区立保育園-給食調理業者選定やり直しに
食中毒発生の事実を隠蔽か
区立千石西保育園の給食調理を行う事業者を決めるため、区が昨年秋に開始した事業者プロポーザルの選定作業中に、応募業者が区外の高齢者施設での調理業務において食中毒事故を起こし、行政処分を受けていたことが判明したことで、区はプロポーザルをやり直すことになったことが明らかになりました。
区が事前に示している事業者プロポーザル要項では、事業者が提出する提案書の「必須項目」として、「ノロウイルスなど食中毒が発生時した場合の貴社の対応」と「過去の発生状況」を求めています。
ところが、昨年秋に唯一応募したA社が高齢施設で食中毒事故を起こしていたことを提案書に記載していないことが発覚したため、区はプロポーザルを年明けに中止とし、改めて今月17日~28日を応募期間として事業者を再募集しました。
食中毒の発生を隠蔽したままプロポーザルが進行したこと自体、子どもの命を危機にさらすものであり、重大な事態です。
再募集にあたり区は委託費上限を2百万円増額しましたが、区が委託開始時、「116万円経費が浮く」との説明が崩壊したことになります。また、1社あたりの受託園数の上限を3から5園にしたことも業者の寡占化が進み、民間委託が「競争と選択」により質を向上させるとの前提も崩れることになります。
委託は安全軽視と警鐘
区立園の給食民間委託は、2016年8月に突如、公表され、現在、区立保育園19園の内、10園で給食調理が民間委託されていますが、金子区議は2016年9月の本会議で、民間委託は人件費削減や自社食材の搬入で企業収益を確保する構造になっていることを指摘し「食の安全確保を守るため直営を維持」するよう要求しましたが、区長は「民間事業者のノウハウを活用することで…区が責任をもって安全・安心な給食を提供していく」と答弁していました。
人員削減で体制弱体化させた区の責任は重大
区が委託を始めた原因は、都の最低基準が0歳児園で正規調理員3人となっているのに、人員削減方針を押し付け、調理の退職者を補充せず正規2人・非常勤2人で対応させたことで、現場過重な責任がかかる実態を区が生み出したことにあります。
こうした、党区議団の警鐘を区は重く受け止め、プロポーザルのやり直しについて区民と議会に報告すると共に、民間委託は止めて直営に戻せるよう、職員の育成・確保に傾注する時です。
党区議団は毎年の予算委員会で区立園の給食民間委託を止めて直営に戻すよう、予算修正を行ってきました(委託費2億円削除、直営経費2億追加)。2月議会でも修正提案を通じ、子どもの命を守れる保育園となるよう要求し、論戦していきます。