山内えり

保育料値上げしないで 討論 2017.10.11

2017.10.15

ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第47号「東京都板橋区保育所等の保育費用に関する条例の一部を改正する条例」に反対する立場から討論を行います。
本議案は、来年4月から保育料を改定し、D6階層である収入約680万円以上の世帯で、現行の保育料より5.7%の値上げ、D5階層からD1階層までは、階層が下がるごとに0.2%減算するというものです。これにより、保育施設利用者の約9割に影響し、年間総額1億4,400万円の負担増となります。
区は、値上げの理由として、児童1人当たりの保育所の運営経費が増加傾向にあること、持続可能で安定した保育を提供するため、区民負担の公平性の確保、受益者負担の適正化を図るとしています。
反対する第1の理由は、保育料算定の根拠に問題がある点です。
区は、保育所運営経費が増加していると言いますが、その要因は、待機児対策として新たな保育施設を増設してきたこと、保育士の処遇改善に伴うものです。そもそも保育料の算定に、施設整備費や人件費を含めるべきではないと考えます。
文教児童委員会で区は、「運営経費が拡大し区の負担が拡大するので、認可保育園を利用している世帯と在宅で子育てしている世帯との均衡を図るための改定」と説明しました。しかし、本来、保育所整備費用は税金で賄うべきです。保育園を利用している世帯と利用していない世帯を比較するものではなく、まして運営経費の拡大分を保育料に転嫁すべきではありません。
第2の理由は、保育料割合を引き上げた点です。
今回の改定から保育料割合を、23区平均値の13%にすることを目標に定め、段階的に引き上げていくとの方針が示されました。板橋区の保育料割合10%は、23区と比較して低い水準であるとしています。しかし、23区でも実際の保育料には大きな差があり、板橋区の中間所得層以上の保育料は既に高額となっています。しかも23区中、5区は保育料割合を算定しておらず、23区平均と言えるものではありません。
さらに、練馬区は9.2%と、板橋区よりも低くなっています。23区平均に近づける必要はありません。にもかかわらず、なぜ保育料割合を11.5%に引き上げることにしたのでしょうか。区は理由も根拠も示すことができませんでした。
認可保育所を増設すれば運営経費が増大することとなり、保育料割合をこれまでの10%のまま据え置いても保育料が上がることが、委員会質疑の中で明らかになりました。これでは負担を二重に負わせることになり、値上げのための値上げと言わざるを得ません。むしろ高額となっている保育料の引き下げこそ行うべきです。
第3の理由は、子育て世帯の家計の状況や保護者の声を反映させていない点です。
児童福祉法では、保育料を徴収する場合、家計の状況を反映することとしています。区は、子育て世帯の収入状況について、全体として収入は上がっているとしています。実際、正社員の母親がふえるなど、共働き世帯が増加し、保育料の階層区分でも中間層以上で増加しています。
質疑の中で他の委員から、「景気がよくなり、収入がふえている方には値上げをお願いしなければ」という意見がありました。しかしながら、2014年4月から消費税が8%に増加し、子ども手当の減額、扶養控除の廃止などで、社会保険料や税金の支出はふえています。一方で、食費など、生活関連の支出は減っており、景気がいいなどという実感はまったくない。日常生活に使える費用はほとんど変わっていないというのが、多くの子育て世帯の声です。
また、労働政策研究・研修機構の調査からも、多額の教育費が家計を圧迫していることに加え、老後の不安などから財布のひもがかたくなっているという分析が出ており、家計にゆとりが生じているとは決して言えません。
さらに、約9割もの世帯が影響を受けるにもかかわらず、説明会もパブリックコメントも行わず、決めてしまった後に、「来年から値上げになるのでよろしく」という区の姿勢は、区民や利用者に意見を聞く、理解を得るという努力をまったくしていないと言わざるを得ません。
第4の理由は、新たな低所得者対策がとられていない点です。
区は、A、B、C階層は据え置き、D1からD5までは改定率を減算することを低所得者対策としています。しかし、値上げ幅を抑えただけにすぎず、結局は値上げです。
また、B2階層については、近隣の北区、練馬区、豊島区などは保育料無償となっているのに対し、板橋区は1,000円を徴収しています。そもそもC3階層までは、概ね生活保護基準の範囲内であり、本来保育料を徴収すべきではなく、抜本的な見直しこそ行うべきです。
私たちは、以上の理由により、本議案に反対の立場から、現行保育料に据え置く修正案を提出したものです。
なお、修正案は、本議案の第2子の保護者負担軽減措置については、わずかとはいえ負担軽減につながるものであることから、修正を加えず区の提案を尊重する内容となっています。板橋区の財政状況から見ても、値上げをしなければならないほどの状況にはなっておらず、むしろさらなる負担軽減こそ行うべきです。
よって本議案に反対し、討論を終わります。

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