ただ今より、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第47号東京都板橋区営住宅条例の一部を改正する条例及び議案第49号東京都板橋区立高齢者住宅条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。
この二つの議案は、高齢者住宅を廃止して区営住宅に集約、統合する板橋区営住宅再編整備基本方針をすすめるために条例の一部を改正するものです。
ただし、改正内容のうち、同居者がいる申込者収入条件をこれまでの就学前までから18歳に達する日以後最初の年度末までに緩和することや、区営住宅の居住者以外にも駐車場の利用を認めることは否定するものではありません。
反対する第一の理由は、借り上げ住宅条項を削除する点です。
区は、民間住宅を借上げて区営住宅を設置することを行っておらず、今後も実施する方針はないとして借上げ住宅条項を削除するとしています。
しかし、多くの区民が区営住宅に申し込んでも入れないという状況が長く続いており、2017年度は募集15戸に160名の申し込みがあり、応募倍率は10.7倍です。今でも入居したくても入居できていない方がたくさんおり、区営住宅は全く足りていないのです。
加えて、高齢者住宅けやき苑も2017年度は単身者向け、世帯向けともに応募倍率は14倍を超えており、高齢者住宅けやき苑も多くの方が入居を待っています。
なぜ、区営住宅、高齢者住宅の応募倍率がこんなに高いのか。それは、暮らしが厳しいからです。
私たちが行ったアンケートでは、「住宅政策で望むこと」の1位は、「高齢者住宅の増設」です。
暮らしが厳しい方への支援が最も求められています。
そもそも区の住宅政策に低廉な住宅を確保するという方針が貧弱であり、今後公営住宅を増やさないということが問題です。
区が借り上げてでも区営住宅や高齢者住宅を整備すべきであり、借上げの文言を削除すべきではありません。
第二の理由は、板橋区営住宅再編整備基本方針に基づき、高齢者住宅を廃止していくことが前提となっていることです。
区は、区営住宅の建替えに合わせ、借り上げた高齢者住宅けやき苑を契約満了後速やかに返還すると
しています。
高齢者住宅けやき苑は、住宅の確保に配慮が必要な高齢者に手すりやエレベーターなど、高齢者が安心して生活できるように配慮されてきた住宅です。
高齢者を見守るために常駐していた生活協力員は「高齢者福祉に理解と熱意がある人」を条件に配置され、生活援助員は介護関係の社会福祉法人に委託して一定の専門知識のある人を配置していました。
しかし、新たな区営住宅に配置される方は連絡員となり居住している人が担うことになるうえ、施設管理が主となり高齢者の見守りという役割から遠ざかることになりかねません。
さらに、高齢者住宅には緊急通報システムが必置ですが、区営住宅は選択できるというだけで、促進するものにはなっていません。
また、高齢者住宅廃止によって区営住宅に移る際、住み慣れた地域に区営住宅が建て替えされなければ地域を離れざるを得なくなります。希望する地域で暮らしていく保障がありません。
加えて、建て替え後の家賃が従前の家賃より上がる可能性があります。
年金が下がり続けるなかで、厳しい生活をせざるを得ない高齢者が今後ますます増えていくことは明らかであり、高齢者住宅の役割は重要です。
区営住宅とけやき苑の設置目的が違うにもかかわらず、統合していくという方針自体を見直すべきです。
それぞれの設置目的があり、安心して住み続けることができるよう自治体の責務を果たすことを求め、本議案に反対し、討論を終わります。