少 数 意 見 報 告 書
2015年9月25日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第81号 東京都板橋区立保育所条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、区立保育園の内、しらさぎ保育園を廃園し民営化するため、条文から削除するものである。
区はこれまで9園の区立保育園の民営化を推進してきた。その際、民営化のメリットとして、延長保育の実施や定員の拡大など保育サービスの拡充をあげ、理解を求めてきた。しかしながら、それらは民営化によって実現するわけでなく、建て替えや改修によって施設規模が拡大することなどから、生じるものであって、民営化しなくても当然実施すべきものである。今回のしらさぎ保育園についても、都営住宅の建て替えに伴い、敷地面積及び施設規模が拡大されるものであり、民営化のメリットとは言えない。
また保育園を利用している保護者に対し丁寧な説明を行い、新たな事業者の選定についても意見を反映させるとするが、そもそも、保護者は民営化を望んでいない。保護者や園児、そして職員が移行に伴う負担を負うのであり、それはいくら説明をしたところで解消されるものではない。民営化以降も同保育園に通う児童や保護者にとって、4月以降に職員が入れ替わることへの不安感や負担感は計り知れない。
保育需要の増大や労働環境の課題などから現在、深刻な保育士不足と言われている。こうした状況の中で、民間保育事業者においては保育士確保や離職を防ぐ対策に苦慮しているところである。板橋区においても、待機児童の増加に対応するため、新たな認可保育園の新設を前倒しで進めている。認可保育園の新設に力を集中するべきである。
以上の理由により、本議案に反対するものである。
2015年9月25日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2015年9月25日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第82号 東京都板橋区家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本条例は「小規模保育事業所A型」、「小規模保育事業所B型」、「保育所型事業所内保育事業所」及び「小規模型事業所内保育事業所」における保育士の数の算定について、保健師または看護師に加え、准看護師も保育士とみなすことができるとしたものである。
反対する第一の理由は、准看護師として勤務している方は看護師の約110万に対し、全国で約38万人しかいない。また、准看護師の平均給与に対し保育士の平均給与が高くないことからみても、准看護師の方が保育現場に勤務するのか疑問である。
第二の理由は、国は准看護師の養成のあり方を含めて検討しており、将来的には廃止することも視野に検討が続けられている。実際、准看護師の養成施設が減少し、准看護師自体も減少している。
第三の理由は、准看護師は看護師の指示に基づいて業務を遂行することになっており、そもそも看護師と准看護師では資格を取得するまでの過程も資格の重みも違う。
条例を改正しても保育士不足を解消する根本的な解決策には繋がらないと考える。医療に詳しい人材が必要であるなら、加配すべきである。
最後に、保育士不足の解消には、保育士給与の改善、労働環境の改善、保育士への家賃補助の対象をさらに広げるなど、板橋区としてのさらなる保育士への処遇改善を求め、本条例の制定に反対するものである。
2015年9月25日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2015年9月25日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第83号 東京都板橋区立学校施設開放条例
2 意見の要旨
本議案は、区立小中学校の校庭や体育館、教室等の区民利用について、新たな基準を設けるもので、これまでの「学校設備使用条例」を全部改正する内容となっている。
区は改正の理由として、「現状に合わない」「経営改革の視点」をあげ、事業目的の明確化、使用の公平性の確保、受益者負担の適正化を図るとしている。
しかし、そもそも、学校施設を開放するということと、一般の公共施設を使用することとは目的が違うのであり、他の公共施設の基準を適用するべきでない。
区は、事業目的を明確化したとするが、地域開放を言いながら、障害者や高齢者団体を使用料の減免対象から外し、新たな負担を強いる内容となっている。学校を中心に地域の連携を強化することが事業の目的であるならば、地域の方々に大いに学校施設を活用していただけるよう、新たな負担を課すべきでないと考える。
また、第7条8項「特定の政党その他政治団体に賛成し、または反対することを目的とした使用と認められるとき」との条文は、従来の条例には明文化されておらず、これまでの使用を制限することにつながりかねない。
学校施設の利用に関しては、新規の利用が困難であるなど課題があるものの、条例の全部改正を行わなくても改善することは可能である。使用料の新たな徴収・減免対象の縮小を規定する条例には賛成できない。
2015年9月25日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2015年9月25日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第85号 東京都板橋区立児童館条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、区立児童館の内、板橋・加賀・みなみ・ときわ台・中板橋・あさひが丘・若木・西台・高島平あやめ・大原・赤塚新町・成増南各児童館を廃止し、開館日及び開館時間を変更するものである。
区は、児童館は児童福祉法に基づく児童厚生施設として存続するとしながら、これまでの児童館事業を大幅に見直し、小学生を中心とした内容から乳幼児親子中心の事業へと転換を図るとしている。
在宅子育ての支援を拡充することは重要である。しかし、児童館の縮小を前提とした事業の転換は新たな児童館の目的である在宅子育て支援の充実とも相いれないものである。例えば、配置の基準を500メートルから900メートルとしたことについてである。小学生が一人で行ける距離から幼児が15分程度で歩ける距離を想定したとしているが、よほど完璧な状態でなければありえないものであり、机上の空論と言わざるを得ない。
距離が遠くなることで、今現在、児童館を利用している乳幼児親子が、支援を受けられない、通えない、また、出向く回数が減少するなどの事態は安易に想定しうる。さらに、館が減ることによって、残った児童館に利用者が集中することも懸念される。また、開館日の変更により、土曜日が民間委託による開放事業になることも問題がある。父親の育児参加を促進するためには、土曜日においても単なる開放事業ではない事業が求められる。
さらに、開館日及び開館時間の変更は、小学生の利用を大幅に制限することが前提となっている。しかしながら、直接子どもたちの声を聞いていない。あいキッズが受け皿になっているというが、受け皿といえるほど利用が増えているとは言えない。児童館が居場所となっている児童に、健全な遊びを提供するならば、乳幼児親子以外の児童・生徒を一部屋に囲い込むような転換を行うべきではない。
以上の理由により、本議案に反対するものである。
2015年9月25日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2015年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第29号 「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画
についての陳情(大原児童館の件)
陳情第30号 中丸児童遊園内集会所、幸町集会所、みなみ児童館の廃止計画等につ
いての陳情(みなみ児童館の件)
2 意見の要旨
2つの陳情は、区がすすめる「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画について、大原児童館、みなみ児童館を廃止しないでほしいと求めるものである。みなみ児童館には1日約70人、大原児童館には約60人の方が毎日訪れ、午前中は多くの乳幼児とその保護者が利用している。育児休業中のお母さんが子どもとの時間を過ごし、ときには育児の不安や仕事復帰へ向けた話を児童館職員の方と相談する貴重な時間にもなっている。午後は学校帰りの小学生や中学生もそれぞれの思いで利用している。また、保育園帰りのお子さんと保護者が家に帰る前の時間を児童館で過ごし、お母さん同士が交流する場にもなっている。また、季節ごとにイベントも開催され、地域の子どもたちの安心して過ごせる場所になっている。児童館利用のための移動距離を半径900m圏で円表示していたが、雨などの天候不良時、猛暑のときに子どもが15分程度で移動すること、また、乳幼児を抱えたお母さんが大きな荷物を持って15分程度で移動することができるのか疑問が残る。足が遠のき、児童館の利用が減ると推測される。
これまで利用してきた親子、学校帰りの小・中学生の行き場をなくすことはやめるべきである。区は18地区で地域説明会を行い、広報いたばし、ホームページなどで児童館の廃止を含む個別整備計画について、地域の方々に周知したと言うが、住民の皆さんに声をかけると児童館の廃止について知らない方も多くいた。
また、廃止後の計画について明確なプランや時期が示されていないため、急いで廃止する必要がないうえ、今から利用者に廃止を伝えるのはあまりに急すぎる。
地域の子どもたちの成長の場であり、交流の場である児童館は廃止すべきでない。よって、委員会採決「不採択」に対して反対する。
2015年9月28日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年2月23日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第27号 幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本条例は、議案第12号 職員の分限に関する条例の一部を改正する条例によって、幼稚園教育職員について、降給とする場合の手続きを定めるものである。
私たちは、職員の労働環境に関わる問題については、労使合意を尊重する立場であり、今回の条例提案に当たっては、すでに合意が交わされていることは、理解するものである。
しかしながら、委員会審議でも明らかになった通り、分限処分において降給とする場合の細則等について、いまだ人事課からは何も示されていない状況である。
降給とする場合の基準が妥当なものであるかどうか、現時点では判断することができないため、本議案に反対する。
2016年2月23日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年2月23日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第30号 東京都板橋区子どもの医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は板橋区において、入院・通院とも中学校卒業まで助成している子どもの医療費を18歳まで拡大するものである。
子どもの貧困が深刻な状況であることは国も都も区も同じ認識である。
児童福祉法上、子どもは18歳までと規定されており、多くの16歳から18歳までは親元で扶養されているところである。
しかし、義務教育課程を終えた16歳から18歳は教育費や通学等、経済的負担が保護者に重くのしかかっている。
義務教育課程を終えた子どもに対しても命や健康に関する事業は等しく行われるべきであり、拡大していく必要がある。
よって本条例案に賛成する。
2016年2月23日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年4月14日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第32号 「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画についての陳情(中央図書館の件)
2 意見の要旨
本陳情は、区立中央図書館を区立平和公園に移転する計画に対し、計画の見直しを求める立場から出されたものです。陳情は2項目あり、一つは、中央図書館の改修に当たり、利用者懇談会の開催など、利用者の声を反映することを求め、一つは、平和公園は今のまま残してほしいとしています。
まず、利用者懇談会など、利用者の声を聞く点についてです。
現在の区立中央図書館は、老朽化やバリアフリー化を進める観点からも改修が必要であることは陳情者も相違ないところと考えます。図書館を利用している方や地域の方々が、その改修に際し、意見を聞いてほしいと求めることは当然のことです。不採択とした委員からは、これまでも利用者の声を聞いてきて、区は今後も行うとしているからとの発言がありましたが、確実に実施するよう、議会として意思を示すべきです。
次に、平和公園をそのまま残してほしいという点です。
区は、平和公園ありきの計画でないと繰り返し説明してきました。しかし、地域の説明会では、初めから中央図書館の移転先は平和公園しかないという結論しか報告されていません。区の検討内容は後から示されていて、このことも不信を招く結果につながっています。
また、決定しなければ、青写真も示せないとしてきたことも、不安を広げてきました。
質疑の中で、代替施設を案内するともありましたが、そもそも、平和公園規模の広場はほかになく、代替施設などないのです。その場しのぎと言わざるをえません。
以上の点から、現状では、地域や利用者の理解は得られておらず、改めて話し合い、計画の再検討を行うべきと考え、採択を主張するものです。
2016年4月14日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年4月14日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第45号 区立平和公園に中央図書館を移転する計画の中止を求める陳情
2 意見の要旨
本陳情は、昨年の第4回定例区議会に提出され、区立中央図書館を平和公園に移転する計画を中止し、現状のままの存続を求めるものです。
この間、平和公園や中央図書館がある地域の方々を中心に、区の計画について説明会が開かれてきました。様々な意見や質問が出されてきましたが、なぜ、平和公園なのか、公園を減らしてもいいのかという、地域の方々の率直な思いに応えるに至っていないのが現状です。また、平和公園利用者に意見も聞いておらず、樹木などへの影響も調査していません。平和公園への移転が承認されなければ青写真も示せないとしていることは、さらに不満を広げています。
建物の形状や規模、建設場所等が何もわからない状況では、計画を容認することはできないということは当然の心情です。
陳情に反対する意見の中で、公園をそのまま残すことは行政財産の利用を制限することになるとの発言がありました。しかしながら、行政財産とは区民の財産です。まして地域の方々が愛着を持って活用している施設であればなおのこと、地域住民の皆さんとともに考える姿勢が求められるのです。
区が、計画決定とする前に、聞き取りやアンケート、その他必要な調査等を行っていたら、もっと違った方向が見えた可能性は否定できません。
これから平和公園への利用者アンケートや調査を行うとしている段階において、本陳情を不採択にすべきでないと考え、採択を主張するものです。
2016年4月14日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年6月10日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第85号 消滅の危機に瀕する言語の保全及び継承を求めることに関する陳情(図書の設置及び普及の件)
2 意見の要旨
本陳情は、消滅の危機に瀕する言語として指定されているアイヌ語の保全及び継承につとめるために、学校図書館及び区立図書館において、アイヌ語に係る図書を、目立つ表示で並べることや各種講習会を開催することを求めるものである。
政府は、これまで1997年に制定されたアイヌ文化振興法に基づきアイヌ政策をすすめてきた。しかし、「アイヌの人々の先住性から導かれたものではなかった」ことを前提としてきたため、生活や教育における格差や差別が改善されていない。2007年に国連が「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を採択したことを受けて、国会において、アイヌを先住民族と認める決議を採択している。この国会決議に基づき設置されたアイヌ有識者懇談会は、アイヌを先住民族として認め、総合的政策を求める報告書がまとめられた。その後、10年が経過してもなお、内閣府のアンケート調査では、「差別の発言を聞いたことがある」と答えた人は5割に上り、差別や偏見をなくすために必要なことは「学校教育の中での啓発」と答えた人は72.5%である。未だ、差別や偏見の解消には至っていない。現在、区立図書館では、アイヌに係る図書資料を307種類、アイヌ語に係る図書資料を45種類所蔵している。アイヌの民族史、生活、文化、美術、児童向け図書などを収集し、区民に提供している。不採択とした意見には、国の仕事だとする発言があったが、東京都が「北海道だけの問題ではない」として、今後の偏見や差別の解消を目指して、人権施策推進指針を示しているように、アイヌの人々の歴史や文化について理解を深める取り組みは、板橋区としても重要である。また、指導室長が、日本国憲法において、全ての国民は個人として尊重され、差別されないという基本的な考えに基づき、「知識として確実に理解されるような指導を充実させていくことは重要だ」と答弁したように、学校図書も含む学校教育や区立図書館での知識の提供や、講習会など、なんらかの取り組みを行う必要があり、今のままで十分だとは言えない。
よって、本陳情の採択を求める。
2016年6月10日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第59号 東京都板橋区立郷土資料館条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は区が設置した使用料・手数料検討会による報告に基づき、特別の資料の展示を行う場合において必要があると認めるときに、郷土資料館の観覧料の上限額を改定するものである。
郷土資料館は、郷土に関する考古、歴史、民俗等の資料を収集し、保管し、展示を行う施設であり、観覧料は無料である。
反対する理由は、料金算出の根拠が使用料・手数料検討会の方針とも矛盾する点である。使用料・手数料検討会において、「入館料方式の施設は前年度利用実績で原価を算出する」としているにも関わらず、他の貸出施設と同様の維持管理費(物件費、光熱水費)、人件費、減価償却費から算出している。そのため、原価は1418円にのぼっている。しかし、引き上げる対象の特別展示で料金が発生したのは5年前の2011年で、観覧料は300円である。少なくとも過去の実績で算出していれば、原価が引き上がることはないと考える。
そもそも特別展示の観覧料が発生する時とは、展示する物によって運搬費用が高額になったときなどであり、過去5年間発生していない。にも関わらず、面積按分や職員人件費、減価償却費などを料金に含めることなど、一律の算定方式に当てはめること自体行うべきではない。
よって本議案に反対するものである。
2016年9月28日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第60号 東京都板橋区立郷土芸能伝承館条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、区が設置した使用料・手数料検討会による報告に基づき、郷土芸能伝承館の使用料額の一部を改訂するものである。
郷土芸能伝承館は、指定管理者が運営する施設である。和室の集会室と防音効果が高くフローリングの芸能練習室があり、無形民俗文化財としての民俗芸能又は無形文化財としての芸能を保存し、伝承する者、団体で教育委員会から承認を受けた者は使用料を前納すれば使用できる。
反対する第一の理由は、利用者の要求や、指定管理者の提案と異なる点である。防音効果の高い芸能練習室は、午前1500円、午後・夜間1800円で利用率が8割を超えている一方で、和室の集会室は午前2000円、午後・夜間は2200円となっており、利用率が低い。そのため、指定管理者から「使用料が高く、利用率の低い集会室は値上げしないでほしい」という提案が出されており、施設利用者の要求でもある。
また、使用料・手数料検討会の算出が施設状況や利用状況を反映せず、一律の算出となっていることは問題である。そもそも、人件費や減価償却費を原価に入れるべきではない。
第二の理由は、指定管理者が管理している施設は、直営施設と同様の扱いができないという点である。人件費は事業報告書から推定することしかできず、実際の人件費を把握することができない。また、指定管理者が変われば、その人件費も変わり、原価そのものが変わってしまう。しかも、区は、「あくまで上限」としているが、効果額分は指定管理料を引き下げることを前提に協議するとしていて、指定管理者は料金引き上げを拒否できない構造となっている。
よって、本議案に反対するものである。
2016年9月28日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第73号 東京都板橋区立学校施設開放条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、区立小中学校の体育館、教室、柔剣道場、校庭、クラブハウス、地域開放教室、夜間校庭照明の使用料を2017年4月から、引き上げるもので、見込まれる効果額は年間133万2千円である。学校施設の開放は、学校施設を有効に活用することで、区におけるスポーツ・文化活動や地域活動による学校教育の支援を推進することを目的に行われてきた。
本議案に反対する理由の第一は、今年4月の有料化後、利用者の声も聞かずに、再び料金引き上げを行うことである。2015年度までは、減免措置などによってそのほとんどが無償利用されてきた。2016年4月から有料化され利用者から多くの批判が起きている。その下で、利用者への調査もなく、再び引き上げるべきではない。
第二に、料金改定の算出根拠となる原価に、人件費や減価償却費まで含まれていることである。練馬区が、「施設の建設に要する減価償却費を含む建物建設費・用地取得費は公費で賄う範囲」と定めているように、本来減価償却費は建物全体に係るもので、一部分を切り取るものではない。また、人件費は公務労働である以上、様々な対応を求められる。その一部を按分できるものでもなく、税金で負担すべきである。
第三に、原価に対する利用者負担割合が適正ではないことである。区は、原価に対する負担割合が80%以下の施設を引き上げることとしたが、学校施設は4年前の検討では50%の負担率の分類に示されていたことから考えてもその基準に根拠はない。また、一律の負担割合で算出したため、校庭の夜間の利用は原価が26円下がったのに、20円の料金引き上げとなっている。原価が下がっているのに負担が上がることに利用者の理解は得られない。
そもそも、施設の維持管理も含めて大部分の行政事務は、憲法で定められた租税で賄うというのが大原則である。その上で、使用料は税外負担を定めて取ることができるという考え方からすれば、当然低廉で安価であるべきで、負担割合の基準を80%で考えること自体が適切ではない。
以上の理由で、本議案に反対する。
2016年9月28日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第74号 東京都板橋区立教育科学館条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、区立教育科学館の貸出施設である「研修室」、「教材制作室スタジオ」の使用料を引き上げるものである。教育科学館は、科学に関する知識の普及啓発を推進し、学校教育及び生涯学習の一層の充実振興を図ることを目的に設置されている。本議案に反対する理由の第一は、利用状況を反映しない料金改定となっていることである。今回、対象となっている、貸出施設の2015年度の有料貸出状況は、「研修室」が4回、「教材制作室スタジオ」が、48回と利用率が高い状況ではない。施設の充実がはかられるわけでもなく、利用率が低い施設の利用料を引き上げれば、利用率のさらなる低下につながりかねず、施設目的から考えれば本末転倒である。第二に、料金改定の算出根拠となる原価に、人件費や減価償却費まで含まれていることである。本来減価償却費は建物全体に係るもので、一部分を切り取るものではない。また、人件費は公務労働である以上、様々な対応を求められる。その一部を按分できるものでもなく、税金で負担すべきである。
第三に、原価に対する利用者負担割合が適正ではないことである。区は、原価に対する負担割合が80%以下の施設を引き上げることとしている。そもそも、施設の維持管理も含めて大部分の行政事務は、憲法で定められた租税で賄うというのが大原則である。その上で、使用料は税外負担を定めて取ることができるという考え方からすれば、当然低廉で安価であるべきで、負担割合の基準を80%で考えること自体が適切ではない。文教児童委員会で賛成した委員は「使っている人が負担して、税負担を減らしたい」というが、税金は収入に応じて徴収するものである。使用料は応益負担となることから考えても、その理由は利用者への説明にはならず、理解は得られない。第四に、指定管理者が管理している施設は、原価計算を直営施設と同様の方式による算出はできないということである。人件費は、事業報告書から推定することしかできず、実際の人件費を把握することができない。また、指定管理者が変われば、その人件費も変わり、原価そのものが変わってしまう。しかも、区は「あくまで上限」としているが、効果額分は指定管理料を引き下げることを前提に協議するとしていて、指定管理者は料金引き上げを拒否できない構造となっている。以上の理由で、本議案に反対する。
2016年9月28日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第75号 東京都板橋区立生涯学習センター条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、区立大原生涯学習センター(旧社会教育会館)及び成増生涯学習センター(旧社会教育会館)の施設利用料を引き上げるものである。
生涯学習センターは、区民の生涯にわたる学びの推進及び学びを通じた多世代の交流に寄与することを目的に設置されている。
本議案に反対する理由の第一は、料金改定に際し、利用者の声を聞いていないことや検討会の内容について区民に説明していないことである。両生涯学習センターは、年間15万人が利用し、シニア世代の学習支援やボランティア・市民活動、青少年など幅広い世代への支援を行ってきた施設である。それは、区民の財産であり、使用料のあり方は広く区民の声が反映されるべきである。しかし、行財政改革によって4年に一度見直すこととし、区が一方的に決める仕組みを改め、区民の参加を保障すべきである。
第二に、原価が下がっているのに料金が引き上がっていることである。両生涯学習センターのホール、会議室、和室など33項目のうち27項目の料金が引き上がり、そのうち26項目の原価が下がっている。例えば、大原生涯学習センターのレクレーションホールは、原価が803円下がっているにもかかわらず、200円の引き上げとなっている。
それは、原価に対する負担割合が80%以下の施設を一律引き上げることとしたことによるもので、利用者の理解は得られない。
そもそも、施設の維持管理も含めて大部分の行政事務は、憲法で定められた租税で賄うというのが大原則である。その上で、使用料は税外負担を定めて取ることができるという考え方からすれば、当然低廉で安価であるべきで、負担割合の基準を80%で考えること自体が適切ではない。
第三に、料金改定の算出根拠となる原価に、人件費や減価償却費まで含んでいることである。本来減価償却費は建物全体に係るもので、一部分を切り取るものではない。また、人件費は公務労働である以上、様々な対応を求められる。その一部を按分できるものでもなく、税金で負担すべきである。
以上の理由で、本議案に反対する。
2016年9月28日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年9月28日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第106号 中央図書館基本構想についての区民説明会への坂本区長の出席を求める陳情
2 意見の要旨
本陳情は、区がすすめる中央図書館基本構想に基づき、中央図書館の平和公園移転についての区民説明会に坂本健区長の出席を求めるものである。
区はこれまで、基本構想の策定にあたり、7回の区民説明会と、2回の区民懇談会を行い、「地域住民や公園利用者に対し、丁寧に説明してきた」としている。
しかし、先日の文教児童委員会で、中央図書館長は、「一方的な説明が多く、十分な意見交換や議論の場がなかったことは区として認識している」と答弁しており、これまでの住民説明会や区民懇談会で区民の理解が得られたとは言い難い。
中央図書館基本構想をめぐっては、区民参画での検討を行う姿勢やプロセスが欠落している。中央図書館を平和公園に建設することありきで進めてきたこと、移転に際して、住民説明会や意見交換会の仕方、利用者アンケートや団体利用調査などが遅れたことなど、区の進め方に対して区民から疑問の声があがっている。
また、住民、公園利用者には賛否両論の意見があり、現段階で住民の合意形成が図られていない。公園利用者や議会の要求のもと行った調査結果は、「図書館を新しく建てることは賛成だが、公園にある木々はなるべく残してほしい」、「図書館の建設は基本的は反対だが、建設面積が10%以内と配慮していることもわかったので、使いやすい図書館にしてほしい」、「この公園に図書館が来れば近くて便利なので嬉しい反面、公園を今のままのスペースで残してほしいから、ここへの移設は賛成・反対が半々の気持ち」など、さまざまな意見が寄せられている。
調査結果などから、「公園内のどこに図書館が建設されるのか」「規模はどのくらいか」「駐輪場はどうなるのか」など、住民の不安は解消されていない点である。図書館の設置場所、敷地面積など、具体的な計画案は今年12月に示される。ここからの取り組みが、区と住民との合意形成を図る本気度が問われる。これまでの進め方に欠落していたプロセスを補うには、責任者である区長が自ら住民に説明し、直接住民の声を受け止めるべきである。よって、本陳情の採択を求める。
2016年9月28日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年11月30日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第108号 なります児童館の運営についての陳情
第1項 相談事業充実の件
2 意見の要旨
本陳情第1項は、なります児童館の相談事業において、相談事業を実施していない時間帯でも、気軽に相談できるよう職員体制の充実、環境整備を求めるものである。
なります児童館の相談事業は、月曜日から金曜日まで専任相談職員が常駐し、午前中は10時から12時まで、午後は1時から2時半まで相談に対応している。また、専任相談職員の相談事業が行われていない時間帯も保護者の要望があれば他の職員が相談に応じていると区は説明している。
一方、今年3月に閉鎖された、なります012広場の相談事業は、午前10時から12時まで、午後は1時から4時まで行われ、いつでも身近に相談できる環境があり、利用者は1日平均36.7人、相談事業利用者は2.3人であった。
新しくなった、なります児童館は、1日平均利用者は124人で相談事業利用者は平均7.3人であることから、いつでも気軽に相談することが難しくなっているのが現状である。
これまでなります012広場で行ってきた様に、午後4時までの相談体制に拡充するべきである。また、児童館を利用する保護者に対し、事業の周知や声かけの改善を図り、気軽に相談できる体制を整えるべきである。
よって、本陳情の採択を求める。
2016年11月30日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2016年11月30日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
請願第1号 板橋第九小学校の統廃合に関する請願
2 意見の要旨
本請願は、板橋第九小学校の統廃合計画の凍結を求め、関係する地域の5つの町会・自治会から提出されたものである。
学校は、子どもの教育を中心に、地域のコミュニティや防災上の役割を果たしてきた施設である。その歴史から考えれば、ひとつの小学校をなくすことは、非常に重く慎重に検討されなければならない。また、学校の適正規模適正配置の答申に基づく協議が行われるべきである。
しかし、委員会質疑では、協議会での検討のあり方が十分深まっているとは言い難い。また、答申に基づく「望ましい学級規模」の一学級あたり20~30人あたりの規模にした場合の板橋第九小学校を含むCグループの教室数がどうなるかについて、明らかにならなかった。現段階において、統廃合するべきかどうかの判断をするべきではないと考える。
委員会では継続が否決されたため、採択を主張した。
第一に、この請願が、統廃合に対する判断ではなく、「凍結」を求めているからである。
Cグループにおける協議会では、「子どもの数が減少すること」が前提で議論されてきている。しかし、この学校は、2016年度の新入学生は、昨年より4人増加し13人が入学し、来年度も16人の入学希望者が生れている。また、この地域はマンション建設などの予定も多く、子どもの人数は今後も増加することが見通されている。前提が崩れた以上、子どもの人数や入学者数の推移を見守るべきである。
第二に、小規模校によるメリットを検証し、学校の規模について答申に基づく方針とするべきである。
学校配置調整担当課長は、小規模校によるメリットを「ひとりひとりに目が届きやすく、きめ細かな指導が行いやすい。個別の活動機会を設定しやすい」と示している。それは、「集団の中で多様な考えに触れる機会、切磋琢磨する機会が少ない。集団教育に制約が生じる。多様な学習指導形態をとりにくい。」とするデメリットを大きく超えるものと考える。むしろ、デメリットは、他の学校との連携や教員配置の工夫で解消できるもので、『教育の向上』を目指すなら、小規模校のメリットをさらに検証し、全ての学校に生かされるべきである。
また、適正規模適正配置の答申では、早急な対応を要する学校とは「複式学級が避けられなかった場合」とされている。答弁では「入学率と住民基本台帳に登録されている数を見ると複式学級はあらわれない」と示された。にも関わらず、統廃合の結論をだすことは拙速だと考える。本来であれば、学校をなくすかどうかの協議に入る前に、学区内の子どもが入学しない理由の検証や学区の変更など入学者を増やすための教育委員会による努力を最大限行うべきである。当面、複式学級が現われない状況から考えても、現段階は、入学者数を増やす努力を行うべき時期と考える。
第三に、「協議会」の進め方が統廃合ありきで進んでいたのではないかと考える。
答申で求められている「協議」は、統廃合するかどうかではない。地域といっしょに、複数校を交えて、学区の変更や地域の協力で過小規模化をどうしたら防ぐことができるのか、話し合うことである。過去の大山小学校廃校に向かう協議では、その協議のあり方が「統廃合ありき」で進められてきたことに多くの批判が起きた。今後の協議にはこのことを教訓とすることを表明してきたにもかかわらず、板橋第九小学校の協議に生かされていない。本来、協議の前提は、統廃合するかしないかだけでなく、当面推移を見守ることも選択肢として慎重な審議が行われるべきである。
本請願には、7,730筆の署名が寄せられたことを区議会は重く受け止める必要がある。署名は、その一つ一つが、「学校がなくなる」ということに対する住民の思いが込められている。それは、地域や学区を限定するものではない。板橋区教育委員会が小学校の廃校についてどう考えているのか、そのことに対する声である。また、請願には当該小学校に関わる5つの町会・自治会からの要請である。その声が、統廃合の判断を是か非かではなく、一旦凍結することを求めていることに、区議会は慎重な判断をするべきである。
以上の理由で、本請願の採択を求める。
2016年11月30日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2017年2月20日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第19号 東京都板橋区立学校設置条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、板橋第九小学校及び向原中学校を廃校とし、上板橋第二中学校の住所を向原中学校の場所へ変更するものである。
反対する理由の第一は、統廃合ありきの協議会運営であるということ。
区教育委員会は、子どもの人口が2020年をピークに減少する事を前提に、現在、小規模となった学校を周辺校や地域の自治会・町会などと話し合う協議会を設置し、廃校の是非を検討してきた。
向原中学校は、2014年7月から2016年2月まで、板橋第九小学校は、2015年2月から2016年3月までの間、協議会が開催され検討が行われてきた。
しかし、学校の入学者数を増やす努力は、情報提供や保育園・幼稚園に働きかける程度に留まるもので、学区の変更など抜本的対策について、「できない」ことが前提で進められ、具体的な検討すら行われていない。
また、教育委員会事務局が協議会へ提案した内容は、廃校するしかないものとなっている。向原中学校では、A案・B案・C案の全てが「統廃合して、どこに新校舎を建設するか」の選択肢しかなく、板橋第九小学校では、A案・B案は「統廃合」・C案は「新年度46人以上入学」があれば、「協議休止」として、統廃合しかありえない選択肢となっている。協議会参加者からは、「A案でもB案でもC案でもない。統廃合をしたくない」と発言する人もいたことが報告されている。区教委は「協議会は、統廃合が前提ではない」というが、選択肢が統廃合しかないということが、「統廃合ありきの協議会運営」だと言わざるを得ない。本来なら選択肢の一つに「当面、入学者の推移を見守る」や「統廃合しない」などのD案が示されるべきである。
第二の理由は、学校を減らすことは教育の充実にはならないということ。
2012年に示された「区立学校の適正規模及び適正配置」答申の考えでは、教育上望ましい学級規模は「20人~30人」と書かれている。しかし、区教委は「人件費と教員の確保が難しい」ことを理由に望ましい学級数にすることは国と東京都の動きを待つとしている。
学校をなくすことを検討するより、答申の謳う「生きる力を育成するための教育環境の整備」の実現こそ取り組むべきである。例えば、板橋第九小学校含むCグループ(板一・中根橋)では、30人学級とすれば、5学級、3学級とクラス数が増加することも明らかになっている。答申が求めている学級規模数への努力も行わず、現在の入学数だけをもって廃校することは、「適正規模・適正配置」とは言えない。
第三の理由は、学校はなくしてしまえば戻らないということである。大山小学校の廃校後、跡地にマンションが建設されるというお粗末な結果を生んでいる。子どもが増え、結果として周辺校は「マンモス校」となり得る状況を生んだ教育委員会の責任は重大である。
それは、板橋第九小学校も同様で、Cグループ(板九・板一・中根橋)の地域は、マンションなどの建設で児童数も増加している。今後の児童人口から考えても、学校をなくすことは、結果として学校をなくせば、新たな大規模校を生み出しかねない。これまでの学校統廃合のあり方や結果について、教育委員会として検証し、総括すべきである。
そもそも、板橋第九小学校も向原中学校が小規模化したのは、学校選択制が引き起こしたものである。同時に、協議会が設置されたことを受けて入学者がさらに減少する傾向を生んだのは、教育委員会の責任であり、学校に通う子どもたちや、その父母、地域へ、その責任を押し付ける統廃合は行うべきではない。
以上の理由で、本議案に反対する。
2017年2月20日
文教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2017年2月20日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
陳情第121号 板橋第九小学校の統廃合計画に関する陳情
2 意見の要旨
本陳情は、小規模化を理由として、板橋第九小学校の適正規模及び適正配置に関する検討をするために設置され、終了した協議会を再度開催することを求めるものである。その理由は、協議会検討時と前提条件が変わっていることである。
協議会は、板橋第九小だけでなく、周辺校の中根橋小・板橋第一の関係者も含めて設置され、検討が行われ、2015年2月から2016年3月までの間、開催された。本陳情に賛同する第一の理由は、協議会の前提条件が変わっているという主張である。そのひとつが、児童の入学数に関するものである。協議会では、児童数について2020年度までの入学児童数の資料で判断したものの、この間のマンション建設などもあり、2022年度まで、子どもの人数が増え続けることが明らかになっている。二つに、学校統合のあり方でも協議会当時とは、変更されていることである。2015年12月に開催された第11回協議会で、区教委が示した「『統合年度』『統合校』等に関する提案について」では、「2.統合校について 板橋第一小とする」と明記されている。その他のところでも、「基本的には板橋第一小へ通学することになるが、通学距離や教育的な配慮により、近隣校への通学を希望する場合は、通学できるように配慮する」と示されてる。区教委は、「板橋第一小のみとは言っていない」というが、協議会が最終的にまとめた「意見書」でも、「板橋第一小と統合する」と謳っていることから考えれば、誰もが、協議会終了後に方針を変更したと考えるのは道理である。賛同する第二の理由は、協議会委員から提出されているということである。当事者から、条件が変わっているという問題提起がでていること自体が、協議会運営の事務局役を担当した区教委の姿勢に大きな問題があると考える。それは「誤解を生じさせた」という問題ではない。賛同する第三の理由は、再検討すべきということである。協議会参加者は、積極的に廃校に賛成するものはなく、口をそろえて「いたしかたない。」と話している。学校をひとつなくすことは、とても重大なことで、廃校を決定する事実の変更は、到底、理解は得られない。また、その重い判断をさせた上に、再検討を求める声があがっているのは教育委員会の責任である。その責任を果たして、再検討すべきである。以上の理由で本陳情を採択する。
2017年2月20日
教児童委員 いわい 桐 子
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2017年9月27日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第47号 東京都板橋区保育所等の保育費用に関する条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、認可保育所など区が定める保育料について、現行の保育料より、5.7%の値上げを行うものである。
区は、値上げの理由として、児童一人当たりの保育所の運営経費が増加傾向にあること。また、保育所運営経費に占める保育料の割合について、現在の10%から23区平均値(13%)を目標とし、段階的に引き上げるとしている。今回の改定により、保育料割合は11.5%となり、約1億4400万円の負担増が見込まれている。また、全体の88%の世帯が値上げとなる。
そもそも、保育料の算定に施設整備費や人件費を含めるべきではない。本来、自治体の責任において、実施すべきものであり、保育施設利用者に転嫁することはやめるべきである。
また、保育料割合について、なぜ、23区平均を目標としたのか、その理由を示していない。23区でも、板橋区の中間所得層以上の保育料は、すでに高額であり、保育料割合を引き上げなければならない理由はなく、高額な保育料の引き下げこそ行うべきである。
区は、子育て世帯の収入の状況について、『全体として収入は上がっている』としている。しかし、教育費の負担や将来への不安から、消費動向は改善していないとの統計が出ており、家計にゆとりが生じているわけではない。また、約9割もの世帯が影響を受けるにも関わらず、説明会もパブリックコメントさえも行っていない。区は、理解を得る、または、意見を聞くという努力を、全くしていないと言わざるを得ない。
今回、低所得対策として、A・B・C階層は据え置き、D6階層から階層が下がるごとに改定率5.7%から0.2%ずつ減算するとした。しかし、D1~D5階層は、減算されたとはいえ、年額3600円から14400円もの値上げであり、家計への影響は決して小さくない。また、C3階層までは、概ね、生活保護基準の範囲内であり、本来、保育料を徴収すべきでなく、抜本的な見直しこそ行うべきである。
私たちは、本議案に対し、現行保育料に据え置く修正案を提出した。尚、本議案の第2子の保護者負担軽減措置については、わずかとはいえ、負担軽減につながるものであることから、修正を加えず、区の提案を尊重する内容となっている。
子育て世帯を応援し支えるというならば、更なる経済的負担を求めるのではなく、今の負担を少しでも軽減する姿勢に改めるべきである。
以上の理由により、本議案に反対するものである。
2017年9月27日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2018年2月20日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第18号 東京都板橋区あいキッズ条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、板橋第九小学校の廃校に伴い、同校のあいキッズを、本年3月31日をもって、廃止するものである。
反対する第一の理由は、廃止に向けた交流事業が事業者任せという点である。
板橋九小との統合に関する協議を進めてきた統合準備委員会では、あいキッズに関して、一度も議題に上がっておらず、交流事業や引継ぎのあり方について、議論されていない。そのため、学校間の交流事業は平成28年10月24日以降、昨年末までに計15回実施されている一方で、あいキッズについては、この間3回しか実施していない。これは、区が、あいキッズとしての交流事業の必要性を認識していなかったことに他ならない。子どもたちへの影響について、検討もせず、交流事業の予算措置もなく、事業者の努力に委ねていること自体、重大な問題である。
第二の理由は、板橋第八小学校あいキッズが交流対象になっていなかった点である。
板橋第九小学校の統廃合に向けた検討は、近隣の板橋一小と中根橋小を含む地域を対象に行われてきた。しかしながら、実際に4月以降に通学する学校は、板橋一小は35名、中根橋小は5名、そして25名が、板橋八小であった。板橋八小は、協議範囲に入っておらず、学校間においても交流事業はほとんど行われていない。少なくても、あいキッズとして、板橋八小との交流事業を実施するべきであった。
以上の点により、現状において、交流や引継ぎが十分とはいえないため、今年度末での廃止は止めるべきであることから、本議案に反対するものである。
2018年2月20日
文教児童委員 竹 内 愛
教児童委員 山 内 え り
少 数 意 見 報 告 書
2018年2月20日の文教児童委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第27号 幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、特別区人事委員会勧告及び統一交渉に基づき、幼稚園教育職員の扶養手当の改定を行うものである。
今回の扶養手当改定は、子どもへの手当てが6,000円から9,000円に引き上げられるが、配偶者への手当ては13,700円から6,000円へ、欠配第一子への手当ては13,700円から9,000円へ引き下げられるもので、配偶者の有無に関わらず、3人以上の子どもがいないと増額にはならない。
特定期間の欠配第一子への手当は現行よりも減額となる。改定は社会的に求められている子育て支援やひとり親家庭への支援に逆行するものになっている。
よって本条例案に反対する。
2018年2月20日
文教児童委員 竹 内 愛
文教児童委員 山 内 え り