1.核兵器廃絶に向けた取組について
2.教育について
(1)小中一貫教育について
(2)奨学金制度の拡大を求めて
3.保育の充実を求めて
(1)保育園の遊び場について
(2)午睡中の事故を防ぐために
(3)待機児対策について
4.「住まいは人権」の立場に立った住宅政策を
5.子どもの遊び場について
6.20代からの区民健診を
7.加賀福祉園児童ホームの水漏れ事故について
ただいまより、日本共産党板橋区議団を代表して、一般質問を行います。
はじめに、核兵器廃絶に向けた取り組みについてです。
私は、今年の8月5日から6日にかけて広島議員派遣に参加しました。5日に開催された80代女性の被爆体験を聞く会で、中学生との質疑応答のなかで、「戦後、最も嬉しかったことは、兄弟に子どもができたこと」「70代後半まで働いて人の役に立てたこと」という言葉がとても印象的でした。原爆投下によって何もかも失ってしまったからこその気持ちが伝わってきて、改めて核兵器使用に対する憤りの気持ちや二度とこんな思いをする人たちを作ってはいけないと思いました。
今年、5月27日、アメリカの現職大統領として戦後初めてオバマ大統領が広島を訪問しました。平和資料館を訪れ、追悼の献花を行い、追悼のスピーチを行いました。米大統領の広島訪問は大変意義のある前向きな一歩となる行動です。一方、「被爆者への謝罪の言葉がなかった」「資料館の滞在時間が短かった」など、被爆地・被爆者の思いを反映する声もあがりました。被爆国として改めて、「核兵器のない世界」へ具体的な行動を起こすことが求められています。
ところが、安倍首相は、オバマ大統領が検討していた核兵器の先制不使用政策について、「米政府が核先制不使用を宣言すれば、核開発を続ける北朝鮮などに対する核抑止力に影響が生じ、地域紛争のリスクが高まる。」として反対の意向を直接伝達したと報じられました。唯一の被爆国として核廃絶を訴えながらも、核兵器の役割を低減する政策に首相自らが反対したことになります。
安倍首相は広島と長崎の平和式典で、「核兵器のない世界」に向けて「努力を重ねていく」と述べたにもかかわらず、今回のような意向を表明したことに対し、広島、長崎の被爆者から、「被爆地の思いに逆行する」と怒りと批判の声が上がっています。
平和都市宣言を掲げている板橋区の首長として、総理の 姿勢に抗議をすべきと考えますが、区長の認識を伺います。
戦後71年となり、被爆者の平均年齢は80歳を超えました。核兵器使用の恐ろしさ、むごさを直接伝えられる方が減っています。残された時間もあまりありません。被爆者の思いを無駄にすることないよう、残された私たちの核兵器廃絶へ向けた取り組みが重要です。
「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」が今年から始まり、私も署名しました。この署名運動は、2020年まで世界の数億人を目標に、毎年の国連総会に提出する国際的な共同行動です。世界規模での取り組みを大いに歓迎するものです。
そこで、区長にも、ヒバクシャ国際署名に署名していただきたい。また、他自治体の首長に呼び掛け、拡げていただきたいと考えますがいかがでしょうか。
次に小中一貫教育について質問します。
先日、港区立小中一貫教育校 白金の丘学園を視察しました。元々あった中学校の土地に近隣の小学校2校が加わり、施設一体型の小中一貫校として昨年よりスタートしました。校舎は6階建て、人工芝の校庭が3階にあり、広い敷地に1年生から9年生が過ごします。
対応していただいた校長先生は、「当初の予想を大幅に上回る児童が入学し、教室が足らず、オープンスペースを教室に変更した。9割の児童が中学受験し、6割の児童が他校へ行くため、中学1年にあたる7年生で生徒が減少する」などの話をされました。
昨年、6月に学校教育法が改正され、今年4月より小中一貫の「義務教育学校」が法制化されました。これまでの小学校、中学校以外に「義務教育学校」という新たな学校種が加わったかたちです。2014年の中教審答申では、小中一貫教育を導入するのかどうか、「義務教育学校」制度を導入するかしないかは自治体の任意とされています。
一方、板橋区は、2010年度から、中一ギャップによる不登校の改善を目的に、施設一体型の小中一貫校ではなく、各学校、園の状況に応じた「保幼小中連携教育」を進めてきました。しかし、新しく示された「いたばし学び支援プラン2018」には、目標に「義務教育学校を設置することにより、これまでの保幼小中連携教育を一層発展させ、子どもたちの心の安定と学力の向上に資する」とあり、施設整備に向けた検討が示されています。今年から板橋でも『小中一貫教育に関する検討会』を立ち上げ、すでに3回開かれたと聞きました。
そこで伺います。
これまでの保幼小中連携教育の評価について区の見解を求めます。
なぜ、今、小中一貫教育に関する検討が進められているのでしょうか。板橋区での小中一貫教育の必要性についておこたえください。
板橋区教育委員会が設置した『小中一貫教育に関する検討会』での、他自治体の検証事例によると、「全体的に教員の負担過重・多忙化が進み、小中一貫教育を取り組むための支障が大きくなった」「独自の教科(国際コミュニケーション科)の取り組みが、教員の個人的努力や頑張りに支えられている状況」と、今でさえ忙しすぎる教員にさらに多忙感を広げることが指摘されています。
子どもの発達面では、5~6年生に、「小学校高学年にも関わらず、リーダーシップが育たない」「幼い」、「7年生は中学生の自覚が薄い」等の【小5ギャップ】という新たな課題が生まれています。また、検証資料の中で、大規模校になる影響で、自分の得意・良さを発揮する場面が少ないためか、「自分の良いところを伸ばそうと頑張っているか」との質問に対し、「肯定的な回答をする割合が少ない」なども挙げられています。多くの学校が、“小中一貫教育のための時間の確保”や“負担感・多忙感の解消”を「課題」と認識しています。そうした「課題」が認識されている一方で、その解消のための対応は必ずしも進んでいない状況が明らかになっています。
区は自らが検証した「課題」についてどう認識していますか。おこたえください。
小中一貫教育では、中学校の教員が小学生の教科別授業を行うなど、現在の教育システムとは異なる仕組みとなっています。しかし、そのための研修や準備時間は保障されていません。教職員の多忙化の解消にもならないことは教育の充実とは言えません。
また、現在の不登校や中一ギャップ等に対して、必ずしも小中一貫教育が有効かどうかの検証は不十分です。庁内検討会でなく、教育の専門家や研究者を加えるなど、開かれた検討を行うことを求めるものです。様々な「課題」が十分に検証されないなかで、経費削減のための学校統廃合を理由に拙速に結論を出すべきではありません。
次に、奨学金制度の拡大を求めて質問します。
「夫が奨学金を返済していることを、住居を新築するときに知り、とてもショックだった。奨学金とはいえ、借金は借金。離婚も頭をよぎった。」という話を最近になって知人数人から聞き、私の周辺で、今も奨学金を返済している人がいることがわかりました。私も奨学金を借りた一人です。多額の借金を背負うことをためらい、私は短期の大学を選ばざるを得ませんでした。また、正規雇用の仕事に就かねばと必死だったことを思い出します。
奨学金は、1998年から2014年の間に、貸与額で4.9倍、貸与人員で3.7倍に拡大し、いまや学生の2人に1人が奨学金を借りています。
今、奨学金を借りると、平均で300万円、大学院進学など多い場合は1000万円を超える借金を背負って社会人をスタートします。しかし、非正規雇用の増大などで卒業後の雇用・収入は不安定になっており、総務省の就業構造基本調査によれば、大学・短大などを卒業した30~50代の3分の1以上が年収300万円以下の賃金で働いています。
一方で、大学の学費は上がり続け、初年度納入金は国立で83万円、私立は文系約115万円、理系約150万円にもなり、教育費負担は重くのしかかっています。このため、学生生活に深刻な影響が及んでいます。文部科学省の調査でも、「経済的理由」で中退する学生が増えています。多額の借金を恐れて奨学金を借りずにバイトに追われる学生や、進学自体をあきらめる学生も増えています。
こうして大学進学のためには奨学金に頼らざるを得ない若者が増え続け、学びたくても学べない、奨学金の返済を気にして大学進学をあきらめざるを得ない状況が広がっていることを区長はどのように考えていますか。認識を伺います。
日本の教育予算は経済協力開発機構(OECD)諸国34か国の中で最低の水準です。高い学費の要因として、国立大学が法人化された後、運営費交付金が12年間で1470億円も削減されるなど、国立大学への交付金や私立大学への私学助成の削減が背景にあります。日本は大学の学費が世界有数の高さであるのに、返済しなくていい給付奨学金がない異常な状態になっています。
こうしたもとで奨学金を借りた既卒者の8人に1人が滞納や返済猶予になっています。奨学金の返済は、期日から1日でも遅れると5%の「延滞金利息」が上乗せされ、滞納が3か月以上続けば、金融の「ブラックリスト」に載せられます。
国は世論に押されたかたちで、2018年度実施に向けて「給付型」の奨学金制度の検討を始めています。しかし、対象者をごく一部の世帯に限定する内容です。「家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが進学できる」という理念を実現するためには、できるだけ制限をかけないことが必要です。国の検討を待つ姿勢を改めるべきです。
区の貸付資金制度を活用し、独自の返済不要の奨学資金制度を検討すべきと考えますがいかがですか。
次に、福祉修学資金制度について伺います。
現在、板橋区には、区内の医療施設・福祉施設において介護業務や訓練業務等に従事しようとする方に修学や就業に必要な資金を貸す福祉修学資金制度があります。人材確保を図ることを目的とし、社会福祉士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・機能訓練士・歯科衛生士において、制度が受けられます。区は、「今後も続くであろう高齢化社会の下においては、制度の存続意義はあると考えている」としています。介護業務や訓練業務に欠かせない資格として、患者さんの嚥下機能や咀嚼のチェック、食形態の決定において重要な役割を果たしている言語聴覚士や管理栄養士等があります。これら専門職の育成は、本制度の目的にも適しています。しかし、福祉修学金制度の対象外となっています。
現状の6種の資格に限らず、この制度を利用できる職種の枠を拡大してほしいと考えますがいかがでしょうか。
区の制度には、条件により償還免除の規定があります。修学資金では、「対象職種の資格取得後、1年以内に区内の医療施設等に就業し、引き続き5年以上従事すること」、就業支度金では、「就業支度金借受後、引き続き5年以上区内の医療施設等に従事すること」とあります。
償還免除の条件に「区内の医療施設等で従事する意思をお持ちの方」とありますが、就業先を区内に限定することでこの制度を利用できる方が限定されてしまいます。区民であれば利用できるようにしていただきたいのですがいかがでしょうか。
次に、保育の拡充を求めて質問します。
まず、保育園の遊び場についてです。
私はこの間、保活を2年間続け、ようやく今年の4月から認可保育園に入ることができた3歳児のお母さんから保育園での過ごし方や夏の水遊びについての相談を受けています。
相談内容は「保育園に園庭がないため、外遊びさせてもらえません。夏場の水遊びも園内のシャワーを浴びるか、ベランダのビニールプールで水を体にかけておしまいです。認可保育園なのにこうした状況があることは区としてどう考えているのか」というものです。
先日、相談のあった保育園を視察しました。この保育園には看板も案内表示もなく、周辺住民のなかには園があることを知らない人もいます。ビルの2階に保育園があり、園庭も屋上もありません。園長によると、「近くに公園はいくつかあるが、すべて徒歩で20分ほどかかるため、熱中症を気にする保護者の声も受けて、7月から8月の夏場はほとんど散歩をしていない。水遊びは、室内のシャワーか、ベランダのビニールプールで行うが、近所に迷惑が掛からないよう、短時間しかできない」とのことでした。
「外遊びも水遊びもできない。同じ認可保育園なのに不公平だ」という保護者の声にどう応えるのですか。お聞かせください。
子どもは外遊びを通して「におい・質感・感触・色・温度・痛み」などさまざまな感触を養います。また、自分たちで遊ぶものや遊び方を決め、限られた人・限られたものでいかに楽しく遊ぶか考える想像力や発想力が鍛えられます。他の子とやりとりする機会が増え、コミュニケーション能力や集団のルールを学ぶこともできます。目や耳、皮膚感覚など、五感を通して自然のものと接していくなかで、様々な物事に対する認識を深めていきます。
夏の暑い時期は、水に触れて「気持ちよさ」を感じ取ることができます。しずくが光に反射してキラキラ輝くのを見たりするだけでも不思議がって喜びます。水のように可塑性が高い素材に触れて遊ぶことは子どもの発達にとっても大切なことです。
区は、水遊びの必要性をどのように考えていますか。見解を求めます。
国の認可保育園の遊び場の敷地基準は、「一人当たり3.3㎡×当該園の2歳児以上の人数」とあり、この基準を満たさない保育園は代替の公園などを設定しなければなりません。国は、設定する公園として、トイレ・水飲み場等がある場所が望ましいとしています。しかし、保育園から代替の公園までの距離や徒歩での時間設定の基準がありません。また、複数の保育園が同じ公園を代替地として設定し、利用した場合、一人当たり3.3㎡という基準が守れない可能性があります。
調べてみますと、区内の認可保育園で、園庭が敷地内にあったとしても認可基準に満たないため、公園や児童遊園を代替場所にしている園は40園あり、そのうち全く園庭のない保育園が12園あることがわかりました。小規模保育園などはほとんど園庭がありません。代替場所として設定している公園と保育園の距離を地図上で落とすと、300メートルから600メートルの範囲になっています。代替場所と言うなら、園児を連れて行ける身近な場所でなければなりません。しかし、先に述べた通り、実際には外遊びや散歩ができていない園があるのです。
現在の代替場所が日常的に外遊びする代替地として適しているか調査し、対策をとるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、午睡中の事故を防ぐために質問します。
9月2日、区内の認可保育園で1歳男児が午睡中に死亡する事故が発生しました。突然子どもを失った保護者の悲しみは計り知れません。その後の司法解剖の結果、死因は不明とのことであり、現在、事故の原因については調査中です。原因解明と同時に、どうすれば事故を防ぐことができるのか、取り組みが求められます。
厚生労働省によると、全国の保育施設で子どもが死亡する事故はH26年には17件報告され、そのうち11件が午睡中の事故で、最も多いと言われています。厚生労働省が示している認可保育施設指導監督基準では、睡眠中の子どもの顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察するよう示され、特に医学的な理由で医師から“うつぶせ寝”をすすめられている場合以外は、0・1歳児の“うつぶせ寝”の禁止、見回り、呼吸の確認の徹底 とあります。昨年4月から、保育施設などで事故が起きた場合、自治体への報告が義務づけられ、今年4月からは、事故後に、事故の起きた背景を探り、再発防止に生かすための検証が行われることになりました。保育施設を指導監督する立場にある自治体が、再発防止の提言を行うことになっています。
午睡中における保育士の業務や体制について調査を行い、0・1歳児をうつぶせに寝かせないことや、子どもが寝ている間に保育職員が部屋を離れないことを保育事業者に徹底していただきたい。区の見解を伺います。
事故のあった保育園は、当日の職員配置について、「69名の児童に対し、11名の保育士が保育にあたり、法令上、定められた職員配置を行っていた。睡眠時の呼吸チェックは0歳児については、5分に1度、1・2歳児は10分に1度行い、確認したことを示すチェック表も記載していた。うつぶせ寝の防止も徹底していた」と報告しています。
死亡事故の6割は認可外施設となっていますが、国が定める保育士の設置基準を満たしている施設でも死亡事故が起きていることを危機感を持って受け止めるべきです。
保育事故をめぐって今年の3月、国は事故防止のガイドラインを発表しました。しかし、現場からは、「周知されていない」「人員不足で徹底できない」といった声が、あがっています。
区として、保育士の加配を行うなど再発防止に向けた対策をすべきと考えますが区の見解を求めます。
次に待機児対策についてです。
今年5月、H28年度保育所入所状況が発表されました。今年、4月1日現在の実質待機児数は376人で昨年より2名減ったものの、認可保育園を希望しながら入ることができなかった子どもは993人にのぼります。待機児1023人のうち、97%が認可保育園を希望したことになります。
区の基本計画では5年で待機児ゼロを目指すとしていますが、どのような状態を待機児ゼロと見通しているのでしょうか。見解をお示しください。
区は、待機児童対策として、今年10月から来年度に向けて、前倒しで3園を含む8園の認可保育園と5園の小規模保育所開設へ向けて取り組み、740名の定員拡大を行うとしています。しかし、今年4月現在の待機児童は0歳から2歳児の低年齢児が864名、87%いることからしても、現状の計画では全く間に合いません。待機児童が解消されない要因として、待機児の定義に問題があることは否めません。
国が言う「待機児」は育休中や他の保育施設を利用している場合は含まず、保育を利用できていない児童に限定し、いわゆる「実質待機児」と定義しています。この定義から除かれている児童は「隠れ待機児」と言われています。この乖離を指摘され、国も定義の見直しを検討しています。
実質待機児をゼロにしても、待機児解消とは言えません。私たち区議団は、第一次申し込みで入所が決まらなかった人を基準に1300人分の定員拡大が必要と提案しています。
待機児解消は、希望する認可保育園に入れていない子どもを基準にし、計画の目標を引き上げるべきです。区の見解をお示しください。
大規模なマンションが局地的に建設され、今後も人口増が見込まれる地域もあります。
JR板橋駅前のB用地に保育所の開設計画を盛り込んでいただきたいと考えますが、見解を伺います。
新規開設が急増する中で保育の質をどう確保し、向上させるかが問われています。
世田谷では、昨年3月、保育の質を守る指針「世田谷区保育の質ガイドライン」を策定し、公開しています。ガイドラインでは、「子どもを中心とした保育」を実践するための基本的な指針として、「行政や事業者の果たすべき責任と役割を定め、保護者の参加、参画を推進すること、地域の資源を生かしながら包括的に支えていく仕組みを構築することにより、保育の質の向上を目指す」としています。当区でも、量だけなく、質についても基準を持つべきです。
板橋でも区独自の基準を作り、公開していただきたいと考えますが、見解を求めます。
次に、「住まいは人権」の立場に立った住宅政策を求めて質問します。
「ひとり親です。子ども2人の成長に伴い、今の住まいでは狭くなってきた。それぞれが勉強できる部屋数、面積のある住宅を探しているが、家賃が高くて厳しい。都営住宅も検討しているが、倍率が高くて当選できない」や、「30代も半ばになり、自立したいが収入が低いため、親元を離れられない」など、住まいに関する相談が寄せられています。
働く貧困層が増え、年収200万円未満の若者の77%が親との同居で生活を維持しているとの調査があります。51%が相対的貧困状態にあると言われているひとり親家庭や、低年金の高齢者らは賃貸住宅の家賃の支払いが困難になってきています。低所得者ほど住宅費負担が重く家計を圧迫していることが浮き彫りになっています。住宅扶助費の削減で生活保護世帯も直撃しています。
こうした住まいの貧困問題をどう認識していますか。
区内には都営住宅235棟(約11000戸)や区営住宅が15棟、区が借り上げて入居者の家賃負担の軽減を図った高齢者世帯向け住宅(けやき苑)が10棟あります。
しかし、少ない募集に多くの希望者が集中します。最近の応募状況は、都営住宅は板橋区平均で26倍、区営住宅は世帯向けで18倍、単身者向けでは25倍と高く、入居はかないません。
区は、現在、住宅マスタープランを見直しています。2010年に行った区民意識調査結果は、区の住宅施策に対する要望として、「高齢者や障害者等が安心して暮らせる住宅に関する支援」や「低所得者のための公的住宅の整備」が高い割合でした。若年世帯からは「住宅に関する融資や助成制度など情報提供の充実」、「持ち家取得のための支援」、「子育て世帯が暮らしやすい住宅に関する支援」が求められており、こうした区民の声にどうこたえ、今後の住宅マスタープランに、どう反映していくかが問われています。
低廉な家賃の住宅を求める世帯を把握すべきと考えますが、区の見解を求めます。
住まいに困っている低所得者世帯への住宅供給を目的にした自治体の公営住宅は不足する一方で民間の賃貸住宅の空き家は増加しており、区内に約3万戸の空き家があります。
国土交通省は、空き家、空き室が約820万戸あることや高齢者、若者、子育て世帯などで住宅に困っている人が増加している現状を踏まえ、今年3月に閣議決定した「住生活基本計画」で、新たな住宅セーフティーネット制度の検討を進めています。しかし、具体的な施策は明らかにされていません。
住宅ストックの有効活用をかかげているのであれば、区が民間の住宅を借りあげるなどして公営住宅並みの家賃で貸し出すことや、民間住宅への家賃助成を検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
次に、子どもの遊び場について質問します。
「道路や駐車場でキャッチボールする子がいる。危ないと感じる」「子どもの遊び場が少なくてかわいそう」「今の子はどこで遊んでいるのか」「公園にいてもゲームばかり」という声がたびたび聞かれます。
一方、区のアンケート調査では、回答した小学生のうち、49%の児童が、「近所に望む施設」として、サッカーや野球ができる公園、運動場をあげています。子どもたちは自由に体を動かせる場所を求めているのです。
今年4月1日現在、板橋区には児童遊園を含む344の区立公園と3つの都立公園があります。それに対し、実際にボール遊びができる場所は、区立公園で13カ所、緑道1カ所、遊び場1カ所の合計15カ所しかなく、区内の公園全体の5%にすぎません。
区内の数ある公園のなかで、ボール遊びができる公園が限られている理由について認識を伺います。
子どもの遊び場や放課後の環境は、地域によってもさまざまな違いがあります。
区は、「小学生はあいキッズでボール遊びができる」と言っています。しかし、あいキッズでは使用できる時間帯や日数などに限りがあり、いつでもボール遊びに利用できるとは言えません。また、小学生以外はさらに場所が限られ、取り合いになっています。
区内にボール遊びができる公園が少ないと考えます。区長の認識を求めます。
都市公園の整備を目的とする日本公園緑地協会が「キャッチボールのできる公園づくり」という活動の一環として、「公園におけるキャッチボールとバット使用の制限状況」を調査しています。そのデータによると、キャッチボールは「全面禁止」が52%、「日時・場所により禁止」が8%、「禁止していない」が40%、バット使用は「全面禁止」が58%、「日時・場所により禁止」が7%、「禁止していない」が35%となっています。「子どもの声がうるさい」と苦情が寄せられることも増えていると聞きます。公園や広場そのものの使い方に、他の公園利用者に配慮した制約が多いこともあり、子どもたちが自由に遊べる場が少なくなっているのです。ボール遊びが禁止されているだけでなく、遊具が撤去されたり、使用禁止となる実態も影響しています。そうなれば、遊び場を求めて本来遊ぶ場でない道路や駐車場など、危ない場所へ子どもを追いやることになりかねません。子どもの心身を健やかに育むため、スポーツの裾野を広げるためにも、自由な環境で遊べる公園の整備が求められます。
ボール遊びできる場所を増やしてほしいと考えますがいかがでしょうか。
次に、20代からの区民健診を求めて質問します。
2014年、厚生労働省の「国民健康・栄養調査の結果」によると、調査当日に朝食を欠食した成人は、20代では男性が30%、女性が25,4%、30代も男性が26.3%、女性が13.5%で、欠食率は一昔前と比べると上昇傾向にあります。朝食を欠食すると、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されています。さらに、今年の国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究「JPHC研究」では、脳出血のリスクが高くなることがわかりました。若い頃から、食生活や、睡眠、休養などの生活リズムを整え、健康意識を高めておくことは重要です。
現在、食育基本法が制定され、学校などでは食に対する教育や健康について学ぶ機会があります。子どものうちに、健全な食生活を確立することは、必要な栄養を摂取し健やかな体を作り、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育んでいく基礎となります。若い頃からの健診は、自らの健康状態を確認し、病気の兆候を早期に見つけることができるだけでなく、それまでの生活習慣を見直すことにもつながります。
若いうちから健診を受ける必要性があると考えますが、区長の認識を伺います。
20代の健診の必要性は、病気の発見とともに健康意識を高めることにねらいがあります。
東村山市では、健康相談事業として25歳からの健康診査を実施しています。2010年から2014年度では、25~29歳の枠、30~34歳の枠それぞれで毎年受診率が上がってきています。
また、墨田区では、勤務先、学校等で健康診断を受ける機会のない若年の方を対象に若年節目健診を実施しています。20・25・30・35歳の誕生日を迎える区民の方は無料で健診ができます。普段、病院に行くことの少ない若者が、定期的に健診を受けることで、日常生活のあり方を見直すきっかけになると考えます。
最新の労働力調査によると、働く人の37.1%が非正規雇用です。5年前の調査より5ポイント上昇し、国保加入者が増大しています。職場の健康保険組合などに加入している方、公務員などで共済組合に加入している方は1年以内ごとに1回、定期健康診断が義務づけられています。しかし、非正規雇用の方や、主婦の方は健診が義務づけられておらず、板橋では35歳未満の方は、健診費用を自己負担しなければ受けられません。
板橋区は平成8年に「いたばし健康福祉都市宣言」を決議し、区民のだれもが健康でいききと暮らせる“生涯を通じた健康づくりと福祉のまちづくり”を目指すとしています。
若い方たちが、生涯にわたって健康に過ごすことができるよう、具体的な施策が必要です。
他自治体の取り組みを調査し、20代から区民健診ができるよう求めますが、区長の見解を求めます。
最後に、加賀福祉園児童ホームの水漏れ事故について質問します。
加賀福祉園児童ホームは、発達に遅れのある就学前の児童に対し、支援、療育を行っている施設です。毎日約30人が通園し、10人前後のクラスやグループに分かれて過ごしています。
先日、「施設1階教室の天井やトイレから水漏れが1か月以上続き、教室が使用できない」とのことで、緊急に加賀福祉園児童ホームを視察しました。
1階教室とトイレにはバケツやたらいが置かれ、天井にはカビ、壁紙が剥がれている箇所もありました。施設長の話によると、「8月1日に水漏れが発生したため、日ごろからお世話になっている業者に点検を依頼した。8月1日と4日に業者が施設に来園したが、原因不明で改善せず。施設は8月5日に区に報告した。営繕課にも連絡したが水漏れ部分がわからないため、対応してもらえなかった。その後、調査のため、業者が施設に4回来園したが、原因はわからなかった。結局、8月30日に業者が漏水調査会社に連絡し、対応依頼をした」とのことです。
工事が大掛かりになることが想定されますが、児童ホームの運営に支障をきたすことはあってはなりません。
区として責任のある対応をすべきと考えますが、見解を求めます。
驚いたのは、8月1日以降も1週間は、児童、職員がこの水漏れしている部屋で過ごしていたことです。区立の施設であるにもかかわらず、児童や職員の健康に対する危機管理意識が低すぎると言わざるを得ません。
「なぜ、こんなに時間がかかり、対応が遅れたのか」というやりとりの中で、「指定管理に任せていたので時間がかかってしまった」という話がありました。
加賀福祉園は、10年前までは直営でした。
指定管理に任せているから対応が遅くなってしまったというのであれば、区直営に戻すべきではありませんか。区長の見解を求めます。
最後に、児童、職員の健康を守る対策、さらに成人の施設にしわ寄せがいくことのないよう、区として責任ある対応をお願いして私の一般質問を終わります。