英語のスピーキングテストは入試に導入しないで

入試導入反対の会が10月14日に行った記者会見の様子を録画で見ました。

1,統計学的理由から不公平な入学者選抜が行われる可能性が高いこと。「仮のESATーJの結果」となる平均を計算するための同点者の人数が限られているため統計的に不安定になることです。そのことによって、英語学力検査の成績の高低と「仮のESATーJの結果」の高低が逆転し、結果として合否が入れ替わる可能性が十分あります。これは不合理です。入学者選抜における公平性が確認できるまで、ESATーJの結果を都立高校入学者選抜に使用しないことを要望する。

2,円滑な試験運営ができない可能性が高いこと。都教委は、実施を請け負う試験団体に、実施責任者、副責任者、試験監督、補助員、誘導員など、テストを公平・公正に実施するために必要な人員を配置するとしています(2019年2月)。受験者への説明、テストの進行管理、トラブル対応などのスキルを身に着けた試験監督官を配置するのは、入学試験と同等の厳正さが求められます。ネット上には試験当日の監督者を募集するアルバイトや時間単位の派遣労働者の求人広告が散見されます。そこには、「経験不問」「一日限り空いた時間で稼げる」「シンプルワークで難しいことはない」などとなっています。経験不問で試験の時だけ雇われるアルバイトや派遣労働者に大きく依存する形で、公平公正かつ円滑なテスト運営ができるか疑問です。10月に入っても求人広告がでまわっていることから、事業を確実に遂行できるめどさえ立っていないことが推測されます。昨年秋に実施されたプレテストにおいて、試験開始のトラブルやイヤホンやヘッドセットに関する受験中のトラブルが起こったことが報告されています。報告された全23件のうち、17件が監督者に関わるトラブルです。

本番では約8万人が同時に受験します。不安を残したまま見切り発車の入試導入をして、万一大きな事故があったときに生徒たちが被る被害ははかりしれません。

この2つの理由から反対する会の専門家5名が連名で、都立高校の入試に英語のスピーキングテスト(ESATーJ)の結果を使用しないことを求め、都教育委員会教育長に要請をしました。さすがに専門家の意見は科学的な根拠に基づき、説得力があります。受験生が不利になることはやめるべきです。テストの緊張で、鼻血が出たり貧血を起こしたり生徒の体調不良は十分考えられます。経験がる監督者を確保できる見通しもありません。見切り発車はやめるべきです。