10月14日、練馬区議会第3回定例会の最終日に、2021年度練馬区一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計の4決算の認定について反対討論を行いました。
2021年度は、コロナ危機をはじめ、実質賃金が上がらないなどアベノミクスの失敗、世界情勢の不安定化が区民生活を直撃していました。こうしたなかで、命と暮らしを守る積極的な取り組みが求められていました。
財政難を理由に福祉を削減
第1は、コロナ危機による財政難をあおり、福祉予算を削減したことです。区はかつてない財政危機を覚悟、などとして、高齢者いきいき健康事業などわずか3.2億円の補助給付的事業を削りました。しかし実際には実質収支102億円の黒字となり、51億円を財政調整基金に積み立てる結果となりました。財調基金は453億円と、前年度から約14億円増加しており、切迫性があったとは考えられません。
区は財政だけでなくニーズからも見直したなどとして元に戻す考えもありません。
結局コロナ危機に便乗した切り捨てです。区民が生活危機に直面しているときこそ、こうした暮らしに関わる予算は堅持し、むしろ充実させるべきと思います。
生活が厳しいもとで、区民負担を増やした
第2は、区民の負担を増やしたことです。国民健康保険料はさらに値上げされ、年収の1割を超える過重負担のうえ、差し押さえは1719件と、前年より400件以上増やし、収納強化で区民に追い打ちをかけています。行政のやることではありません。
介護保険料も、高所得者の負担を増やしたものの、基準額を1560円上げました。コロナ禍で困窮する区民にさらなる負担を強いたことは許されません。
区民・現場の願いに応えていない
第3は、区民や現場の願いに応えていないことです。コロナ対策は酸素医療ステーションの設置など一定拡充してきたと言えますが、検査体制の面では不十分です。また、保健所の体制強化は庁内応援など臨時的なものに留まり、恒常的な体制強化には後ろ向きです。
区は正規職員を減らしながら会計年度任用職員という非正規雇用を増やし、介護保険認定調査員など基幹的な業務に付かせています。契約更新の上限規定を撤廃し、恒常的な業務は正規職にして人材不足の解消と処遇の改善を図るべきです。
住まいの貧困が広がっているもとで、区営住宅増設も家賃助成もせず、都営住宅の新設も求めていないなど、公的支援が働いていません。
事業者支援では特別貸付は一定の役割を果たしていますが、直接的給付には背を向け続けています。
教育では、教員の長時間労働が課題となっていますが、働き方改革推進プランには構造的問題を解決する項目がなく、抜本的な改善になっていません。
また、就学援助は対象基準も、クラブ活動など援助費目についても、拡充を拒否しているなど、区民や現場の願いに応えているとは言えません。
不要不急の事業はトップダウンで推進する練馬区
第4は、不要不急の事業をトップダウンで推進していることです。
美術館再整備計画はサンライフ練馬の廃止という区民サービスの後退を含めながら、また、財政が大変だと言いながら81億円もかけようとしています。
保育では区立谷原保育園の閉園を、老朽化が課題だとして住民合意もないまま推進していますが、建替えればいいことであり、まったく理由になりません。
450世帯を立ち退かせる稲荷山公園整備計画、石神井公園駅西口再開発、どれもトップダウンで推進し、意に沿わない区民意見には聞く耳を持っていません。これでは区民とともに前に進んでいるとはまったく言えません。
今こそ、区民や現場の願いに応え、基金も積極的に活用して、いのち、健康と安心を守る事業を最優先とし、職員が働き続けられる環境と、区民とともに考え創っていく区政への転換を強く求め、討論をしめました。