区議会第1回定例会が12日に終了し、2021年度練馬区一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計の4予算が可決されました。
自民、公明、立憲民主、未来会議、都民ファーストの会などが賛成しました。日本共産党練馬区議団は反対しました。
反対理由の第1はコロナ禍による財政難を理由に高齢者や子育て世帯への福祉サービスを削っているという点です。
今回の予算額は、過去最高だった昨年度予算をわずかに下回る2825億7800万円となりました。
この中には、加齢性難聴対策として補聴器購入費用補助や、精神障害者への福祉タクシー事業、ブロック塀の撤去費補助制度の拡充、多胎児家庭への「こども商品券」などの前進面も含まれています。
しかし、「第3子祝い誕生祝金」は20万円から10万円に半減され、「高齢者いきいき健康券」は対象が75歳以上へ、10歳も引き上げられメニューも縮小されます。高齢者等への紙おむつ支給は対象となる年収上限が半額以下に引き下げられ、補助額も月額上限で6割程度まで減額されます。コロナ禍で困窮する区民の暮らしを救済するべき行政が、逆に支援の手を緩めるとは到底容認できません。
反対理由の第2は区民の負担を増やしているという点です。
練馬区の国民健康保険料は1人当たり介護保険分を含めて16万5868円で、昨年より3716円の値上がり、介護保険料も第8期は前期より基準額で1560円の値上げになっています。コロナ禍のなかで、区民にさらなる負担を強いることは許されません。
反対理由の第3は現場や区民の声に応えていないことです。
コロナ禍で苦しむ商店街や事業者を救済する十分な予算になっているのか疑問です。現場からの要望が強い住宅リフォーム助成制度、公契約条例、直接的給付事業など事業者のふところを温める施策にも背を向けたままです。
特養ホームについては待機者がいまも1000人以上おり、入所希望者の6割以上が1年以上の待機になっています。しかし区は、整備目標を引き上げる考えはないと答弁しました。
それから保護者らからの強い反対運動やコロナ禍で準備委託もままならないなか区立保育園の委託化を推進し、さらには民営化も視野に入れていることは容認できません。これでは区民や現場の声に真摯に向き合っているとは到底いえないのではないでしょうか。
反対理由の第4は、お金の使い道です。
事業化していない石神井公園駅南口西地区再開発のような民間の開発には110億円もの税金を投入して道路整備と一体に推進する一方、PCR検査等の社会的拡充に後ろ向きであること等、新型コロナウイルスを本気で抑制していこうとする予算にはなっていません。
区は来年度、コロナによる景気の大幅な後退から、特別区税と財政調整交付金が合わせて70億円減少すると予想しています。しかし、積み上げてきた基金は2008年653億円から、2020年には941億円に増えており、数年後に基金が底をつくという事態は考え難い状況です。
財政危機に備えるために積立ててきた基金を、いまこそコロナ禍で苦しむ子どもや高齢者をはじめとした区民のために積極的に活用し、緊急対策として56億4000万円の予算の削減をやめるよう求めました。