新型コロナウイルス感染症に関する要望書
2020年4月24日
日本共産党板橋区議会議員団
4月7日に緊急事態宣言が発令され、行動の自粛が要請されていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大は、日々深刻化を増しています。当区議団は、関係機関などに独自の聞き取りを行い、現場の状況を調査してまいりました。そこで、以下の内容について、区としての対応及び、国や東京都との連携を図り実施するよう要望いたします。
- 医療に関わって
○全体について
・都及び国に対し、都立・公社病院の地方独立行政法人化の中止を強く求めていただきたい。
・行政手続きを簡素化し、手続きをわかりやすくすること。
・診療報酬の削減をやめること。
・国民健康保険証について、現在、資格証明書が発行されている世帯に対し、短期保険証を交付すること。
○感染予防対策の強化
・防塵及びN95マスク、防護服、消毒液、プラスティックガウンやプラスティックエプロン、グローブ類の不足について、行政が確保し、医療機関等へ優先的に供給すること。こうした物品については、いずれの医療機関においても、充分ではなく、マスクについては、医師は一日一枚、看護師などは数日間使用するなどで対応しています。
・発熱した患者の診断を専門的に行う『発熱外来』を区内に設置すること。
・感染が確認された方を安全に隔離できるよう、充分な病床数及び軽度者のための宿泊施設を確保すること。また、その際の搬送も区として車両を確保すること。
・オンライン診療機器設置のための費用を助成すること。
○検査体制の強化
・PCR検査場の設置にあたり、医療従事者の感染予防対策に必要な措置を行うこと。
また、開設時週2~3日としている検査日は、状況に応じて増やすこと。
・PCR検査等を実施する民間病院や検査機関に対し、ガウン、手袋、防塵及び医療用マスク、キャップ、エプロン、シューカバー、フェイスシールド、ゴーグルなどの防護具を優先的に供給すること。
・国や都が対象としている『医療機関等』に、衛生研究所が含まれることを明確にし、医療用マスク等の優先供給の枠に含めるよう求めていただきたい。
・検査試薬については開発・販売が進められていますが、研究用試薬とされており、精度が保障されていません。感染研等で精度の安全性を確認した上で、販売を認めること。また、精度を公表すること。
・新型コロナウイルス感染症陽性者の検体を架設した後の、検査装置等の処理指針が示されておらず、混乱しています。検査装置等の処理指針について、早急にガイドラインを作成するよう国に求めていただきたい。
・新型コロナウイルス感染症の検体は、陰性・陽性に限らず疑いの段階で、輸送する際にWHO規格のカテゴリーB(三重梱包セット)を使用し輸送することとなっている。しかし当セットは高額で事業者の負担が大きいため、助成していただきたい。
○事業者への支援
・遠方からの通勤を防ぐため、職場の近くで生活することができるよう、部屋の借り上げなどに対する補助を行うこと。
・学校休業や保育園登園自粛などにより、医療機関において独自に保育体制を確保しているケースがある。保育士の人件費等の支援を行うこと。
・外来の減少や感染予防対策のための経費の増、職員の確保などにより、経営が厳しくなっている。減収への支援を行うこと。
・医療関係従事者やその家族などに対する差別や偏見が広がらないよう、区として対応すること。
- 介護に関わって
○全体について
・区内の介護事業者や高齢者施設、介護従事者に対し、医療用マスクや消毒液等の感染予防資材を供給すること。
・介護事業所に対し、利用者の減少による収入減への補償を行うこと。
・利用者やヘルパーに感染の疑いがあった場合の相談窓口を設置すること。
○人材確保・従事者の保護
・介護従事者に上乗せ手当が支給できるよう支援を求める。
・居宅介護について、利用者やヘルパーに感染や疑いがあった場合の休業補償について、支援策を求める。
- 区内事業者及び個人事業主への支援
○全体について
・消費税10%の引き下げを国に対して求めること。
・国税・都税・区税について、支払い猶予等の措置が行われていることを広く周知すること。合わせて、減免などの措置を講じること。また、滞納処分について、当面、差し押さえや換価措置等は行わないこと。
・区内事業者について現状を調査し把握すること。また、都や国に対し更なる支援策を求めること。
・個人事業主やフリーランスに対し、休業や損失に対する補償を拡充すること。
・事業者向けのワンストップ相談窓口を開設し、相談体制を整えること。
・各種手続きを簡素化すること。
・雇用調整交付金や休園休校に伴う休業への給与補償について、要件を緩和し対象を拡大すること。また、補償の上限額を引き上げること。
・都や国の制度について、区のホームページ等で概要を掲載することや直接事業に行き着くようリンク先を掲載すること。
○自粛や休業要請に関わって
・休業した場合の補償を国に求めること。
・東京都感染拡大予防協力金について、休業要請対象外の業種についても、補償の対象とするよう求めること。また、休業・営業時間短縮の開始日を4月16日からとする要件を緩和すること。さらに、区としても広く周知し、区の窓口にも申請用紙を置くこと。
・区としても都制度に上乗せすることや独自での対象拡大を図ること。
・家賃やリース代、法定福利費事業主負担分等、固定費への補てん制度を求める。
・パートやアルバイトを含む従業員の給与を保障するために事業者に補償すること。
○税金や各種保険料について
・住民税や国民健康保険料等の納付について、個々の状況に応じて必要な場合は猶予し、差し押さえや換価措置等は行わないこと。また、資格証の発行等はやめること。
・今年度からの国民健康保険料の引き上げをやめること。
○融資制度について
・相談窓口について現在の体制をさらに増やし、拡充すること。
・手続きを簡素化し、迅速に支払えるようにすること。
・税の滞納や返済が滞っていることなどを理由に門前払いしないこと。
・利子補給を100%にすること。
・区や社協の福祉資金についても、要件を緩和し迅速に支給できるようにすること。
- 保育・子育てについて
○安全な保育の実施に関わって
・マスクや消毒液等、感染予防対策に必要な物資を供給すること。
・登園自粛により園児が少なくなっている場合は、安全に配慮した上で、縦割り保育等柔軟な保育を可能とし、保育士の在宅勤務を導入すること。また、在宅勤務としない場合でも、保育士の休暇については、区立保育園を含め、特別休暇を設け、年休消化を前提としないこと。民間保育施設に対しては、補助を行うこと。
・委託事業者が休業となった場合の給与の補償を求める。
○子どもとその家庭へのケア
・登園自粛により、在宅での保育となっている家庭では、子どもの発達について不安の声が寄せられています。子どもたちの発達を保障するための対策を講じていただきたい。また、保護者の体調不良など保育できない場合は、私立園も含め登園できるよう柔軟な対応を求める。
・登園できない子どもやその保護者へのケアとして、カウンセラーによる電話相談や園側とのやり取りができるよう対応していただきたい。
・ファミリーサポートセンターの常駐体制を、緊急対応として、現行の2名から1名にするよう求める。
・子どもへの虐待やDVの相談対応について、24時間体制とするなど、相談窓口の拡充を求める。合わせて、保護のための住居を確保すること。
- 教育について
○子どもと家庭への支援について
・子どもたち一人一人の学習状況を把握し、家庭での学習が難しい子どもへの支援を行うこと。また、環境を整えた上で、分散登校や個人面談などを行うこと。
・必要な児童にはタブレットを貸与し、教育委員会として学習用の動画配信を行うこと。また、学校ごとにオンライン授業が行えるよう環境整備を行うこと。
・要保護世帯及び準要保護世帯に対し、休校中の昼食代を助成すること。
○教職員について
・休校中の勤務について、在宅勤務を増やすことや教職員が出退勤時間を柔軟に決められるようにすること。
・学校再開にあたっては、体調に不安がある場合や感染の可能性がある場合は、登校を控えるよう通知すること。また、休暇については年休の消化ではなく、特別休暇を設けること。
・教職員に対し、業務外の任務を行わせないこと。
・マスクや消毒液等を支給すること。また、消毒作業は委託すること。
○教育行政について
・新年度より小中一貫教育が推進されているが、子どもや保護者に対しても十分な説明は行われておらず、認識は共有されていない。また、休校の中での新たな制度への移行は、様々な負担や課題が生じることが考えられる。小中一貫教育について、一旦元に戻すよう求める。
・新入学及び進級したものの、新年度は一度も学校活動は行われておらず、再開後は丁寧な対応が必要となる。教職員の増員を求めるとともに、会計年度任用職員を特別採用し、子どもに寄り添った対応ができるようにすること。
・学校給食に関わって、キャンセルできない食材について、フードロスとしないよう、フードバンクへ提供するなど活用すること。
・子どもの居場所、学習保障、給食等の提供について、東京都の補助金も活用し、実施を検討すること。
○あいキッズについて
・マスクや消毒液等を供給し、施設の消毒については区が実施するか、費用を負担すること。
・体調不良の児童を隔離するスペースを確保すること。
・指導員への手当てを支給できるよう、上乗せ助成を行うこと。
・利用児童と指導員が必要な間隔を確保できるよう、現行のスペース以外の利用を行えるよう調整すること。
- 障害児・者及び家族支援について
○全体について
・福祉施設に対し、マスクや消毒液、手袋などを支給すること。
・障害児者や支援者の状況を把握し、必要な支援を行うこと。
・支援者が感染・入院した場合、障害児者が安心安全な日常生活を送ることができるよう、対策を講じること。
・感染予防のため閉所している福祉施設に、今後安定した運営ができるよう補償すること。
・知的障害児者について、感染するなど隔離が必要な場合、適切な対応が行なえるよう特別な配慮を求める。
・感染症対応のマニュアルを策定すること。
○休校・休園中の対応について
・放課後デイの利用について、三密を避けられる環境になるよう、対応を求める。
・休校や休園が長引くことにより、家族による看護も厳しくなっています。看護師の派遣やその費用の補助、また家族手当の支給やレスパイト助成等、なんらかの支援を求めます。
○医療的ケアが必要な方への支援
・在宅での介護でも、消毒液やマスク、手袋等の確保が困難になっています。特に医療的ケアが必要な方がいる家庭に対し、必要な物資を供給していただきたい。
- その他
・給付金に関わる事務を行う際には、職員の安全を確保し、充分な体制を整えること。
住宅確保給付金について、要件が緩和されていることを広く周知すること。また、生活サポートセンターの窓口に徹底すること。
・寄付の受付や食材を困窮家庭に届けるなど、民間で行われている様々な生活支援に関する活動について、ボランティアセンターから情報発信を行い、そうした活動をPRすること。
・住民や関係者、議会の理解と合意が必要な事業について、会議や議会が開けないことを理由に、書面のみで粛々と進めることはやめること。
以上