戦争か平和か、志位委員長へ赤旗インタビュー

新聞赤旗編集局長が、「戦争か、平和か」歴史的岐路の年をどうたたかうか、志位委員長にインタビューし、1月1日のしんぶん赤旗に掲載されました。概略を紹介します。

Q:昨年のロシアのウクライナ侵略、敵基地攻撃能力保有と大軍拡の動きなど激動の一年、今年の決意は

A:国連憲章守れの一点で国際社会の包囲を訴えてきた。ロシアの暴挙に乗じて、ユーラシア大陸の東と西で軍事ブロックの強化と大軍拡の逆流が起こった。フィンランドとスウェーデンがNATO加盟の申請、日本が「専守防衛」をかなぐりすてる「戦争国家づくり」の暴走が始まる。危機の下でも外交と理性の力で平和をつくろうという確かな流れがある。ロシアの侵略を国連憲章違反と断罪する国連総会決議が3回にわたって140か国以上の賛成で採択。核兵器禁止条約第1回締約会議、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした平和の流れ、ヨーロッパでも左翼・進歩政党が健闘、日本でも新しい市民運動が開始されている。国民的大運動を作っていきたい。また、国際的連帯も発展させたい。

Q:「安保3文書」が「戦後の安保政策の大転換」とは。総論的なことを。

A:「大転換」というのは、「安保3文書」が自分で言っている。「戦後の我が国の安全保障政策を実践面から大きく転換するもの」と。安保法制では、集団的自衛権行使「戦争国家づくり」の法制面の整備、今度は、実践面で、それを担う自衛隊の能力を抜本的に強化、国家総動員体制をつくると宣言。

Q:安保法制の動きを「安保3文書」でさらに推し進めるということ。

A:そうです。自衛隊の活動は基本的には公海上にとどまっていた。「海外の他国の領域で武力攻撃できるのはどういうケースか」と聞くと、「ホルムズ海峡の機雷除去だけ」と政府答弁。これは「敵基地攻撃能力を持たない」ことが前提であったため。今度は敵基地攻撃能力を保有する、安保法制の危険な道を、これまでの制約を踏み越えて全面的に推進するのが「安保3文書」。

Q:大転換はどこからはじまったか

A:ズバリ、米国発。2020年に、米国防長官が「GDP2%の防衛費」を提起。2021年12月、岸田首相が「敵基地攻撃能力保有の検討」を初めて表明。2022年5月日米首脳会談で、敵基地攻撃能力の保有検討と軍事費の相当な増額を対米誓約。アメリカは大歓迎。米国の対中国戦略は、南西諸島、台湾、フイリッピンに至る島々の打撃ネットワーク、そこに、同盟国を参加させていく。今回の敵基地攻撃能力の保有の決定は、米政府・議会の年来の戦略の具体化。すべては、アメリカの手のひらの上で岸田政権は踊っているということです。

Q:まともな審議なしのやり方に批判が広がっています

A:参院選でも岸田首相は「内容、予算、財源を一体に決める」としか言わなかった。秋の臨時国会でも検討中と。その直後の「閣議決定」。これだけの大転換を民主主義を踏みつけにしたやり方で強行するなど絶対に許されない。通常国会で徹底的に追及、即時撤回を求めて頑張る。統一地方選挙でノーの審判を。国民の信を問わずにやっていいわけがありません。解散・総選挙で国民の信を問えと要求していく。

Q:「反撃能力」の名で敵基地攻撃能力の保有は憲法との関係で許されるのか

A:明らかな憲法違反。1959年当時の防衛庁長官の答弁「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」と。ところが、「保有」は憲法違反という部分は無視。憲法判断を大転換させたのに何の説明もない。立憲主義の乱暴な破壊だ。

Q:他国に攻撃的な脅威を与える兵器とは?

A:政府は、その例として大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母などを上げてきた。トマホーク・ミサイルなどの「スタンド・オフ・ミサイル」、それを装着できる戦闘機、空母として運用可能にした全通甲板の護衛艦改修、搭載予定の戦闘機(F35B)などの一連の敵基地攻撃能力の保有が、憲法上どうして「戦力」でないといえるのか説明はつかない、憲法違反です。

※後略