練馬区・前川区長は、新型コロナによる経済への打撃が区財政にも及び、「かつて経験したことのない財政危機の到来を覚悟しなければならない」と強調しています。
そして、「聖域のない事業見直しによる歳出削減に取り組んだ」と言い、令和3年度(2021年度)の緊急対策だとして、総額56億円もの予算を削り込みました。
そのうち、補助・給付的事業の見直しで約3億2000万円も削っています。
緊急対策と銘打っていますが、財政が好転した後も元に戻す考えはないようです。緊急対策というのは区民に「仕方ない」と思わせるための口実です。
財政難を過剰に煽り立て、コロナ禍に便乗して福祉施策を削る冷たい、姑息な対応ではないでしょうか。
◆高齢者いきいき健康券 マイナス7600万円
対象を65歳以上➡75歳以上に引き上げ。区内映画館をメニューの対象外に。75歳以上は無料の練
馬区立体育館・プール、練馬区立美術館も対象外。
すでに区民の怒りの声があがっているのがこれです。
保険料を払いながら介護保険を利用していない人にも、一定の恩恵をということで始められたいきいき健康事業。高齢者基礎調査で、自分が高齢者だ思う年齢を75歳以上と答えた人が半数以上あったこと、外出応援としている事業目的が薄れてきたことを理由にしています。
元気に意欲を持って高齢者が暮らせる環境を維持していくために、制度の維持が求められます。
区民の意識変化を逆手にとって削減するなど、納得できません。
◆高齢者紙おむつ支給 マイナス6000万円
月額上限8000円➡5000円
これがなくなると、紙おむつに月1万円以上かかることになり、今まで届けてもらっていたのも買いに行かなくならなくなります。暮らしを支えている大事な施策です。
◆高齢者食事(配食)サービス事業 マイナス6100万円
委託をやめ、事業者登録制へ移行。「見守り配食」と呼び方が変わりますが、それだけではありません。高野台などデイサービスセンターの配食がなくなります。また、事業者によって値段が違いますが、全体的に1食あたりの値段があがっています。ある事業者は1食480円でしたが、今度から最低でも594円かかります。
◆第3子誕生祝金 マイナス4000万円
令和3年4月1日出生以降、支給額を 200,000 円から 100,000円に引下げ。
子育て支援の強化が求められている時に、わずか4000万円の予算を削る・・・理解できません。
区は、「区民サービスの確保と持続可能な財政運営を堅持するためには、施策の優先順位を見極め、見直しを行なっていく必要がある」と答えています。
実際には財政運営を最優先し、わずかな区民サービスまで削っています。一方で、未着手の都市計画道路は緊急対策に一つも入っておらず、推進する姿勢です。
区長は「コロナ禍を区民とともに乗り越え、区民とともに前に進むため、最大限努力し、区民サービスの水準を確保する予算」として編成したと言いますが、空疎に響くばかりです。