コロナ禍の影響で失業者や生活困窮者が増え続けるなか、「最後のセーフティネット」である生活保護の役割が問われています。生活保護の捕捉率はイギリスの87%、ドイツの85%などと比べ、日本では20%程度となっており、いちじるしく低い状況です。
一般社団法人「つくろい東京ファンド」がおこなったアンケートでは、保護申請をためらう理由として3人に1人が「親族に知られるのが嫌だから」と答えています。日本では民法上、3親等まで扶養義務の対象としていますが、こんな国は日本だけです。
我が党議員の国会質疑で、2016年7月に保護を開始した17000世帯に関して、扶養照会の件数は38,000件、うち援助が可能としたのは約600件と答弁しました。つまり照会件数のうちわずか1.5%程度しか援助に応じていません。
練馬区では、昨年新規受給者1310世帯のうち425世帯に関わって扶養照会が721件行われ、そのうち支援に結び付いたのは19件だった、それも5000円など極めて少額だったということです。
扶養照会をやめれば、親族に知られたくないなどあきらめるケースをなくせます。1月、参院の予算質疑で厚労大臣は、生活保護の扶養照会は「義務ではない」と3回も繰り返し、明確に答弁しています。
このような有害なだけの扶養照会は、区としてやめるべきだということ、また扶養照会をやめる法改正をするよう国へ要望するべきと予算特別委員会で区に問いました。
区は、「扶養は保護に優先して行われるべきもの」「法の規定、実施要領や通知等にもとづき、適切に対応」と、見直す姿勢がありません。
区が出している生活保護のしおりには、「扶養義務者への連絡」の記載があり、「扶養または支援が可能か手紙を送り回答を求める」とあるうえに、「扶養義務者の資産・収入状況について調査ができる」とまで記載があります。
これを読んだら躊躇してしまう人がいるのは当然です。少なくとも、こうした文言は削除し、「扶養照会が本人の承諾なくされることはありません」等の断りを加えるなど、改めるよう求めました。
区は「申請にあたり誤解が生じないよう、しおりを基に説明している」「事前にご案内することは当然」としたうえで、「記載の削除や加筆については考えていない」と答えました。
最近共産党区議団に相談してこられた方のなかにも、扶養照会があることでためらう方がいました。生活保護を申請させない、水際作戦のひとつといえる扶養照会はやめるべきです。