討論 議案第85号 東京都板橋区立児童館条例の一部を改正する条例
ただいまより、日本共産党板橋区議団を代表し、議案第85号「東京都板橋区立児童館条例の一部を改正する条例」に、反対する立場から討論を行います。
本議案は、区立児童館の内、板橋・加賀・みなみ・ときわ台・中板橋・あさひが丘・若木・西台・高島平あやめ・大原・赤塚新町・成増南各児童館を廃止し、開館日及び開館時間を変更するものです。
私たちが本条例に反対する第1の理由は、児童館の縮小を前提とした事業の転換を図るものだからです。本来、児童館は児童の健全な育成を図るため、児童福祉法に基づく児童厚生施設として0歳から18歳までを対象にした事業を行うとしています。しかし、新たな児童館はほとんどが在宅子育て支援に充てられています。さらに、開館日及び開館時間の変更は小学生の利用を大幅に制限することが前提となっています。
区は、先日の文教児童委員会で「小学生の放課後の居場所、遊び場はあいキッズという考えがベースになっている」と答えました。しかし、直接子どもたちに声を聞いておらず、ニーズ調査も行っていません。また、あいキッズの平均利用率が28.6%に留まっているということからみてもあいキッズが受け皿になっているとは言いきれません。児童厚生施設とは、児童に健全な遊び場を提供する施設であり、乳幼児以外の児童・生徒を一部屋に囲い込むような転換を行うべきではありません。
第2の理由は、各児童館にはそれぞれの特性があり、廃止によってその活動が継承できない可能性があるからです。
例えば、高島平地区の高島平あやめ児童館はジュニアリーダーを育成するまとめの活動をしていたところです。乳幼児から高校生までが集い、さまざまなノウハウを蓄積する場でありました。
また、大原児童館についてです。委員会での質疑で、大原児童館の跡地は生涯学習センターにすると説明がありました。一方で、生涯学習センターは旧板四中の再整備計画の中に盛り込まれています。生涯学習センターが旧板四中に移転する可能性を示し、「大原児童館の跡の整備は一時的なものだ」との答弁がありました。であるならば、大原児童館を急いで廃止する必要はありません。ましてや、社教と児童館が同じ敷地にあることで生涯学習センターとしての役割を果たしているとも考えらます。
このように、各児童館の特性や役割は、地域性、施設の環境などにより、長年にわたって築かれてきたものであり、その継承は容易ではありません。
第3の理由は、本条例の制定後半年以内での廃止はあまりに急すぎるという点です。先日の文教児童委員会で、区は、「18地区で区民全体の説明会、臨時町会長会議、民生児童委員会の地区協議会で説明しているので、ある程度、区報での周知も含めて皆様方に一定程度ご理解いただいている」と答えています。
しかし、各児童館での利用者説明会は1回しか行われておらず、1日に60数名の方が利用する児童館で、説明会への参加者が10名~20名程度であったことを鑑みると周知が徹底されたとは言い難い状況です。
また、住民の皆さんから声を聞くと児童館の廃止について知らない方も多くいます。
これまで利用してきた乳幼児親子への影響も大きいため、廃止を急ぐべきではありません。
第4の理由は、児童館そのものを12館も減らすという点です。
まず、配置の基準を500メートルから900メートルとしたことについてであります。
この900メートルは幼児が15分程度で歩ける距離を想定したとしていますが、雨などの天候不良時、猛暑のときに子どもが15分程度で移動すること、また、乳児を抱えたお母さんがミルクやおむつ、着替えなど大きな荷物を持って15分程度で歩くことはできません。距離が遠くなることで、今現在、児童館を利用している乳幼児親子が、支援を受けられない、通えない、また、出向く回数が減少するなどの事態は容易に想定できます。
さらに、児童館が減ることによって、残った児童館に利用者が集中することも懸念されます。区の想定でも現在と比べて1.5倍、1.6倍の利用増が見込まれる館もあります。
現在の児童館は、午前中は多くの乳幼児とその保護者が利用し、育児休業中のお母さんが子どもとの時間を過ごし、ときには育児の不安や仕事復帰へ向けた話を児童館職員の方と相談する貴重な時間になっています。午後は学校帰りの小学生や中学生もそれぞれの思いで利用しています。また、保育園帰りのお子さんと保護者が家に帰る前の時間を児童館で過ごし、保護者通しが交流する場にもなっています。また、季節ごとにイベントも開催され、地域の子どもたちの安心して過ごせる場所になっています。
これまで利用してきた親子、学校帰りの小・中学生の行き場をなくすことはやめるべきであり、地域の子どもたちの成長の場、交流の場である児童館廃止の撤回を求め、本条例の改正に反対するものです。
以上で私の討論を終わります。