山内えり

インクルーシブな社会の実現、感染症専門病院、国の公的責任で入院治療を求める等少数意見 2021.3定

2022.01.12

少 数 意 見 報 告 書
2021年8月24日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。

1 事 件
陳情第137号 インクルーシブな社会の実現に向けた福祉に関する陳情
           第2項 療育機関等誘致・整備の件
           第3項 移動支援の件
2 意見の要旨
本陳情は、日頃から配慮を必要とする子どもに対して、必要な福祉サービスが実施されているとはいえない状況であり、あらゆる子どもたちが適切な支援を受けられるよう、一人ひとりの能力に合わせたインクルーシブな社会の実現を求めて出されてきた陳情である。
まず第2項は、配慮を必要としている子どもの保護者が、身近なところに相談ができる、利用ができる療育機関や施設を求めている。具体的に中学校区域に1か所以上の誘致・整備を求めているが、これは中学校区域に1か所の設置と限定しているのではなく、1か所以上は必要だという願いとして受けとめられる。
現在、板橋区内には相談支援の窓口については不足していることを区も認めているところである。また児童発達支援事業所も放課後等デイサービスも、相談支援事業所もない区域は中学校区別でみると2か所とのことである。しかし、療育機関という点でみると、就学前の子どもにとっては、まだまだ不足しているのが実態である。さらに専門性のある相談機能という点でみても不十分であることは否めない。
また、区としての必要性や方向性の認識は本陳情の願意と違うものではない。しかし、豊島区のような地域別の事業や施設の配置計画を未だたてていないなど、現状に照らすと具体的な計画という点で問題、課題が指摘される。
次に第3項については、現在、歩行が困難な場合は福祉タクシー券が支給されるが、知的障害児や発達障害の子どもへの支給はない。こうした点からも療育施設への送迎の必要性は言うまでもない。現時点では保護者への重い負担となっており、早期の改善が必要である。
障害者差別解消法の改定により、合理的配慮の否定も差別として受け止められる。どの子も発達・成長できる条件整備は合理的配慮として行政の責務と考える。本区として、障害のあるないにかかわらず、地域で一人ひとりの能力に応じたインクルーシブな社会へ強力に整備を進めることが必要と考える。
よって、本陳情第2項及び第3項を採択すべきである。
2021年8月24日
健康福祉委員  かなざき 文子
健康福祉委員  山 内 え り

 

少 数 意 見 報 告 書
2021年9月24日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。

1 事 件
陳情第157号 感染症専門病院を設立すべきと板橋区議会は意見書を提出することに関する陳情
2 意見の要旨
本陳情は、現在国内における感染症対策を担っている医療機関は公的病院に偏り、過度の負担がかかっている状況である。よって、大都市圏に公的感染症専門病院を設立するよう国への意見書提出を求めている。
新型コロナウイルス感染症は、感染症分類でいくと2類になっている。通常の感染症対策としては、感染症法に基づき分類された指定医療機関での治療となる。しかし、今回のような感染爆発の事態では医療機関の逼迫状況から多くの医療機関で受け入れざるを得ないのが実態である。
公的医療機関に感染症対策を担う医療機関が多い背景について、保健所長からは「感染症の場合、いつでも受け入れられる体制、またいつでもベッドをあけておかなければならないということ、防護服などの感染予防の費用も必要になり、採算性はあまりよくない疾患なので民間は受けづらい」との説明があった。このことからも、感染症対策はどうしても公的医療機関が担わざるをえないということが明らかとなった。
本区では、コロナの専門的医療機関として、豊島病院が多くのコロナ感染患者を受け入れているが、そのために通常行ってきていた様々な一般診療を縮小もし、一般の救急患者についても、この間は受け入れを停止している状況である。閉鎖病棟を増やしての対応を続けており、病院経営に関して言うならば、大きな負担となっている。コロナが収束した場合、縮小した診療科目などへの患者や医師がすぐに戻ってくるかといえば、それは非常に厳しいと言わざるを得ない。総合医療機関として、地域に根差して積み上げてきた豊島病院が、収束したからすぐ元に戻るかといえば、それは厳しく、そのためには大きな力とかなりの時間がかかることが想定される。
こうしたことに鑑み、感染症専門医療機関の設置の必要性について、国に意見をあげて検討を求めるべきと考える。
よって採択を主張する。
2021年9月24日
健康福祉委員  かなざき 文子
健康福祉委員  山 内 え り
 

少 数 意 見 報 告 書
2021年9月24日の健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。

1 事 件
陳情第167号 陽性者の「自宅療養」をやめ、国の公的責任で臨時病院の病床増で入院治療を求める意見書提出についての陳情
2 意見の要旨
本陳情は、新型コロナウイルス感染拡大のもと、医療逼迫、医療崩壊という危機的な事態が押し寄せてくる中、政府が発した「自宅療養」という方針がだされ、守ることのできる命が守られないことになること、さらに感染症の放置となり、家庭内感染、地域感染を広げてしまうことを止めるため、国に対して公的責任の下臨時病院の病床増で入院治療を求めて意見をあげてほしいという願意のもとに出されている。
陳情にもある通り、日本医師会の中川俊男会長は8月18日の会見で、新型コロナウイルスの中等症患者を対象に、「大規模イベント会場、体育館、ドーム型運動施設などを臨時の医療施設として、集中的に医療を提供する場所を確保すること」を提案した。また、第5波の中で全国的に酸素ステーションの設置などがすすめられてもきた。
また、区長会としては、8月23日に都知事に対して医療体制の充実と保健所への支援という形で申し入れをしていることも区の説明で明らかとなった。こうしたことからも、本陳情のいうように、議会としても意見を国に対して出すことが重要と考える。
委員会の中で、無症状者まで入院させることは現実味がないという意見があったが、この間感染を広げている一つの要因として、無症状者が家庭内、あるいは職場等で感染を拡大しているという実態を見るならば、自宅における療養ではなく、適切な医療的管理が行われる隔離した環境が必要と考える。また、自宅療養中に急変して命を失う状況からしても、原則、感染者については、入院あるいは宿泊療養が必要と考える。
そのためにも検査の大幅な拡充は欠かせない。また、ベッドはあっても、必要な医療スタッフが不足しているがために、入院受け入れが難しい側面が出ている。
こうした状況から、第6波にも向け、医療体制の強化、医療従事者に対する支援の強化、検査の大幅拡大で感染の拡大を抑えることが重要と考える。
よって、本陳情の採択を求める。
2021年9月24日
健康福祉委員  かなざき 文子
健康福祉委員  山 内 え り

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