少 数 意 見 報 告 書
2022年2月16日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第191号 ひきこもり支援センターの設置に関する陳情
2 意見の要旨
本陳情は、板橋区にひきこもり相談支援センター(仮称)の設置を求めるものである。
ひきこもりは、様々な要因によって社会的参加の機会を逸し、長期にわたって家庭に留まるなど、本人はもとより家族にも深刻な問題をもたらしており、当事者や家族だけでは解決が困難である。
2015年、2018年の内閣府の調査による出現率で換算すると、区内のひきこもり推定数は5,677人と見込まれている。
区は、5か所の健康福祉センターで区民健康なんでも相談を実施するなかで、電話相談や訪問を行っている。また、相談内容によっては、児童精神科医師によるひきこもり相談やひきこもり家族教室につなげるなどしている。
しかし、ひきこもりに特化した相談窓口がないために、相談へとつなげる体制はいまだ整っていない。窓口はいろいろあってもどこに相談したらよいか、明確化されておらず、深刻である。
ひきこもりという状態自体が、複合的な要素で複雑に絡み合っている状況であり、まずは現状を受け止める場が必要と考える。
区は、今年4月、生活支援課にひきこもり対策担当係長を設置し、実態調査、ニーズの把握、不安を抱える当事者や家族に対して、総合的な支援を行うなど相談窓口の明確化について言及している。
そうであるならば、議会としてさらなる後押しをしていく必要があると考える。
以上の理由から本陳情に賛成するものである。
2022年2月16日
健康福祉委員 かなざき 文子
健康福祉委員 山 内 え り
議 長 坂本 あずまお 様
少 数 意 見 報 告 書
2022年2月16日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第196号 後期高齢者医療費負担軽減を求める意見書提出の陳情
2 意見の要旨
本陳情は、新型コロナウイルス感染第6波が拡大する中、収束が見えないコロナ禍の下で、窓口での負担2割という負担増が、受診をためらっている高齢者にさらなる追い打ちをかけることになる。高齢者の命と健康を守るため、区議会として75歳以上の高齢者の窓口負担2割の中止の意見書提出を求めている。
委員会では現役世代の負担が大きくなるためやむを得ないという意見が主だったが、それではこの法改正で現役世代がどれだけ負担軽減になるのかというと、月額わずか30円であり、現役世代の負担増を抑えるためだと言いながら実は、75歳以上の高齢者に対して720億円もの負担増を押し付け、公費負担を抑制することがねらいである。また3年間の経過措置を講じるというが、それでも外来では年間2万6千円もの負担増になることが指摘されている。
特に後期高齢者の収入源である年金の受取額は毎年のように減らされ、新年度も0.4%の減額となる。一方、介護保険料や後期高齢者医療保険料は引き上がるばかりである。この間は消費税も10%へ引き上げられ、すでに医療にかける費用を抑えざるを得ないのが高齢者の生活実態である。
財源についても意見が出されていたが、世代間の対立をあおるのではなく、税金、あるいは保険料などが優遇されている高額所得者、大企業に対する負担の在り方こそ正すべきである。
国会へ反対を求める署名も多く出されていた。こうした声にこそ応えるべきである。負担増による医療費抑制は必ず受診抑制を招く。そのことによる病状悪化でさらに医療費を膨らませる事態こそ避けるのが、本来政治のなすべきことである。
よって、本陳情を採択の上、区議会から政府、関係機関に対し、2割負担増の中止を強く求めるべきである。
2022年2月16日
健康福祉委員 かなざき 文子
健康福祉委員 山 内 え り
議 長 坂本 あずまお 様
少 数 意 見 報 告 書
2022年3月18日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第39号 東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は2022年度の国民健康保険料率等を決めるために出されたものです。
新年度の国保条例の区長提案は引き続くコロナ禍のもと、大幅な保険料の引き上げは避けたいという認識のもと、区長会等で協議が行われ、今年度のような一般会計からの法定外繰入額を据え置くことはしない、しかしコロナ関係の医療費分が保険料に反映されないよう一般会計からの財源投入を行う、という対応を取った。
しかし、コロナ分については配慮をしたものの、それ以外の医療費の引き上げについては保険料に反映されることとなった。
まず委員会で、新年度から、ようやく世論と運動に押されて、国制度として未就学児の均等割保険料が2分の1へと減額されることとなったことが、そのことで保険料を引き上げるかのような発言があったが、この減額部分はすべて公費で賄われるのであって、被保険者の保険料への負担転嫁はそもそもない。今回の基礎賦課額の大幅な負担増をもたらしたのは、いうまでもなく医療費の増大である。被保険者数は、この間社会保険へ移り、さらに後期高齢者の方へ移るなど、減り続けてきたにもかかわらず医療費が大きく伸びている。国民健康保険加入者はいうまでもなく、自営業、高齢者、障害者、無職の方など、社会的弱者といわれる方が多くを占めている。それだけに医療を必要とする人が多く、かかる医療費は増大することは明白である。にもかかわらずその2分の1を被保険者の保険料で負担すること自体、もう限界を超えているのが実態である。
今回、その医療費増大の要因となったのが「コロナ関係の医療費」だった。東京23区内でその影響額は151億円。その7割相当分を保険料の基礎算定から外す対応がとられた。23区で106億円、板橋区では8500万円を一般会計から投入してコロナ分の影響を保険料算定基礎から外すという対策である。
まずここで大きな問題点として押さえるべきなのは、コロナ関係の医療費を保険料の基礎算定に入れてはならないということである。本来ならば国と東京都が負担すべきである。
また、今回の対応は特例ということだが、今後の保険料への影響が及ばないという保障もない。
次に、保険料率の問題である。
国保加入者のうち、均等割額が減額となる未就学児は2,875人と2.4%だが、その未就学児がいるすべてで保険料が引き下がるのではない。医療費増大の影響を受けた基礎賦課額がその減額分をも上回り、保険料が引き上がる世帯もある。つまり、ほとんどの世帯が保険料の引き上げとなる。一人当たりの保険料は調定額で14万3051円。また最高限度額は基礎賦課額と後期高齢者支援金、合わせて3万円の引き上げで85万円となる。
委員会の質疑で明らかになったが、たとえば年収400万円、世帯主50歳で妻と13歳の子ども1人で3人家族の場合、介護分も入れて保険料は47万5671円である。収入の1割を大きく超える負担だが、同じ世帯構成で他の医療保険の保険料額はというと、協会けんぽは23万374円、公務員などの共済組合では18万6791円である。国保料が協会けんぽで倍以上に、共済とでは2.5倍以上にもなる負担の重さだ。
国保はその法第1条にあるように「社会保障」として、すべての国民の医療を受ける権利を守る制度である。セーフティーネットの役割が強く求められている。板橋区の加入者の実態も加入者の62.9%が均等割のみの世帯と、低所得者が多くを占めている。こうした区民に対し、保険料の負担増により医療を受けられない事態を広げてはならない。
委員会において、「統一保険料から外れると板橋区での保険料が引き上がる」「他区に助けられているので」という意見が出されていたが、抜本的に国の支出、東京都の支出を増やし、高すぎる保険料を引き下げる改善が行われるまで、区が採りうる限りの措置を講じ、区民の命を守る砦として、自治体として、保険料を引き上げない努力をすべきである。
よって本議案を認めることはできない。
2022年3月18日
健康福祉委員 かなざき 文子
健康福祉委員 山 内 え り
議 長 坂本 あずまお 様
少 数 意 見 報 告 書
2022年3月18日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第40号 東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、国民健康保険に加入する世帯のうち、18歳に達する日以後の最初の3月31日以前の子どもの均等割額を半額とするものである。
国民健康保険料は家族の数に応じて負担が増える均等割があるため、委員会質疑でも明らかになったように協会けんぽの2.1倍、共済の2.5倍になるなど子育て世帯では大きな負担となっている。また、住民税方式であった平成22年と比較して20万円も保険料が上がるなど高すぎる保険料の課題が明らかになった。
長年要求され、ようやく政府は、今年4月1日より就学前までの子どもを対象に均等割額を半額とはいえ、減額したことは重要である。しかし、本来は、収入のない子どもたちすべてを対象とすべきである。
また、中学・高校となると、制服代や授業料など教育費にもお金がかかる。本来、払える国民健康保険料とするために国が制度を拡充し、東京都や国が財政支出をすべきである。同時に国が拡充するまでの間、区として対象を拡大し、保険料の軽減を行うべきである。
以上の理由から本議案は可決すべきものである。
2022年3月18日
健康福祉委員 かなざき 文子
健康福祉委員 山 内 え り
議 長 坂本 あずまお 様