本日は、本会議でした。
この間、議論してきた区長提案の議案や区民などからいただいた陳情に対する討論と、補正予算に対する討論などが行われました。
私は、健康福祉委員会で審議し、委員会では「不採択」となった、陳情第196号「後期高齢者医療費負担軽減を求める意見書提出の陳情」の委員会採決「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場から討論を行いました。
なお、今日の本会議での議決結果は、自民・公明・民主クラブなどの反対多数で「不採択」となりました。
以下、賛成討論全文を掲載します。
ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第196号「後期高齢者医療費負担軽減を求める意見書提出の陳情」に賛成の立場から討論を行います。
本陳情は、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担が現行の1割から2割へ引き上がることに対し、中止を求める意見書を国や関係機関に提出するよう求めるものです。
政府は、今年10月1日より75歳以上の医療費窓口負担を現行の1割から2割にするとし、その対象は単身者で年収200万円以上、2人以上世帯の場合は320万円以上としています。その狙いは2割負担による受診抑制で医療給付費を公費負担分1140億円減ると試算しています。
区は、今回の窓口負担の見直しにより、板橋区では1万3千人以上、21%の方が2割負担へ移行する見込みとしています。
賛成する第一の理由は、高齢者の医療費負担がさらに重くのしかかるからです。
この10年間で、公的年金額は実質6.7%も削減され続け、新年度はさらに0.4%減額される見込みです。
後期高齢者医療制度は、低年金、無年金の高齢者からも保険料を徴収しており、多くの方から保険料の負担が重いという声があがっています。
加えて、消費税の増税に物価高、介護保険料値上げなど支出は増えるばかりなのに頼りの年金が減らされ続け、「ひどい仕打ちだ。どうやって生きろと言うのか」と怒りの声が寄せられています。
不採択を主張した委員は、「現役世代の負担を抑えるためやむを得ない。全世代型の社会保障制度構築のための法改正だ」と言いますが、この法改正による現役世代の負担軽減は月額わずか30円であり、現役世代の負担軽減とは言えません。
そもそも、国の責任で国民の医療を支える税制度を構築すべきであり、この間減らしてきた高齢者医療の国庫負担割合を元に戻すことこそ急務です。現役世代と高齢世代で対立をあおること自体間違いです。
国は急激な負担増に対し、長期で外来受診を継続している方へ配慮措置を講ずるとしています。その内容は、施行後3年間は、2割負担となる外来受診の負担増加額を最大3千円以内に収まるようにするものです。健康福祉委員会で区は、「例えば、毎月の外来受診の医療費が5千円の方は2割負担になるため本来1万円となるが、負担増加額が3千円までとなるので本人負担額は8千円。差額の2千円が後日還付される」と説明しました。
しかし、毎月の外来受診の医療費が3千円の方は配慮措置を講じても負担増加額が3千円となり、倍の6千円になります。つまり、毎月の医療費が3千円以下の方は配慮措置を講じても窓口の医療費が2倍になることが委員会で明らかになりました。また、期限付きの措置では、必要な医療を受けることができなくなり、十分な措置とは到底言えません。
賛成する第二の理由は、窓口負担の2倍化は、さらなる受診抑制につながるからです。
コロナの影響で2020年度の医療費は前年度と比較してかなり落ち込み、感染を恐れて高齢者の外出抑制と広範な受診控えが発生しました。
年を重ねれば体のあちこちに症状が出るのは当然であり、通院や薬を減らすことは病状悪化に直結します。むしろ、悪化してからの受診では手遅れになりかねないうえ、かえって医療費の増大を招きかねません。コロナ禍のもと、本来政治がやることは思い切った負担軽減であり、公的責任で安心して医療を受けられる体制の拡充こそ必要です。
以上の理由から本陳情に賛成の上、区議会から国や関係機関に対し、2割負担増の中止を強く求めることを要望し、私の討論を終わります。