コロナ禍で、望まない妊娠やセクハラ、DVなど女性への暴力が増加しています。
その背景には女性の性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブヘルス&ライツ)の認識が社会的に深まっていないことがあります。
これからの子どもたちの認識を育てるためにも、性教育を見直して聞くことが必要になっています。
人権についても学ぶ包括的性教育を
日本の学習指導要領は「妊娠の経過を扱わない」という性教育の歯止めがあり、これがあるために踏み込んで教えることが出来ないと言われています。
欧米では避妊法や性感染症について立ち入って教えており、実用的な中身があるということです。日本の性教育はそうしたことがなく、国連から「思春期の性と生殖に関する教育を必修カリキュラムとして確保を」と勧告しているほどです。
しかし、日本思春期学会の茂木輝順氏は、「学習指導要領は対抗的基準に過ぎない」「特別活動や総合的な学習の時間を核にして・・・充実した性教育のカリキュラムを構築することはできる」としています。
また、学習指導要領そのものにも、「学習内容について、指導要領の範囲を超えて教えることができる」とあり、教える範囲を広げることはできると思います。
むしろしっかりと子どもたちに性教育を行なわないことによって、女性一人ひとりを人格と権利をもった個人とみる認識を持つことが充分にできず、モノのように扱ったり暴力をふるったりすることにつながっているのでは、と思います。
人権やジェンダー観、多様性なども学ぶ「包括的性教育」を導入し、国際的水準まで足を踏み出すべきです。区の見解を問いました。
区は教育振興部長が、「児童生徒の身体的・精神的発達や知識の個人差に配慮するべきで、一律に実施するものではない。」「都教育委員会が配布した『性教育の手引き』にもとづき、保護者に丁寧な説明をしたうえで、理解・了解を得て実施する」と答えました。
生理の貧困に関わって、小中学校での生理用品の配布についても問いました。
いま98小中学校の保健室に生理用品を準備し、求めに応じて渡しています。しかしNHKの調査によれば、ある公立中学校では「トイレに置いてほしい」が87%、「保健室」は1%だったということです。また、配布した分の返却を求めている学校もあることがわかりました。
すべての学校で返却不能にすること、トイレにも置くことを求めました。
区は、返却については「今後は返却不要にする」と答えました。トイレへの設置については、「児童生徒から相談を受けたり、本人や家庭の状況を把握する契機になっているため、トイレに配備する考えはない」と答えました。
これは本人の事情よりも学校側の事情・意向を優先するものではないか。相手(児童生徒)の立場に立っていないのではないか、と私は思います。
返却不要にすることは前進ですが、練馬区にはもう一歩踏み込んでもらいたいと思います。