の責任による大幅な検査実施には至っていません。国に実施を求めるのは当然ですが、その間、区として感染の爆発的拡大を抑止することが重要です。

➀区としてPCR検査の抜本的な拡充を求めます。区の見解を伺います。

  

次に、保健所の体制についてです。 

今回のコロナ危機に際し、保健所では、朝から夕方まで、PCR検査の相談、入院などのあっせん、検体の搬送などに忙殺され、夕方から深夜にかけては感染者の追跡調査を行う等、過酷な職場の実態が指摘されています。

2002年にSARS,2009年に新型インフルエンザが発生するなど、世界では、「新興感染症」と呼ばれる新たな感染症の流行が5年に1度起きています。

急速な人の移動、流通が広がるもとで、日本に新たな感染症がいつ入ってきてもおかしくありません。人類の続く限りいつでも起きるものであり、常に備えておくことが必要です。

調べてみると、保健所の人員体制は、コロナ前から厳しい状況だったことがわかりました。

2015年から2019年の保健所の「課毎の残業時間の推移」を見ると、予防対策課の超過勤務は、2015年の1334時間から2019年には2347時間と、5年間で職員定数が2名増えているのに、1000時間増えています。加えて、2019年度超過勤務が過労死ラインである月80時間を超えた方が2名いました。健康推進課では、5年間で職員定数は変わっていませんが、1500時間の超過勤務が増えています。

②職員の超過勤務が増えている現状に対する区の認識をおこたえください。

 

保健所で扱う難病の対象は2000年から20年間で45から333疾病へ増加し、母子保健の業務拡大、さらに2020年度から本格的に自殺対策も位置づけられている等業務の増大があると考えます。そこでうかがいます。

保健所でどんな業務が増えているのかおこたえください。

 

保健所は、その役割や業務は時代とともに変化しています。本来なら、業務増に対応できる職員配置増が必要です。

④コロナ前から業務が増加し、超過勤務が増大していたことに対し、区としてどのように対応したのですか。また、今後の区の対応について伺います。

住民のいのちと健康を保障するために、保健衛生機能の強化に力を注ぐべきです。

 

次に、検査技師の配置についてうかがいます。

現在、生活衛生課に2名いる検査技師について、区は、退職後は人員を補充せず、委託していくとしています。

衛生検査技師は、微生物学的検査、血清学的検査、生化学的検査などを行う専門性の高い技術職です。区が専門性のある職員を配置せずに、どうやって委託できるのですか。

検査技師の専門性は、他の職種で代替することはできません。

⑤改めて、区として検査技師という専門職の配置が必要と考えます。区の見解を求めます。

 

 次に、第8期介護保険事業計画についてです。

介護保険制度の創設から20年がたちました。経済的事情のために必要なサービスを利用できないケースはあとを断たず、家族の介護を理由とする離職者は毎年10万人前後で推移しています。介護現場では、深刻な経営難と慢性的な人手不足が続いており、事業の継続に支障を来しかねない事態も生じています。

今こそ、必要な介護をどう保障していくかを議論すべきです。ところが、厚生労働省は、介護の充実どころかさらに「保険あって介護なし」の実態を拡げる「給付抑制」と「自己負担の増」を進めようとしています。

その一つが、自治体が実施する『総合事業サービス』の対象を要介護5まで拡大するというものです。

総合事業は、自治体の裁量で実施されており、提供されるサービスの種類や量もそれぞれ差があります。また、サービス単価が介護保険給付より低く設定され、担い手もボランティアなど無資格者でも可能となっています。

⑥区は、総合事業サービスの対象を要介護5まで拡大することを、第8期事業計画で盛り込んでいるのですか。見解を求めます。

 

国はこの間、介護保険給付抑制のため、ボランティアなどを介護サービスの担い手として位置づけてきましたが、実際にはボランティアの担い手は集まっていません。

介護保険部会では「介護は専門的な職業であり、ボランティアで代替できる職業ではない」という声も出ています。ボランティアを介護サービスの担い手とすることは問題です。

区は、要介護4・5の重度者を含め、無資格のボランティアでケアが可能と考えているのですか。見解を伺います。

 

介護保険の標準保険料額は、制度開始時3084円でしたが、第7期の標準保険料は5940円となり、改定ごとに上がり続けています。合わせて、利用料負担は、2015年から所得に応じて2割負担、2018年からは3割負担となっています。加えて、施設やショートステイの利用にあたっては、2006年から家賃と食事代が光熱水費や人件費も含めた自己負担とされ、利用料の負担も増大しています。この間、年金は下がり続け、現役世代の給与収入も増えておらず、国民生活は非常に厳しい状況が続いています。こうした状況を踏まえれば、介護保険料をさらに引き上げるべきではありません。

過去最高額となっている介護給付費準備基金を最大限に活用し、保険料を引き上げないよう求めます。区長の見解を伺います。

 

 現在、第8期介護保険事業計画策定に向けて、計画委員会による検討が行われています。

委員には、各分野の関係者が任命されていますが、障害者当事者や関係者は含まれていません。障害者は65歳になるとそれまでの障害者サービスから介護保険制度の利用に移行となることで、これまでの支援が受けられない等の問題が生じています。

私たちは、こうした点からも当事者や関係者の意見を計画に反映させることが必要であり、委員として任命すべきと求めてきました。

  • 改めて、障害当事者や関係者を計画委員会の委員とするよう求めます。区の見解を求めます。

 

 次に、いこいの家のあり方についてです。

いこいの家は、現役時代を卒業後、地域での暮らしの生きがいにつながる大切な場として、多くの高齢者の居場所として親しまれてきました。

しかし、区は、2017年度に入浴事業を廃止し、2018年度に多世代の交流施設へと目的、利用対象を変更しました。

その結果、入浴事業が週4回から2回へ減らされた2016年度を境に利用者が激減しています。

入浴事業が週6日実施されていた2010年度は年16万4千人の利用でしたが、完全に廃止となった2017年度には4万1千人と4分の1にまで減っています。

16か所あったいこいの家を13か所に減らし、入浴事業を廃止してきたことは、高齢者の居場所を奪い、利用者が激減した要因となったことは明らかです。

  • 多世代へと対象を拡大したのに、利用者が増えていないのは高齢者の居場所としての位置づけを後退させたからではないですか。高齢者の居場所として明確化して存続すべきと考えます。区長の見解を求めます。

 

区は、今年度、いこいの家の利活用を検討するとし、9月に区内13カ所で説明会を実施しました。区の説明では、5か所で「貸館施設への変更」、4か所で「他の施設へ機能変更」、4か所で「廃止も検討」とどれを見ても「いこいの家」としての機能も役割もなくすものです。

私は、中丸いこいの家の説明会に参加しましたが、参加者は7名。利用者、団体の参加はなく、そもそも説明会の開催をどの範囲までお知らせしたのか疑問です。民生委員や介護予防のサロンを実施している方から「なぜ高齢者の居場所をなくすのか」「ちょっとした打ち合わせで使っていたフリースペースをなくさないでほしい」「全部有料の貸し施設になったら困る」等の切実な意見が出されました。その他の会場でも「フリースペースをなくさないでほしい」という意見が共通して出ていたと聞いています。

また、多世代交流、地域住民相互交流支援を行うとしながら、そのために必要な人員は配置されておらず、「単なる貸しスペース」になっています。

これでは、今のいこいの家の目的も果たしているとは言えません。

  • 高齢者と多世代の交流のためには、現在、無料で使用できる多目的スペースを残すよう求めます。区の見解を求めます。

区が事業を縮小したにもかかわらず、利用者が減っているからなくしていくというやり方はあまりに無責任です。高齢化社会のなかで、地域の高齢者の生きがいづくり、社会参加、介護予防の必要性が増しています。居場所をなくすのではなく、増やすことこそ求め、次の質問に移ります。

 

次に、まちづくりについて伺います。

初めに、大山駅周辺についてです。

住民合意が図れないまま、2019年12月20日、東京都、板橋区は大山駅付近の東上線高架化、関連する側道、駅前広場計画を都市計画決定しました。

10月から用地測量に伴う事前調査が始まり、駅前広場計画、側道5・6号に関わる地権者約300人のうち7割程度まで進んでいると聞く一方、事前調査も測量にも応じたくないとする方も少なくありません。

大山駅付近の高架化と駅前広場計画は、反対意見や再検討を求める声、そもそも事業の説明がされていない等、区や東京都へ不満の声が多く寄せられ、現段階でも合意が得られているとは言えません。

区は、駅前広場等3つの事業を2021年度中に事業認可するとしています。しかし、事業認可申請は合意を前提としていません。

⑫100%住民合意が得られなくても区は認可申請できるということなのですか。区の見解をうかがいます。

納得できない人を残したまま、事業認可申請をすべきではありません。

駅前広場や側道は「道路」としての計画です。現在、住んでいる方、この地で長い間営業をしてきた方、区外からも多くの患者さんが通うクリニックなど、自分たちの住まいや土地がどうなるのかという不安でいっぱいです。区として「強制収用はしない」と明言し、住民合意のない事業は中止すべきであると強く意見しておきます。

 

二つ目は、JR板橋駅周辺についてです。

板橋駅板橋口地区市街地再開発事業は、地上35階、地下3階建てのタワーマンションを中心に商業施設、公益施設、駐車場などが入る計画です。

2018年10月に都市計画決定がされ、JR東日本と野村不動産の2者の共同で行う個人施行の市街地再開発事業として今年度中の着工とされていました。この間、住民からは「マンションは住民サービスの向上にならない」「事業費全体が見えない」など困惑や不安の声が寄せられています。私たちは、「区有地活用は、区民のために使うべきであり、住民の福祉向上を最優先にすべき」とこの計画の見直しを求めてきました。

区は、9月の企画総務委員会で、「設計の見直しが必要となり、着工が2~3年遅れると施行者から一報があった」と報告しています。

  • 事業の遅延によってどのような影響が出るのか。また、これまで住民が要望してきた保育所、子育て支援施設、集会所等の公共施設整備ではなく、公益性のある施設が確定なのか。計画全体についてお示しください。

 

次に、板橋駅西口地区市街地再開発事業についてです。

この事業は、地上38階建て、住宅386戸、公益施設を含む商業施設などが入るA街区と、地上6階建て、商業施設と事務所が入るB街区という2街区の計画です。2019年2月に都市計画決定がされ、今年度組合設立認可予定と聞いています。

この間、「板橋駅西口地区のまちづくりについて」の説明会で、日影、風害、急激な人口増による保育所や学校の不足、「板橋駅はラッシュ時にすでに人でいっぱい。ホームをもっと長くできないのか」「41階建てはあまりに高層すぎる。せめて20階にしてほしい」など、住民から多くの意見や心配の声が寄せられていました。

また、区も地権者で同意が得られない方の理由として「歩行者導線など変化による不安」「家屋への愛着」「商売が続けられるのか、説明が不足し、決められない」との意見を把握しています。

区は、「組合施工の事業であり、指導・監督、支援する立場」としていますが、地域住民の不安の声を把握していながらなんら対応していません。

昨年の台風19号により、停電による断水やエレベーターの停止が発生し、タワーマンションの脆弱性が顕在化しています。加えて、15年に1度は必要と言われる大規模修繕は、区分所有者が多いために賛同が得られず、修繕が進まないなどの課題も多く聞かれます。大規模になればなるほど問題が山積しています。

コロナ禍のもと、専門家は、まちづくりのあり方そのものを変えるよう指摘しています。

⑭一度、凍結して見直すべきです。加えて住民合意のない再開発計画は中止すべきです。区長の見解を伺います。

 

最後に、区営住宅についてです。

区は、2016年策定の板橋区営住宅再編整備基本方針に基づき、けやき苑と区営住宅を集約・統合し、新たな特定区営住宅とする事業を進めています。

高齢者住宅けやき苑は、住宅の確保に配慮が必要な高齢者に手すりやエレベーターなどの設置をし、安心して生活できるように配慮されてきた住宅です。

私たちは、区営住宅との統合によって、高齢者支援の視点が大きく後退することになると指摘してきました。その1件目となるのが、借上げ期間満了を迎えた中丸けやき苑と区営小茂根一丁目住宅の集約・統合です。

先日、けやき苑の入居者から相談があり、この事業によって住み慣れた地域を離れなければならないことや新たな区営住宅での環境変化など、たくさんの不安や心配の声が寄せられました。そこで伺います。

一つ目は、新たな区営住宅では「生活援助員」が配置されなくなる問題です。

生活援助員は、「高齢者福祉に理解と熱意があり、心身ともに健康である」等5点の要件を備えた方であり、➀緊急時の対応、②入居者への日常対応、③住宅管理等を行っていました。しかし、区営住宅との統合後は、入居者が高齢者世帯に限らないとして「生活相談員」は設置されないことになっています。

区は、「生活援助員」に代わる仕組みとして指定管理者による「見守り業務」を受けられるとしていますが、2~3か月に1度の訪問による安否確認等に限られ、65歳以上の単身、世帯全員が65歳以上で障害があること等対象が限られています。

⑮戻り入居、けやき苑からの転居の実態を考えれば、入居者の6割以上が高齢者となることは明らかであり、区として「生活援助員」を設置すべきです。見解を求めます。

 

二つ目は、中丸けやき苑に設置されていた緊急通報システムが設置されなくなる問題です。

このシステムは、緊急時に、通報装置やペンダントのボタンを押したときや生活リズムセンサーが異常を感知したときに、民間緊急通報システム事業者のコールセンターに通報されます。24時間体制でコールセンターに待機しているスタッフが119番通報や緊急連絡先に指定されている方へ連絡する、緊急時以外でも、相談ボタンを押して健康・医療などについて相談できるものです。

区は、移転先には設置せず、必要な方は自費で取り付けるよう案内しています。しかし、その費用は、住民税課税世帯で月1400円、非課税世帯でも月400円です。

けやき苑で暮らしてきた方は入居時よりさらに高齢となっています。安心を奪うやり方はやめるべきです。

⑯緊急通報システムについて、移転先でも設置すべきです。少なくとも自己負担の軽減を求めます。区の見解を求めます。

 

三つ目は、共益費が上がるという問題です。

共用部の電気・水道・エレベーター・定期清掃等入居者が負担する共益費について、

中丸けやき苑は、ひと月3000円でしたが、移転後は6000円程度に値上げになるとしています。区は、共益費を下げる方法として入居者に自治会を作ることを提案していますが、居住者の自治権に踏み込むことは問題です。

けやき苑の共益費は、これまで区が公的負担を行い、3000円になるようにしてきました。条例改正の時は、「家賃が上がることはあるかもしれないが基本的なところは特に変更はない」と答弁してきたではありませんか。

これまで同様に区が負担し、中丸けやき苑と同じ条件にすべきです。区の見解を求めます。

 

区は、高齢者住宅が果たしてきた機能・役割は終わったと考えているのでしょうか。年金が下がり続ける中で、厳しい生活をせざるを得ない高齢者が今後ますます増えていくことは明らかです。高齢者住宅、区営住宅の設置目的が異なるにもかかわらず、集約・統合するという区の方針は、安心して住み続けたいと願う区民の願いに背くものです。

⑱集約・統合の板橋区営住宅再編整備基本方針を見直すべきです。区の見解を求めます。

 

最後に、区営住宅の入居承継についてうかがいます。

区営住宅は、2016年までは、3親等まで使用を承継することができましたが、2017年から区の要綱によって名義人の配偶者と65歳以上と障害者などに限定されました。

今年10月、母親を亡くした区営住宅に住む姉妹の元に、10月中の退去を求める通知が届き、相談がありました。親が亡くなったことを悲しむ間もなく、退去を迫るやり方はあまりに乱暴です。子どもの頃から40年近く暮らしてきた住宅において、近隣住民とは助け合う関係を築いています。将来への不安も抱えており、今の住まいで住み続けることを希望しています。そこでうかがいます。

⑲親の死去の当月に退去を迫ることは、入居者の生活実態を見ずに、一律に追い出すやり方であり、人権問題と考えます。あわせて入居承継の範囲を拡大すべきです。区の見解を求めます。

 

姉妹は、持病を抱えながら親の看病や介護をしていました。パート、アルバイトで生計を立てていること、このコロナ禍で仕事が激減していることで収入も少なく、生活は厳しい状態で、相談しながら生活保護を申請しました。

住まいを失うということは、生活の基盤を失うということです。退去の通知を送るだけでは、あまりに冷たく、自己責任を迫る姿勢です。

それは、指定管理者制度が区営住宅の住民と区の間を遠ざける結果となっているのです。区が指定管理者を管理するだけで、区営住宅の相談も指定管理者任せのやり方は、住宅政策を扱う部署の対応とは言えません。

親が亡くなったことをきっかけに生活に困ることはないのか、丁寧に聞き取り、必要があれば、福祉事務所など他の部署へつなぐなどの対応が必要です。

⑳困難事例や退去に関わる場合などは、区が関与し、相談につなげるべきです。区の見解を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。

 

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